映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

ジャージの二人

2008年08月13日 | 08年映画
 「ジャージの二人」を恵比寿ガーデンシネマで見ました。

 「アヒルと鴨のコインロッカー」―DVDで見ましたが、大変優れた映画だと思いました―の中村義洋監督の作品であり、また今売り出し中の堺雅人が出演するというので見に行ったわけです。

 総じて言えば、「走っても、走っても」に繋がるような、格別大したことが何も起こらない映画で(さらに言えば、「純喫茶磯辺」にしても「100万円と苦虫女」でも特段の事件は何も起こらず、あるいは、このところの邦画の傾向―勿論私が見たわずかの作品からの推測に過ぎませんが―といえるかもしれません)、個別的にもそれほど悪くない雰囲気のシーンがいくつかあり、全体としてもマズマズの出来だなと思いました。

 簡単に言うと、仕事を辞めたばかりの息子(堺雅人)―32歳という設定―と、グラビアカメラマンをしている父親(鮎川誠)―54歳という設定―とが、ある夏、北軽井沢の別荘へやってきて、古着のジャージを着ながらグタグタそこで何日か過ごします。
 ただ、二人ともそれぞれ問題を抱えており、二人は次の年の夏も同じ別荘でやはりのんびりと過ごしますが、グータラな生活を通じ、なんとか問題を乗り切れそうな手掛かりが掴めたようなのです。

 こうしたはっきりとしないストーリーながら、堺雅人の持ち味が十分に発揮されており、また、鮎川誠も、本職はロックバンドのギタリストですが飄々とした感じに好感を持てます。さらに、携帯電話の電波が届く圏内かどうかという点を巡る場面など大層印象的なシーンがいくつか設けられています。

 この親子の関係は、以前の「たみおのしあわせ」同様、自分に引き付けて見ることも出来そうです。とはいえ、実際ならば、このような愚図愚図した息子に対しては、私だったら強い態度に出てしまうな、しかしそんなことをすると反抗的な態度に出られて関係が破綻してしまうだろうな、といっても、元々二人だけで何日も泊まりに行くなどという状況は考えられないな、などイロイロ考えさせられました。