外出先の駐車場植え込みに打ち込んであるパイプ。そこから花が一輪。
これは、なかなかな現代華道です。(いや偶然ですし)
まずはその器。
素材感剥き出しの切立の素朴な円柱形でありながら、口辺は圧力を感じさせる形で処理。
基本は姥口ながらも敢えて均等に潰さずに、外方向への歪みを2ヶ所作っている。この作為を感じさせない思い切りの良さに作者の技量が伺える。
山道と突起がある事によって狭小空間に広がりを与えているのは確かだろう。実体はミニマムなのに印象に残るスケール感は次第に大きく感じる。
特に下から上へ視線を移す場合、目線に従って単調さから一気に破調・破綻へと変容するダイナミックさには心地良ささえ感じる。
単純に見れば『静から動』であるが、しかしながら、この外見に付随してメッセージ性を感じずには居られない。
静から動、安定から破調、平穏から破壊……。
昨今の自然災害に関する「喉元過ぎれば…」という我々の無自覚さ、無関心さ、蒙昧さへの警鐘ではないだろうか。『無常』の提示とも言うべきか。
さらには、円柱の其処此処に現れる小さな錆が、次第に口辺部分に至って、密度を増す様子からは切迫感さえも感じとれる。
一見、無造作に見えつつ計算と想いが凝縮した逸品と言えよう。
そして、花。萎れかかった長実雛芥子(ナガミヒナゲシ)が一輪のみ。
器のダイナミックさを花の先端を垂らす事によって再び『静』へと鑑賞者の気持ちを回帰させる仕掛けになっている。
そしてこの萎びた風情は、一般的な花を生ける行為に内包される無意識的な『美しさへの求道心』を見事に裏切っている。
この風情こそが作者の真骨頂であろう。
ここには、時間経過のみならず夏へ向かう気温上昇、地面からの輻射熱、生暖かな風を感じさせるには充分な気配がある。
そぎ落としたストイックさが饒舌な事もあるのだ。
この器と花の関係性こそが、鑑賞のポイントである。
……とか、チラッと思ったけれど、そんな事は全く無く。ただの偶然。
最近「花入、作らんと~~」と思っているから、見た造形に無意識に理由を求めるのでありまして。
(^。^ゞ 恥ぃ~~。
ちなみに雛罌粟(ヒナゲシ)と言えば、
「おっっかのう~え、ひぃっなげしの花でぇ」とか、
飼育係じゃなくて……いきものの係のバンドが歌っていたりとか、
古くは戦前の海外歌謡の「アマポーラ~、ア~マポォォラァ~」とか、
CMでちっちゃい漫才師さんが叫ぶ「車にポピィ~~」とか
「ひょっとして兄妹か?」みたいなアニメ映画の「コクリコなんとかから」とか、
明治文豪の小説『虞美人草』など、
あちこちで異名が散見されます。
ヒナゲシ、アマポーラ、ポピー、コクリコ、虞美人草……。
沢山の異名がある事で、如何にこの花が愛でられてきたかが判ります。かわいい花。
もっとも、このナガミヒナゲシは近年の帰化植物らしいです。初確認は1961年とか。
さてさて、仕事せななぁ。花入、花入。
あっ、
本日より『ギャラリーしょうざん』さん(備前市香登)にて、
『備前焼作家集団けらもす』でグループ展をしております。これ大事。
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■ 備前焼作家集団けらもす展 ■
会場 : ギャラリーしょうざん
日時 : 4/26(金)~5/6(月) AM10:00 ~PM5:30
住所 : 〒705-0012 岡山県備前市香登本599
電話 : 0869-66-7000
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是非、御高覧の程。m(_ _)m
時々、会場に居ます。
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