孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国・新疆ウイグル自治区でのウイグル族弾圧に関し、中国は米による「虚偽のストーリー」と一蹴

2024-09-01 22:36:09 | 中国

(国際大バザールの前を警戒する武装警察の車両=7月5日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市【7月5日 共同】
私事ながら、2005年カシュガルへの旅行の飛行機乗り継ぎで立ち寄ったウルムチの国際大バザール付近で、不注意から、パスポート、エアチケット、全所持金、クレジットカードなどが入ったバッグを置引きされてパニックに陥った・・・・そんな思い出もある場所です)

【2009年7月5日に起きた「ウルムチ暴動」 以後、中国政府は同化政策・監視を強化】
中国政府による中国新疆ウイグル自治区のウイグル族弾圧が厳しさを増し、国際的に大規模人権問題として意識され始めたのは、15年前の2009年7月5日に起きた「ウルムチ暴動」と呼ばれる事件がきっかけでした。

*****日本ウイグル協会「デモ参加者1万人が一晩で消えた」 ウルムチ暴動15年、中国を批判****
中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチで2009年に起きた大規模暴動から5日で15年となるのを前に、日本ウイグル協会は4日、東京都内で記者会見を開いた。

「ウイグル族による暴動」との表現は中国の一方的な発表に基づくものだとし、「中国は都合よく切り取った情報だけを公表し、事件の背景や不都合な事実を隠している」と批判した。

事件は09年7月5日、ウルムチ市内で発生。広東省の工場でウイグル族の工員が漢族に襲われて死亡した事件への抗議デモがきっかけとなり、一部が暴徒化して漢族や治安部隊と衝突。当局発表で197人が死亡、1700人以上が負傷した。

協会のレテプ・アフメット会長は「ウイグル人が中国人との共存は無理だと考えるようになった事件だ」と指摘。警察の無差別発砲や漢族の暴行があったとの証言や動画もあり、1万人規模にふくらんだデモの参加者が「『一晩で消えた』との証言も多い」と主張し、「実際の死者数は3千人超、行方不明者は1万人超とみられる」と訴えた。

中国政府は00年以降、自治区の学校でのウイグル語教育を順次廃止。アフメット氏は、当時、毎年10万人程度のウイグル族の若者が強制労働に従事させられ、不満が高まっていたことが事件の背景にあると紹介し、「事件の背景や当局の暴力を全く伝えず、悲惨な衝突に変えてしまった中国政府の責任は重い」と非難した。

事件後に逮捕され行方不明となった青年の事例も挙げた。「母親はメディアに問題提起後、国家機密を漏らした罪で逮捕された。国際社会は天安門事件には注目するが、この事件には無関心だ」と批判。

中国当局によるウイグル族への強制収容や強制労働など、西側諸国が現在批判している問題につながる事件だったとして、「国際社会は中国の一方的な情報をうのみにせず、私たちの小さな訴えに耳を傾けてほしい」と訴えた。【7月4日 産経】
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事件後、中国政府は同化政策を徹底し、監視社会を作り出していると言われてもいます。

****中国、ウイグル族の同化を加速 大規模暴動から15年、監視徹底****
中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ市で少数民族ウイグル族による大規模暴動が起きてから5日で15年がたった。

習近平指導部は徹底した監視と取り締まりで治安を確保。脱イスラム教や中国語教育の強制でウイグル族の漢族社会への同化を加速させている。多くの住民は迫害を恐れ、不満を表すのも困難な状況だ。

指導部は経済振興が進んだと主張して統制を正当化。ただ欧米では人権抑圧を問題視する声が強い。ウイグル族に強制労働させているなどとの批判が絶えない。

2009年の暴動で激しい衝突があったウルムチ市の国際大バザールは、5日も武装警察などが厳重に警戒した。当局はモスク(イスラム教礼拝所)が共産党に不満を持つウイグル族の拠点になることを警戒。商店主は、10年代後半から「当局の圧力で大切な金曜日の集団礼拝に行けなくなった」と語った。

オーストラリアのシンクタンクは20年、ウイグル族など少数民族を収容する施設が自治区に380カ所以上あると報告。米国務省は21年、100万人以上が拘束されたと指摘した。【7月5日 共同】
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【中国との対立のなかでウイグル弾圧を非難するアメリカ】
アメリカはこうしたウイグル族弾圧を中国批判のカードとして使っているようにも見えます。

****米、中国のウイグル弾圧非難 信教理由、1年間で1万人収監*****
米国務省は26日、世界の信教の自由に関する2023年版報告書を発表した。中国政府がイスラム教徒の少数民族ウイグル族やチベット仏教徒らに対する弾圧を継続し、信教を理由に1年間で最大1万人以上を収監したと非難した。

ブリンケン国務長官は記者発表で、中国政府によるウイグル族への「ジェノサイド(民族大量虐殺)と人道に対する罪」を批判した。(後略)【6月27日 共同】
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*****米、新たに中国5社に輸入禁止措置 ウイグル強制労働関与で****
米政府は8日、新疆ウイグル自治区の少数民族の強制労働に関与し、人権を侵害しているとして、新たに中国企業5社からの輸入を禁止すると発表した。

ウイグル強制労働防止法に基づき、香港に拠点を置くレアアース・マグネシウム・テクノロジーグループ・ホールディングス(0601.HK), opens new tabとその親会社のセンチュリー・サンシャイン・グループ・ホールディングス(0509.HK), opens new tab、紫金鉱業グループ(601899.SS), opens new tabの子会社などが対象となる。

