孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

リビア児童集団HIV感染事件 被告等帰国・恩赦で自由の身に

2007-07-25 14:06:39 | 国際情勢

(ブルガリア首都ソフィアへの帰国を喜ぶリビア児童集団HIV感染事件の被告等 AFP=時事)

リビアの病院で児童438人を故意にエイズウイルス(HIV)に感染(うち56人が死亡)させたとして8年間拘束され、死刑判決を受けていたブルガリア人看護師5人とブルガリア国籍のパレスチナ人医師1人の計6名について、終身刑に減刑されたことでブルガリアに身柄が引き渡されました。
ブルガリア首都ソフィアに到着した時点で、ブルガリア大統領の恩赦が下され、自由の身になったそうです。
(これまでの経緯については今月12日のこのブログでも取り上げました。
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20070712 )

今回の事件については、ブルガリア政府やEUまたフランス政府が死刑回避の働きかけを続けてきており、14日のブログでも触れたように、フランス新大統領サルコジ氏の夫人セシリアさんも最近2回トリポリを訪れリビアの実質的指導者のカダフィ大佐と会談をおこなったことが報道されていました。
(ファーストレディなんて退屈で興味ないといったことを発言して話題になっていたセシリアさんですが、ファーストレディと言うより特命全権大使というようなご活躍です。)

事態の進展の背景には、一人100万ドル(1億2000万円)とも言われる補償金交渉が、被害者家族と、リビア・ブルガリア両国政府がEUの支援を受けて設立した被害者家族のための基金との間で妥結したことがあります。
この件について、フランスのサルコジ大統領は「自国もEUもいっさい金銭的負担は負っていない」と強調しているそうです。
すると、支払は全額ブルガリアでしょうか。

6人は「感染は自身らが同病院に勤務する以前に起こったもので、病院の劣悪な衛生環境が原因だ」として無罪を主張してきました。
拘束中の拷問によって自白を強要されたとも言っています。
ただ、このあたりの事件の真相についてはよくわかりません。
いたずらにリビアを刺激するのも得策でないとの判断もあったでしょうし、今後も事件については封印されるのではないでしょうか。
(こういったことはどこからか漏れるのが常でもありますが・・・。)

昨日の最終局面でリビア側が「リビアとEU間の外交関係の完全な正常化」、「チュニジア国境からエジプト国境までのリビア東西を横断しリビアとアフリカ各国を結ぶ高速道路や鉄道などのインフラ建設支援」、「遺跡の修復支援」、「ベンガジの病院の設備改善」などの要求を出し、交渉が危ぶまれる場面がありましたが、「欧州各国との国交正常化、ならびにEUとの関係正常化に向け、公約を取りつけた」(リビア高官)、「カダフィ大佐に対し本件が解決されれば、関係正常化に向けて最大限の努力をすると伝えてある」(EC委員長)ということで、何らかの合意に達したようです。

まあ、死刑執行という事態とは比べようもないですが、8年間にも及ぶ拘束、拷問があったとの批判等々を考えると、「ECとの外交関係の完全正常化」とは言っても、核開発の全面放棄などで改善しつつあったリビアのイメージにとってプラスになった事件とは思えません。
もちろんリビア側の主張に立てば全く異なる話になる訳ですが、真相が明らかにならない場合は結局各自が抱いているイメージで判断するしかないとも言えます。




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