ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

東京・回帰

2017-03-05 10:41:38 | 日記


                   
                    東京・回帰




               冷たい風が
               ほほをチクチクと
               刺しているのに
               久しぶりに
               あの建物で
               珈琲を
               味わおうと
               そのドアを押し
               テーブルに
               腰かけた
               ら
               目の鋭いハリネズミが
               駆けつけてきて


               「申し訳ありません
                今夜は金曜日で
                予約で埋まっています
                またのお越しをお待ちしております」

               周りを見渡すと
               テーブルはガラガラ
               妖しげな
               朱い明かりがともり
               

               かつての
               明治の香りが消えて
               そこには
               暗い裏座の
               手代が
               眼を光らしている
               
            

               噴煙は自分の空には降ってこず
               噴煙を
               まき散らす
               その手の
               協力者


          
               その暗さは
               かつての傷を
               再び
               生々しく
               甦らせ
               膿となり
               生傷
               癒えず


               回帰


               外の通りは
               夜の中で
               元禄の時代に
               浸りきっている
               ひとびと
               が
               足早に
               それぞれの目的地へ
               

               どこへ向かっているのか
               
               


               
               


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