映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

譜めくりの女

2009年04月04日 | DVD
 この映画は、昨年春に公開され、予告編などから是非見てみようと思ったものの、時間がなくてパスしてしまった作品です。

 ただ、実際に見てみると、期待したほどの映画ではないのでは、と思いました。

 大雑把なストーリーは、ある若い女性が、小さい時分に、権威ある音楽学校でピアノの実技試験を受けたところ、審査員が無遠慮な振る舞いをしたがために演奏に集中できず、結果としてピアニストになる夢を絶たれ、そのことを酷く恨みに思い大人になってからその審査員に復讐するというものです。

 確かに、自分の人生を狂わせた人をいつまでも恨むことはあるでしょう。ただ、審査員の振る舞いがおかしかったからといって、大人になってから審査員の家に入り込んで(審査員の方では、個別の受験生の顔など覚えておりませんから)、一家から全幅の信頼を受けるや否や、たちどころにそれを裏切る行為に出てその一家を絶望のどん底に陥れるという酷いことまで人はするだろうかという感じになります。
 まして、その振る舞いというのが、ピアニストとして高名な審査員が、受験生がピアノを演奏しているにもかかわらず、ファンから求められたサインをするというだけのことですから、大して無遠慮なものでもないように思われます。

 この基本的な動機について納得できないと、作品全体についても、主人公は随分と大袈裟なことをするものだなと思ってしまい、いくら魅惑的な俳優が演じていても共感できないことになってしまいます。


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2 コメント

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逆恨みによる家庭崩壊の悲劇 (変色スミレ)
2009-09-09 09:19:40
  この映画にかなり高い評価をしていた人もいたので、それではとシアターで観たが、あまり後味のよい映画とは言えなかった。
 クマネズミさんが言うように、ヒロインの恨みの内容と対象が妥当なのかという点から、感情移入ができず、その執念深さに辟易し、復讐が成し遂げられたときに、これで良かったのかという思いがあるからである。
  いったい、製作者はヒロインの行動を支持しているのか、それとも逆説的に、こうした怖いこと(思ってもいないことで、他人の恨みをかって酷い事態に追い込まれること)もあるのだよ、女性の恨みは怖いものだよ、と警告しているつもりなのだろうか。
かりに後者だとしても、こうしたフランス人の感性や行動にはついていけないし、おつきあいは御免蒙りたいという気持ちが強くなったものである。
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Unknown (クマネズミ)
2009-09-10 05:21:25
「変色スミレ」さん、コメント感謝いたします。
 最近、TSUTAYAで何げなく手にしたDVDの『地上5センチの恋心』を見ましたら、この映画でヒロインの恨みを買う審査員に扮したカトリーヌ・フロが出演しているので驚きました。他愛ないストーリーながら実にコミカルな味のある演技をしていて、幅の広い女優なのだなと思いました。
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