団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

赤ちゃんの時、履いた靴

2022年04月27日 | Weblog

  孫の一人が、成人式後の誕生日を迎える。以前、彼の母親から預かっていた赤ちゃんの時、初めて履いた靴をメッキして記念に贈ることにした。孫が生まれた時から、成人式の年の誕生日に贈ると決めていた。ネットで『ファーストシューズ』と入れて検索するといくつかの業者が出た。そのうちのセレクトショップLifeDecoライフデコの写真が良さそうなので、手続きして申し込んだ。カード決済しか受け付けないというので、カードで決済もした。ところが数日後メールが来た。「…大変申し訳ございません。こちらのサービスは現在コロナウイルスの影響もあり休止しており、承ることができません。…」 ここでもコロナかと、別の会社を探した。

 『おもいでめっき』という商品名だった。ねっとで申し込むとすぐに靴を送る梱包セットが届いた。もう20年も経った靴。少し変色していた。このままなら早晩ボロボロになってしまうだろう。メッキすれば長く保存できる。古いからと断られたらどうしようと思いながら梱包した。クロネコヤマトの営業所に持ち込んで発送した。

 会社からメールでメッキ可能なので作業に入ると連絡が来た。誕生日までに間に合うだろうと高をくくった。誕生日があと10日くらいという頃、メールで2週間遅れると言って来た。それでは困る。メールでどうしても孫の誕生日に間に合わせたいので、何とかならないかと訴えた。返事がない。3日待って、電話した。まだメールを読んでいなかった。しかし担当者は、何とか間に合わせますと言ってくれた。誕生日の4日前に製品が届いた。箱を開ける前から、メッキ工程で使われたであろう硫酸溶解液の臭いが鼻についた。開けた。あの古びた赤ちゃん靴が、光沢のあるブロンズ色になっていた。

 以前、接着剤で写真立てと一緒に固定させてから贈ろうと計画していた。台は、近くの店で、白木の板を買って、自分で塗装して用意しておいた。妻は、もらった本人が飾りたいように、接着剤で固定しない方が良いと言った。クッション材でしっかり押さえて箱に詰めた。クロネコヤマトから送った。誕生日前日に届く。

 親は、初めての子供が生まれると、無我夢中で先の事を考える余裕がないものだ。私も自分の子供が生まれた時、子供たちが初めて履いた靴がどうのこうのなんて思いもしなかった。手の型、足の型、髪の毛で筆を作るなんていうのもあるらしい。何も残してあげていない。爺さんになると、いろいろ過去の経験から知恵がつく。私は、孫が生まれるたびに、赤ちゃんが履いた初めての靴、もしくは赤ちゃんの時履いた靴をとっておくように言って、預かっている。成人を迎えた誕生日に、その靴をメッキ加工して贈る。今回、そう決めて初めて実行することができた。20年という月日の流れを、改めて実感する。

 

 『おもいでめっき』問い合わせ先:〒435-0047 静岡県浜松市東区原島町501-1電話053-463-9438 株式会社ゴトー理研 www.omoidemekki.com info@first-shes.jp

 


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