映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

誰も守ってくれない

2009年01月25日 | 邦画(09年)
 「誰も守ってくれない」を渋谷のシネ・フロントで見ました。

 これは、こちらのスケジュールに上映時間が上手く適合したことと、主演が佐藤浩市ということから、映画の内容については何も知らないままに足を運びました。

 佐藤浩市は、このところ「ザ・マジックアワー」や「秋深き」などを見ているうちになかなかいい俳優だなと思えてきて(それまではやや濃すぎる雰囲気が漂っていて、敬遠していましたが)、その彼が主演の作品ならば悪くはないはずと思ったわけです。

 実際に映画を見てみると、この映画は、犯罪者の家族〔この映画の場合は、犯罪者の妹・沙織(志田未来)〕をマスコミの攻撃から保護する刑事の役を佐藤浩市が演じます。
 ある意味で、「それでもボクはやっていない」と同じような社会派の作品と言えるかもしれません。犯罪者の家族であるというだけのことから、マスコミによって徹底的に糾弾されてしまう理不尽さを告発しているという意味合いですが。

 勿論、非常に手間隙かけて細部まで周到に作られた周防作品とは違って、かなりデフォルメされた部分があるのではないかと思えたり(前田有一氏が、「この映画のような展開になると、どうも現実との乖離が気になり没頭できない」と述べている点でしょう)、警察内部の事情も常識的な線で描き出されていたりと、おざなりの感じがヤヤ付きまとうとはいえ、佐藤浩市の演技は、既に48歳ですから味が出てきたというのでしょうか、なかなか良いなと思いました。

 なお、公開初日には(17日)、フジTVで、この映画に出演している佐藤浩市と松田龍平とが同じ刑事役で出演した「誰も守れない」というドラマが放映されたそうです。
 TVドラマは、映画が扱っている事件の4ヶ月前に起きた事件を描いているとのことながら、こうなると、映画とTVドラマの差など最早なくなってしまったのでは、映画を映画館で見る意味はどこら辺にあるのか、などと疑問にも思えてきてしまいます。