Breathe & Stretch 〜マインドフルネストレーナーのメモ帳〜

縁あって辿りついたマインドフルネストレーナーの仕事。悩みは色々あれど、喜びや楽しみが増えていきますように。

家族療法のこと

2014-07-05 00:02:20 | 産業カウンセリングのこと
先日、わが同志が、仕事の中で、子供の不登校の相談を親御さんから受けることが多いんだけど、どう対応すべきかという問題に頭を抱えておりました。

子供の不登校が、子供単体の問題として起きている訳ではないので、交流分析的には親との関係が気になる訳だけど、
個人的にはそこを分析したところぐらいではたいした状況の好転にはお役に立てないことはわかっておりまして・・・

そこでふと脳裏をよぎったのは「家族療法」のことでした。

実は、私は今、アクションラーニングコーチとして、チームというシステムに介入する「システムズ・アプローチ」の鍛錬中で、
その源流であるTグループを3ヶ月ほど前に体験しておりますが、このシステムズ・アプローチを初めて知ったのは「家族療法」でした。

ただ当時は、マンツーマンの支援に目が向いていて家族療法を深く学ぶことはなく、自分の家族関係にエッセンスを活かす程度でした。

問題を抱える集団の中で、特定の個人だけが問題だなんてことはない。
その背景には別の誰かの大なり小なりこじれた関係があって、その関係を修復させようという行動が問題として現れている。
(例:酒癖の悪い父の言いなりになっている母と不登校の子供とか)

で、ふと何だかふと本を読みたくなって、近所の図書館に運良くあったこの本。



タイトルは『セラピスト入門』だけど、読んでみると『家族療法の実際』って感じです。
一見、心理療法家向けのようだけど、家族が「際どい状態」「崩壊寸前」の時に誰もが読むと良いのでは?と思う読みやすい本(初版は20年前)。

いやー、面白かったーーー
「ありそう~」と思う事例のオンパレード。

しかも、行動療法的に提案される解決方法が「そんなんあり?」と思う、私にとってはかなり「ウルトラC」的な斬新さがありました。
たぶん産業カウンセラー講座でも、先生から紹介された事例で見聞きしたものと同じテイストの斬新さがありました。
行動療法ってこういうことなんだ・・・(汗)

で、ちょっと面白かったのは、いくつかの事例において、初回面談に続いて、2回目以降にカウンセリングを拒んでいる家族の同行を促す時の働きかけが、

「ご主人(お子さん・奥さま)は、来ていただけないでしょうねぇ?」と

ミスマッチャー型(まずはNoと反応しやすい)のコミュニケーションになりやすいことを前提とした質問になっていること。

私の母も、わりとミスマッチャーなんで、何か同意を求めても簡単にはYesと言わない娘泣かせなところがあり、
否定形の投げかけを否定させ同意を引き出す
という一手間をかける必要があり、同じような質問が有効に働くことが多かったのでクスッと笑ってしまいました。
(でも、実際に自分もカウンセリングの時には無意識的にしてるなぁ)

そんなことに着目しながら、一気に読めてしまうこの本。

セラピスト入門―システムズアプローチへの招待
クリエーター情報なし
日本評論社


そんな家族療法なんですが、企業内の人の問題だって似たようなものかと思うことは大いにあります。
私は、特定の個人に問題があるとは思いたくないし、思ってもいない。
企業の組織というまとまり(システム)の中においては、複数の人と人が影響を及ぼし合っているはずだし。

誰かのせいにして自分は悪くないなんて態度の人たちが、良くない状態をさらに強化してたりするのに、案外自分も問題の一部だとは簡単には認めようとしない(私もそうだった)。

コンサルの時にも心がけたいことなんだけど、誰か1人を治療することに意味はない。
「彼をなんとかしてほしい」「○○部門をとにかくなんとかしてほしい」というリクエストはあれども、
問題は個人・特定の組織単体で起きているのではないかという視点を大事にしながら個人、組織に向き合っていきたい。

あらためてこの本を読んで再確認しました。
古いけど良い本でした。

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