団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

沢尻エリカさんと母のレシピ本『沢尻リラさんの家庭でつくる地中海料理』

2019年12月03日 | Weblog

 沢尻リラさんの娘、女優の沢尻エリカさんが合成麻薬MDMA所持で逮捕された。

 手元に1冊のレシピ本がある。『沢尻リラさんの家庭でつくる地中海料理』(角川書店 1600円 税別)。なぜこの本を買ったかというと、この本には2年間暮らしたチュニジアで食べた料理が数多く載っていたからだ。その帯に娘沢尻エリカが「どれも繰り返し食べた大好きな母の味です。料理に関してはいくつになっても母を超えられそうにありません」―沢尻エリカ、と書いている。

 私はずっと母親がちゃんと食事を作って、家族で食事をする家庭の子どもは、犯罪に関わることが少ない、と信じていた。私の持論が覆されたようで切なかった。沢尻家の生活は知る由もない。ただこのレシピ本を見て『ブリック チュニジア』(49ページ)『豆のクスクスとチウチウ』(101ページ)などを作りながらエリカさんが「どれも繰り返し食べた母の味…。」と書いていたことを思った。このような手の込んだ料理を母親のリラさんがエリカさんに食べさせていたのだと感心していた。今回のMDMA所持での逮捕をリラさんがどんな気持ちでいるのかと案じた。記事によればエリカさんの家庭では、父親の失踪、その後の病死、二人いる兄弟の一人が交通事故で死亡と続いた。母親のリラさんがレストランを開き、懸命に子供たちを育てた。エリカさんの幼少期は裕福だったが、父親が失踪した後、経済的にひっ迫した生活だったという。それでもレストランを開業し、レシピ本を出すほどの母親である。料理は母の味そのものであったに違いない。リラさんのレシピ本の料理の写真を見ていると、決してフランスのミシェランの星がついたレストランの料理のような華麗な料理ではない。私の母の田舎の料理に似た許される粗野さと生活感が滲みでている。リラさんはアルジェリア生まれのフランス育ちだそうだ。ベルベル人※の血を引くとも言われている。

 母親が台所で料理して3食きちんと食事ができるのは家庭生活の基本だと私は思う。エリカさんもそういう家庭で育ったが、エリカさんは思春期に入ると家庭外の世界に飲み込まれた。母親の料理に勝ることがエリカさんが足を踏み外すきっかけになったのであろう。

 映画『人間失格』で共演した小栗旬さんが沢尻エリカさんについてある番組で語っていた。「人間って正直ホントにそこまで強くないじゃないですか、心がたぶん。とてつもなく繊細で心が弱くて、でも、だからこそ別人格を演じることに命を懸けているから、気が付けば何かに頼ってしまう瞬間があるんだと思うんですよね」

 他のエリカさんのMDMA所持事件に関する記事より的を得ていた。私は以前乗っていた車が異音を発していたので修理工場に持ち込んだ。そこの経営者に「こんな音が気になるなんてガラスのハートをお持ちですな。繊細なんだ」と言われた。

 芸能人とか俳優なんて私では、とても無理だった。“一般男性”のまま最終コーナーを曲がれた。ゴールは目の前。逮捕歴ナシを最後まで維持しなければ。

 ※ベルベル人は、ヨーロッパではムーア人(またはモーロ人)と言われた。エジプトより東の北アフリカのマグレブ地方の住民。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする