団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

ばあちゃんの言うとおり

2013年12月04日 | Weblog

 ニンニクのテレビの宣伝の中で「♪ばあちゃんのくっちぐせ~ウガイ、手洗い、ニンニク卵黄、(繰り返し)あ~あ~ばあちゃんの言うとおり♪」が流れる。昨今のテレビやラジオの宣伝にはこの手の宣伝が多い。多すぎる。もともと音楽的な才能に恵まれなかった私は、なかなかメロディを覚えられない。動物的カンとでも言うのか、ある種の旋律が繰り返されると強くその影響を受ける。憶えると、唄ってみたくなる。

 風邪が流行っているようだ。インフルエンザの予防注射は受けたが、「免疫力が低いので風邪をひかないように」と医者に言われている私は過度に警戒する。ウガイと手洗いを徹底してやっている。外から家に戻り、洗面所へ向かう折、自分にウガイと手洗いを喚起するためなのか、自然に「♪ウガイ、手洗い、(繰り返し)(商品名カット)♪あ~あ~ばあちゃんの言うとおり♪」と口ずさむ。

 唄いながら考えた。「こういう場合、じいちゃんでなくて何故ばあちゃんなんだろう。そういえば本でも『ばあちゃんの生活の知恵』のような題名が多いが『じいちゃんの生活の知恵』などという本は聞いたことがないな~」とじいさんになった私は思った。理由のひとつは、じいさんの家庭生活への貢献度が低いのではないだろうか。多くのじいさんは、ばあさんに衣食住を依存している。桃太郎物語にあるように、じいさんは山へ柴刈りに、ばあさんは川へ洗濯に、は日本のジジババ関係というか男女の棲み分けというか役割分担を示唆する。じいさんが会社や組織へ働きに外へ出る。ばあさんは家で子育てと家事をする。じいさんの会社や組織での知恵と、ばあさんの家でのやりくりの知恵、のせめぎ合いである。じいさんには定年退職という区切りがあるが、ばあさんにはそれがない。じいさんは退職して家に戻っても家の事はからきしわからない。わかっている人の方がわかっていない人より役に立つ。わからないじいさんは、わかっているばあさんに教えを請いながら手伝うしかない。

 私の場合は42歳で仕事を辞め、妻の海外勤務に配偶者として約12年間同行した。以来主夫となった。“ばあちゃんの知恵”にずいぶん助けられた。男女どちらかが外に出て働いて、もう一方が家を守っても、それが当人どうしで理解されていれば問題はない。稼ぐことも大事だが、家を守るのも同じく大事である。ばあちゃんばかりでなく、「♪あ~あ~じいちゃんの言うとおり♪」と唄われる日が来ると良い。


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