映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

「ネオ・トロピカリア」展

2009年01月05日 | 美術(09年)
 お正月休みに、東京都現代美術館(MOT)で開催されていた「ネオ・トロピカリア─ブラジルの創造力」展に行って来ました。

 滅多に日本で紹介されることのないブラジルの現代美術が数多く展示され、久しぶりに充実した時間を過ごすことができました。

 就中、今回の展覧会のタイトルにある「トロピカリア」という呼称を最初に使ったエリオ・オイチシカの作品がいくつも展示されています。
 会場での解説等によれば、オイチシカは、ブラジルでは「ファヴェーラ」と呼ばれる貧民窟で暮らし、そこから様々のインスピレーションを得たようです。今回作品として展示されている「パランゲラ」と呼ばれるケープを自分が身に纏ってリオ・デ・ジャネイロの美術館に乱入したこともあり、これは「町の中にファヴェーラを持ち込む」という彼の意図に基づく行為とされています。

 またこの展覧会には、日系人の作家5人の絵画作品も展示されていました。特に、日系1世のトミエ・オオタケ氏の作品は、抽象的な構図の中に類を見ない力強さを感じさせます。

 なお、この展覧会の開催に当たっては、ブラジル音楽も大いに寄与しているようです。同展のカタログの冒頭には音楽家のジルベルト・ジルのインタビューが掲載されていますし、そのジルと共にアルバム『トロピカリア』を制作した歌手のカエターノ・ヴェローゾが、オイチシカの作る「パンゲラ」を身に纏った写真も展示されていました(ちなみに、「パンゲラ」はサンバのダンサーが着る物として制作されています)。
 また、ブラジリアンポップス(MPB)のCDがいくつも壁際にセットされている作品がありました。入場者は、床に置かれたクッションを自由に移動しながら、ワイヤレスのヘッドフォンでこれらの音楽を聴くことができるのです。

(画像はエルネスト・ネトの作品「リヴァイアサン・トト」)