孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

東日本大震災から1年  支援国への感謝メッセージ、中国との信頼醸成、「絆」への疑問提示も

2012-03-11 23:10:24 | 災害

(3月11日 パリ在住邦人によって主催された、エッフェル塔に望むトロカデロ広場での黙祷と献花の儀式 “flickr”より By Passion Leica http://www.flickr.com/photos/passionleica/6825998062/

【「みなさんと手を携え共に前へ進んでいきたい」】
3.11の東日本大震災から1年、国内では多くの追悼式も行われましたが、復興はまだまだこれからという段階です。
韓国や台湾では、被災当時に支援の手を差し伸べてくれたこれら国々への日本からのお礼のメッセージが出されています。

****在韓日本大使館:「震災支援、忘れない」韓国紙に広告****
「みなさんの温かな支援の手を永遠に忘れません」--。東日本大震災から1年を迎えるのを前に在韓国日本大使館(武藤正敏大使)は9日付の朝鮮日報、中央日報、東亜日報の朝刊3紙に日本の感謝のメッセージを伝える意見広告を出した。

広告はカラーで、子供たちの写真などを配し「日本を訪ねて活気あふれる姿を確認して」と呼びかけ、「みなさんと手を携え共に前へ進んでいきたい」と結んでいる。

韓国では昨年3月11日の地震発生直後に李明博(イ・ミョンバク)大統領が関係閣僚を集め「日本の被害復旧や救助活動の支援に最善を尽くすように」と指示。12日に各国の先陣を切って救援隊を日本に送り込んだ。【3月9日 毎日】
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****ありがとう、台湾」=被災者がテレビCMでメッセージ****
台湾のみなさん、ありがとう―。東日本大震災の被災者に多額の義援金を寄せてくれた台湾の人々に感謝するため、震災発生から丸1年となる11日から、被災者本人の出演するテレビCMが地元主要局で1週間放映される。企画した日本の対台湾窓口交流機関、交流協会台北事務所(大使館に相当)によると、こうしたCMを放映するのは世界でも台湾だけという。

CMには、震災当日に生まれた乳児と両親、漁師、木工職人といった被災者が出演。復興しつつある自身の生活を紹介するとともに、「台湾のみなさんのおかげで元気になれた。支援をありがとう」などとするメッセージを伝える。CMはテレビのほか、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」や屋外モニター、地下鉄でも放映される。【3月10日 時事】
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従軍慰安婦問題を抱える韓国など、周辺国との関係は必ずしも穏やかとばかりも言えませんし、こうした感謝メッセージでそうした関係が急に好転する訳でもありませんが、それはそれとして、感謝のメッセージをきちんと伝えることは重要なことでしょう。

震災対策を明治以来の対中政策の転換点に
韓国や台湾だけでなく、中国も温家宝が被災地を慰問するなど、支援に尽力しました。
中国人研修生20人を避難させ、自身は亡くなった宮城県女川町の水産加工会社専務、佐藤充さんのこともあって、震災後日本への好感度は大きく改善されたようですが、日本側の中国への好感度は厳しい数字となっています。

****中国、支援評価されず不満…トモダチ作戦の陰で****
中国では東日本大震災後、中国人研修生20人を避難させ、自身は亡くなった宮城県女川町の水産加工会社専務、佐藤充さん(当時55歳)が「英雄」として報じられたことなどで、日本に対する好感度が高まった。
読売新聞が中国誌「瞭望東方週刊」と昨年10月に行った日中共同世論調査では、中国側で日本を「信頼できる」と回答した人が55%に達し、2010年の15%から大幅に改善された。

だが、日本人で中国を「信頼できる」と回答した人は11%にとどまり、「信頼できない」は実に79%に達した。中国は震災後、ポンプ車を無償提供し、温家宝首相も被災地を慰問に訪れたが、米国のトモダチ作戦の陰に隠れて十分に評価されていないことに対し、特に知日派の間に強い不満が生まれた。

