魔性のフェラーリ

　　

　劇的！　ビフォア・アフター　
この写真ではわかりにくいかもしれませんが、左の写真（ベルギーGP予選）の真ん中にいるフォースインディアのドライバー・フィジケラさんが、右の写真ではフェラーリ・ドライバーになっています。
なじぇ？

実は、フィジケラは、フェラーリからマッサの代役として移籍しないかというオファーを受け、フォースインディアとの契約を解除してフェラーリに移籍したのです。
次のイタリアGPからは、フィジケラがマッサのマシンをドライブします。

ベルギーGPで最後までライコネンとトップ争いをした腕前を評価されてのことのようですが、よそのエースドライバーをシーズンの途中で引き抜いちゃうなんてことが、どうもF1では「あり」みたいなんですね。
昨年ハマったばかりのわたしには、そういう感覚がわからなくてびっくりしました

　フォースインディア代表、ヴィジェイ・マリヤ氏のコメント
「イタリア人ドライバーにとって、フェラーリのレースシートをすることは長年の夢であり、ジャンカルロも例外ではなかった。誰も邪魔をするべきではない。
さらにフェラーリにおいてのジャンカルロの長期的な将来についても同意されている。したがって、ジャンカルロは、フォース・インディアのために重要な貢献をしてきたので、これを妨害することは間違っている」

どうやら、フォースインディアは突然エースドライバーを失うという事態に、大人～な対応をしてくれたようです
マリヤさん、男前！

でも、わたしは、仮にそういう誘いがきてもフィジケラは断るだろうと思っていました。
フォースインディアのマシンもこのところ戦闘力をつけてきていたし、フィジケラの腕もあってのことでしょうが、ベルギーではポールポジションをとったり、優勝争いをしたりしたんですからね。
「自分とチームがつくりあげてきたこの車で、F1に旋風を巻き起こすよ！」と言うものと思ってました。
それに、フェラーリがフィジケラに求めている役割は、マッサが帰ってくるまでのつなぎ。
マッサは、もう一度頭蓋骨の形成手術を受けなければならないので、今シーズンの復帰はないとフェラーリはいっています。
そのため、今シーズンの残り５戦にフィジケラがマッサの代役として参戦し、マッサが復帰すると見られる来シーズンからはリザーブドライバーに就任することになります。
今さらフェラーリのリザーブドライバーになるぐらいだったら、フォースインディアのエースとして、フェラーリをやっつけるぞ、と思うだろうと思ったんですが、フィジケラはこの申し出を受けました。
彼は既にベテランドライバーなので、今生の思い出に、たとえ数戦でもフェラーリのドライバーとして走り、後はリザーブドライバーとして縁の下の力持ちに徹しようと思ったのでしょうか。
フェラーリのマシンをドライブする、というのはそれほど魅力的なことなんですね

ところで、彼が来季からフェラーリのリザーブドライバーになるということは、この人が放出されてしまうことを意味します。


　ルカ・バドエル。

長年フェラーリのリザーブドライバーを務め、マッサの代役としてヨーロッパGPとベルギーGPに参戦しました。
ところが、長いブランクのせいか、ポジションは常にドンケツ。
周囲から、「車が良ければ誰が乗ってもそこそこ速く走れるというわけではないんだなあ」と言われたり、「Look,how bad you are!」（早口でいうとルカ・バドエルに聞こえる）というニックネームをつけられたり、「うちのばあちゃんの方が速いぞ！」という横断幕を張られたり（何もそんなのつくらんでも）…

わたしも、カメの呪い　とか、「完走だけはする男」とか、色々ひどいことを書きましたが　決して、この人、嫌いではありませんでした。
わたしは、強い、速い、カッコイイ、美しいetc.　よりも
　　オモロイ
に最高の価値を置く大阪人なので、この人はむしろそそられるキャラクターです

栄光のフェラーリのマシンでドンケツを走れるやつ。

まるで、昨年巨人に１３．５ゲーム差をつけながら逆転優勝されてしまった阪神のようではあーりませんか。
このまま、Ｆ１のハルウララのような癒し系ドライバーになってくれるなら、それはそれでいいじゃないかと思っていましたが、フェラーリチームはそんなまったりしたチームではありません
序盤あんなにいつまでもノーポイントだったのに、いつのまにかコンストラクターズランキング３位に上がってきたので、その座は守りたい（Ｆ１にクライマックスシリーズはありませんが）
そのためには、実質１台の車で戦っていては、マクラーレンに抜かれてしまいます。もう１台にもポイントをとって貰わないと。
というわけで、フィジケラを獲得し、バドエルはレギュラードライバーだけでなく、リザーブドライバーの地位も失ってしまうことになりました。
１０年以上フェラーリのリザーブドライバーを務め、ようやくレギュラードライバーとして走る機会を得たバドエルですが、わずか２戦で交替。
何となく蝉の一生を思わせられます
それでも彼は、フェラーリでレースをすることを引き受けたことを後悔はしていないと語っています。
「迷ったら前に出ろ！」と言ったのは星野さんですが、バドエルはまさにそうしました。
ある意味、記憶に残る男前ドライバーだったと思います

フェラーリは今回の件で、他のチームのように若手の育成に目を向けてこなかったことを反省するコメントをしています。
どのチームもたいていは、リザーブドライバーには、「いずれうちのレギュラードライバーになってね」という若手を起用しています。
しかし、フェラーリは読売○ァイアンツのようなところのあるチームで、よそからチャンピオンになれそうなドライバーをばんばん引き抜いてくるんですね。
そのため、マッサがケガをした時、すぐに代わって走れる人がいませんでした。
「これからは若手の育成プログラムにも取り組むつもりだ」といっていますが、そう言ったそばからフィジケラをリザーブドライバーにしていていいのか？

「Ｆ１の読売○ァイアンツ、フェラーリ！」
「ところで、Ｆ１でもクライマックスシリーズやったらいいと思わない？」
「て、どないするんよ？」
「ランキング２位と３位のドライバーがガチンコ勝負して、勝った方と１位のドライバー、一貴くん、琢磨くん、トヨタ、ブラウンＧＰが、鈴鹿で日本シリーズをやるの」

バーニーおじいちゃん、いかがでしょうか？