団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

元気印、児野楓花選手に魅せられて

2014年04月07日 | Weblog

  4月5日土曜日朝8時コスタリカのサンホセでU17女子サッカーワールドカップ決勝戦が始まった。妻は土曜出勤で留守だった。相手はスペイン代表。普段のテレビ番組の多くは観るに堪えられないくだらないものばかりである。テレビ界は魑魅魍魎の輩に乗っ取られた感がある。そんな中、真剣勝負のスポーツ中継が私にとって、一服の清涼剤となる。

 8時30分からはNHK総合で田中将大投手が大リーグ初の公式戦に登板する。迷った。どちらを観ようかと。U17女子サッカーを観戦することに決めた。勝てば世界一となる。ここで応援しなければ、後悔する。田中将大投手が投げるのはこれからも観られる。

 試合に私のお目当ての選手、13番の児野楓花選手は先発出場していなかった。以前児野楓花選手が出場した試合を観て、私は児野選手に将来性のある選手だと注目した。この選手とにかくサッカーが好きで好きでたまらないと全身で表しながらグランドを動き回る。日本代表チームの中で身長が一番低く153センチしかない。そんなことをもろともせず動き回る。それでもきっと出番がくると待ちつつ日本チームを応援した。前半は1対0で日本がリード。日本の出場選手全員の動きが良く、私は観ていてイラついたりもしやと弱気になることもなかった。

 そして後半戦、選手交代で児野選手に出番が来た。俄然私の応援にも熱が入った。スペイン選手が執拗に児野選手の動きを封じようとする。レスリングのような格闘技なみの当たりである。特にガルシア選手は両手を後ろにそらせて、胸で児野選手に体当たりした。弾き飛ばされても巧みに好位置を守ろうと児野選手はバネのように体を跳ね戻す。味方のコーナーキックをシュートに持ち込もうとスペイン選手との場所取りは激しさを増す。とうとう審判はスペイン選手にイエローカードを出すほどのつばぜり合いにも児野選手は果敢にひるまず対抗した。凄い。私は児野選手の視線に注目した。ボールそして相手デフェンス選手の動きを追う目は狩人の目である。サッカー選手に求められるのは、360度に展開する俯瞰図のような構図の中で敵味方双方の動きを瞬時に見抜けるかどうかだと言われる。児野選手は後半33分、遂にその瞬間を捉えた。ゴールキーパーと1対1になる好位置を取り、狙い定めて右足内側でボールをゴールに打ち込んだ。ゴールを決めた後、拳を握り両腕をくの字に曲げて引き寄せた。そのしぐさに心奪われた。感情をあまり顔や動作に出さない高倉監督もこの時ばかりは満面の笑顔とガッツポーズで喜びを表した。そして試合終了。表彰式で紙吹雪舞う中、日本チームは優勝杯を囲んだ。

 これほどの快感があるだろうか。身長が低い。スタミナがない。顔が平たい。鼻が低い。足が太い。顔がでかい。目が細い。散々に日本人は身体的な劣性をあげつらわれる。これらは、皆どうしようもないことだ。本人が、どうすることもできない事で他人を責めるな、と中学生の時小林先生から教わった。海外で学び海外で暮らし、ニッポン人として差別され馬鹿にされた経験が多々ある。だからこそ身体的劣性をモノともせずに活躍する姿に感動する。世界屈指のサッカー選手FCバロセロナのメッシだって身長169センチと小柄である。見た目や外見だけに影響されずに結果で評価したいものである。私がこれだけ大騒ぎ大喜びしても日本のマスコミの報道は、この優勝に関してあまりにも少ない。私は変わり者なのか?そうだとしても、これからも日本のスポーツチーム、選手と児野楓花選手の活躍に期待し応援してゆきたい。


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