中国国際問題研究所の姜躍春教授は「日中間には歴史認識や領土問題などの解きほぐし難いわだかまりがある。一つの事件で一気に改善できるものではない」と指摘する。【3月10日 読売】
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ただ、この数字は、震災当時の支援体制やアメリカの「トモダチ作戦」の影響云々というよりは、08年の冷凍ギョーザの事件などによる中国への不信感や、尖閣諸島や南シナ海問題などにおける中国の強硬な姿勢への反発などの結果でしょう。
台頭する中国への脅威も日本側にはあります。

日本は今後、除染作業など復興に向けてなすべき仕事は山積しています。費用的にも膨大なものがあります。
現在だけでなく、明治以来、東アジアにおいて中国と日本はライバル的な立場に立つことが多くあり、戦争を含め多く出来事があり、結果として、南京虐殺問題なども最近また表面化しています。

しかし、隣国がいたずらに競い合うだけでは愚かしいとも言えます。安全保障的にも大きな火種となります。
この際、過去のいきさつやプライドなどは封印して、復興への協力支援を中国に求めるのはどうでしょうか?
共同の作業のなかで信頼関係も醸成され、信頼が生まれれば、膠着した歴史的問題にも対応の道筋が生まれるのではないでしょうか。

【「トモダチ作戦」で同盟関係の深さ確認
一方、アメリカの「トモダチ作戦」は、世論調査で“「成果を上げた」は79.2%で、「成果を上げなかった」の15.5%”【3月10日 時事】と好印象を得ているようです。
オバマ大統領はじめ米政府要人も、震災復興支援によって両国の同盟関係が深められたとの評価をしています。

****悲劇でさらに絆深まった」米要人が相次ぎ声明*****
オバマ大統領はじめ米政府要人は9日、東日本大震災から1年となるのを前に相次ぎ声明を発表し、犠牲者を改めて悼むとともに、日本との同盟関係の深さが震災の試練を通じて確かめられたことの意義を強調していた。

パネッタ国防長官は、震災直後に米軍と自衛隊が共同で行った復興支援の「トモダチ作戦」が「日米同盟の強さを証明した」と指摘した。長官は「米軍と自衛隊の間にある友情の絆に感銘を受けた。(震災の)悲劇によりその絆はさらに深まった」と述べた。

トモダチ作戦で米軍は、兵員2万4000人と航空機190機、艦船24隻を投入した。太平洋岸で行方不明者の捜索を行ったほか、津波被害を受けた仙台空港の復旧支援、気仙沼市大島などでのがれき除去といった活動にあたった。【3月11日 読売】
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アメリカのメディアは10~11日、主要紙が追悼や復興をテーマに1面に大きな写真を掲載、テレビも時間を割いて報じるなど、東日本大震災1年関連のニュースを大きく扱ったそうです。【3月11日 毎日より】
市民レベルでもアメリカ各地で追悼行事が催されています。

****あなたたちを忘れない」=米国各地で追悼行事―大震災1年****
東日本大震災から1年を迎え、米国では10日、日本人が多く住む大都市を中心に各地で追悼行事が催された。ニューヨークでは、日本の復興を支援する約100の団体が協力して追悼式典を開催。被災者への励ましの声が相次いだ。

式典には広木重之ニューヨーク総領事ら約1100人が出席。黙とうの後にスピーチした市内の医師、カマール・ラマニさんは、震災直後に宮城県南三陸町でボランティアとして医療活動に当たった。その後も心療クリニックの立ち上げなどで支援を続けており、「私たちはあなたたちのことを忘れない」と強調した。
また、福島県相馬市のみなと保育園からのビデオ・メッセージで、「(ニューヨークからの支援に)感謝の気持ちでいっぱいです。頑張ります」と元気に語る園児らが映し出されると、会場から歓声が上がった。

