団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

そりゃあ税金払ってる男でしょう

2013年07月31日 | Weblog

 やっと痛風発作もおさまりつつある。右足の親指付近を圧迫さえしなければ、風が吹いても普通に歩けるようになってきた。この10日間溜まった仕事を片付けようと気持ちも上向きだ。カレンダーに朱書きされた7月31日が支払い期限と金額が目に入る。いつもは役場支所に行って払う。今回はできるだけ近間で払えないか払い込み用紙の裏を見た。コンビニエンスストアでも払い込みできるとあった。「開いててよかった」の宣伝コピーがよみがえる。固定資産税の分納であっても銀行自動引き落としができればよいのだが、私の住む所では全納する場合しか認められていない。理由は解らない。

  7月12日兵庫県宝塚市役所の収税課で男が放火して5人にケガをさせ、1億5千万円の損害を与えた。逮捕された容疑者は63歳だった。その後の取調べで容疑者は固定資産税を滞納していて預金などを差し押さえられ腹を立てて犯行にいたったという。まだ確認されていないが、あの山口県周南市の限界集落で起こった5人を殺して2軒の民家に放火した容疑者も逃走中、市役所へ固定資産税に関して携帯電話で相談していたらしい。兵庫の事件も山口の事件も共に容疑者が63歳という年齢と固定資産税が絡んでいるとしたら、相関関係と真相を知りたいものだ。

  亡くなった政治評論家三宅久之さんは生前「愛妻、納税、墓参り」を提唱していた。私の母親は使用済みの封筒に支払うべき公共料金や税金を分けて期限のずいぶん前から準備していた。貧しい生活の中で真面目に国民の義務を果たそうとしていた。こういう真面目さ、几帳面さは父親にはみられなかった。来る年も来る年も同じことを母親は繰り返し歳をとってだんだん生活に余裕がでてきても続けた。私の性格の多くは父親と類似している。しかし少しはこの真面目な母親の影響を受けることができたようだ。使い古しの封筒にお金入れて準備をすることはないが、納税期限は守ろうとする気持は強い。

  東京で働く知人からこんな話を聞いた。結婚願望が強い見目麗しい同僚が既婚の年上の女性上司に相談した。長年付き合って同棲までしていた男性とついに別れたと告白した。男運がないとか、男を見分けられないと落ち込んでいた。ずいぶんその男に貢いだとも告白。女性上司は彼女に「そりゃあ税金納めている男でしょう。付き合う相手を見定める時、結婚を決心する時、相手がちゃんと税金を納めているかが決め手よ。額は多ければ多いほどいいけれど、とにかく真面目に払っていれば、まず間違いはないわよ。次はそういう男性を探しなさい」と忠告したそうだ。目の付け所が斬新だ。私はとても感心した。3高(学歴、収入、身長)とか外見、見た目ばかりを気にする傾向が強い現代、なかなかの指針である。

  真面目に税金を払う国民がいるからこそ、政治屋も官僚もあの手この手で税金を己の懐に掠め取ろうとする。税金を納めるのは国民の義務である。ならばその貴重な税金の使途明細を納税者に報告するのは徴集側の国家の義務だ。国民総背番号制によって悪質な脱税が減少するならいいのだが、真面目な納税者から更なる税金の徴収手段にされてはたまらない。

  税金、公共料金、住宅ローン。重圧に感じることが多い。そんな中、知人の女性上司の「そりゃあ税金納めている男でしょう」は私の気持を爽快に吹き抜けた。


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