指定企業はこれで70社を超え、綿衣料品や自動車部品、ビニール床材、太陽光パネルなど扱う企業が含まれる。

これに対し、在ワシントン中国大使館の報道官は「いわゆる『新疆での強制労働』は反中国勢力が拡散したひどい嘘であり、米国の政治家が新疆を不安定化し、中国の発展を阻止するための道具に過ぎない」と反発。「中国は中国企業の正当かつ合法的な権利と利益を今後もしっかりと保護する」と述べた。【8月9日 ロイター】
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【中国はアメリカによる「虚偽のストーリー」と一蹴】
中国政府はアメリカなどが批判する「収容施設への隔離」とか「強制労働」といったものを否定し、アメリカなどによる「捏造」だとしています。

併せて、現地では中国政府指導のもとで経済発展著しく、多くの住民がその恩恵に浴しているとも。

*****米国、新疆へのデマ製造に自国納税者の数百万ドル浪費****
中国北西部の新疆ウイグル自治区がまたにぎやかな観光シーズンを迎えている。カシュガル市の旧市街やウルムチ市の大バザールなど海外でも知られる人気スポットには観光客がひしめき合っている。

2023年に人口2580万人の同自治区に国内外から訪れた観光客は延べ2億6500万人。観光収入は2967億元(1元=約21円)と、同年のハワイの倍に上った。

観光産業の活況は、新疆のエネルギッシュな社会・経済発展の一面にすぎない。そんな新疆について荒唐無稽なデマをばらまいている国がある。米国だ。だが自国納税者の公金を使って激しい中傷キャンペーンを繰り広げても、その発展を止めることはできない。

コリン・パウエル元米国務長官の首席補佐官だったローレンス・ウィルカーソン氏は18年の講演で、新疆ウイグル自治区を利用して中国の不安定化を図ることを示唆した。これはワシントンの陰謀を暴露するものと広く受け止められている。

新疆の人々にとってはあまりにとっぴな計画だが、ワシントンは近年、中国封じ込めのための新疆利用に明らかに力を入れている。その最初の陰謀の一つが、この地区への狂ったような中傷キャンペーンだ。

強制労働、少数民族の弾圧、さらにはジェノサイド(民族大量虐殺)。根も葉もない告発は笑いぐさにすぎない。だがワシントンは見え透いた目的のため、これらの虚偽のストーリーに毎年途方もない額の税金を費やしてきた。

例えば、主に米議会から資金提供を受けている全米民主主義基金(NED)は、反中分離主義のウイグル族組織を支援するために毎年数百万ドル(1ドル=約146円)を提供している。

NEDのウェブサイトによると、21年にウイグル族の「人権擁護」プロジェクトに提供した資金の総額は258万ドルに上る。それ以前の助成金の額を示したページは「準備中」とされ、22年と23年の助成金額はまだ公表されていない。NEDはこのサイトで「04年から20年までウイグル族団体に875万8300ドルの資金を提供した」とし、「ウイグル族団体を支援する唯一の機関である」と自称している。

米国の人々が支払わされているのは、デマ製造装置にかかる費用だけではない。いわゆる「ウイグル強制労働防止法」(UFLPA)などに基づく米国の根拠のない制裁によって生じた多くの商品の価格上昇による代償も、米国人納税者が負っているのだ。

例えば、中国製ソーラーパネルは米国製より20〜40%安い。だが残念なことに、米国は中国のソーラーパネル企業からの輸入を妨害し、輸入業者のコスト上昇を招くと同時に、再生可能エネルギーの目標達成に向けた自国の努力をより複雑なものにしている。

UFLPA事業者リストに掲載された企業は、衣料品、農業、多結晶シリコン、プラスチック、化学、電池、家電など幅広い分野に及んでおり、米国の製造業者や消費者への全体的な影響は広範囲に及ぶとみられる。

その一方で、米国の制裁が新疆の社会・経済の発展に深刻な打撃を与えているという証拠はない。

21年末に制定されたUFLPAが22年6月に発効してから初の通年データとなる23年の同地区の域内総生産(GDP)は前年比6.8%増え、1人当たり可処分所得は前年比7%増の2万8947元に達した。

多くの外国人ビデオブロガーが新疆の各地を旅して発信している通り、現地社会は繁栄しており、安定的で調和が取れ、ウイグル族やその他の少数民族を含む人々はより良い生活を送れるようになっている。

制裁の対象になった企業は、輸出規制で多少の逆風にさらされたものの持ちこたえ、倒産はしていない。これらの企業の製品は中国の広大な国内市場で消費されるか、別の国に輸出されている。米国市場を失うことは残念かもしれないが、致命的ではない。

ワシントンが新疆に対する高くつく中傷キャンペーンを続けても、より多くの米国の税金が無駄な事業に浪費されるだけだろう。【8月31日 新華社】
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【中国主張の説得性を損ねる天安門事件等にかかる隠蔽体質】
世界ウイグル会議、日本ウイグル協会やアメリカの情報が真実で、中国の主張は事実を隠蔽する政治的プロパガンダに過ぎないと頭から決めつけるのも論理的ではないでしょう。

世界ウイグル会議、日本ウイグル協会の主張には、ややセンセーショナルな中国批判が含まれている可能性も。
アメリカの言う100万人以上が収容施設に拘束された云々も、個人的にはその数字に「本当だろうか?」という疑問も。

また、中国の言う経済成長の成果云々については、その利益を享受しているのは漢族とそれに繋がる一部ウイグル人だけで、多くのウイグル住民には及んでいないとされますが、本当にそうなのか、それも検証が必要でしょう。

ただ、中国は天安門事件についてその鎮圧の実態を隠蔽し、暴徒による暴動として封印しようという情報操作を行っていますので、ウイグルに関する主張についても、そういう隠蔽体質が疑われ、なかなかその主張を受け入れるのが難しいのも事実です。

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