一方、ロサンゼルスではマンガ、アニメなどの日本文化を紹介するイベントが開かれ、震災発生時刻に合わせた午後9時46分(日本時間11日午後2時46分)には多数の参加者がろうそくを手に犠牲者の鎮魂と復興に祈りをささげた。【3月11日 時事】
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【「絆と言ってもそんなものだ」】
しかし、日本の現状に対する厳しい指摘もあります。

****絆」の精神喪失=日本在住の元Wポスト紙記者****
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は10日、東日本大震災から1年を迎えるに当たり、同紙東京支局の元特派員で、現在は家族と神奈川県鎌倉市で暮らすポール・ブルスタイン氏の「日本は悲劇を経ても停滞から脱せず」と題する寄稿文を掲載した。この中で同氏は「絆」という言葉で象徴される震災直後の団結の精神が失われていると警告した。

寄稿文で同氏は、放射性物質が検出されていなくても自治体ががれきの受け入れを拒否していることに触れ、「絆と言ってもそんなものだ」と失望を表明。消費増税をめぐる政治混乱にも落胆を示した。一方、現在の停滞打破には女性の就業機会の拡大などが必要だとしている。【3月11日 時事】
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「がれきの受け入れ」問題も指摘のとおりですし、先日の沖縄での雪遊びイベント中止の件なども、今後の全国的な復興支援体制を考えるとき、冷静さを欠いているように憂慮されます。

****雪遊びイベント中止に=「放射性物質心配」の声―青森の630キロ無駄に・沖縄****
那覇市と海上自衛隊第5航空群(同市)は21日、23日に予定していた子ども向け雪遊びのイベントを中止すると発表した。雪は同航空群が青森県十和田市から搬送したが、沖縄県に自主避難している父母らから、「放射性物質が含まれているのでは」と懸念する声が相次いだためという。イベントは2004年度から続く恒例行事で、中止は初めてという。

イベント用の雪は約630キロ。八戸航空基地(青森県八戸市)の訓練に参加した隊員らが16日、十和田市内で集めてP3C哨戒機で運んだ。搬送時と到着時の2回、放射線量を計測した結果、過去の平常値と同じ水準だったという。

一方、那覇市には2月中旬ごろから、東日本大震災後に自主避難してきた人たちから、会場となる児童館や市に対し、中止を求める声が10件程度寄せられた。市は20日、児童館で説明会を開催。集まった約20人の父母らに対し、放射線量の測定結果を伝え、危険性はないとして開催への理解を求めた。
しかし、参加者からは「雪に含まれた放射能が溶けて空気中に拡散するのでは」「放射能汚染を避けるため沖縄に避難している。少しでも放射能が測定されているなら中止してほしい」などの声が上がった。【2月21日 時事】 
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なお、那覇市宇栄原(うえばる)の学童保育では、青森から運ばれた約250キロの雪がプレゼントされ、小学生60人が歓声をあげたとのことで、ややほっとする思いでした。【2月29日 朝日より】

チェルノブイリ、そしてフクシマ
話を海外の反応に戻すと、旧ソ連チェルノブイリ原発事故に見舞われたウクライナの首都キエフでも追悼行事が行われています。

****福島に思い重ね、早朝の祈り=チェルノブイリ事故のウクライナ****
東日本大震災から1年の11日、約26年前に旧ソ連チェルノブイリ原発事故に見舞われたウクライナの首都キエフでは、地震発生時刻に市民らが犠牲者を悼んでキャンドルに献灯。故郷を離れざるを得なかった福島などの被災者と自国民の境遇を重ね合わせ、希望の日が訪れるよう祈りをささげた。

市中心部のウクライナ国立歌劇場前の広場には100人以上が集まり、午前7時46分(日本時間午後2時46分)に黙とう。画家のマリヤさん(26)は雪に負けない梅の花を手に「悲劇が二度と起こらないよう願った」。【3月11日 時事】
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