BE HAPPY!

大山加奈選手、岩隈久志選手、ライコネン選手、浅田真央選手、阪神タイガース他好きなものがいっぱい。幸せ気分を発信したいな

北京へ

2008-07-14 17:27:23 | バレーボール


  画像はTBSのHPでダウンロードできる壁紙です。他に、サオリン、シンさん、テンさんヴァージョンがあります。

 WGP決勝ラウンド
 日本 1-3 キューバ
 日本 2-3 アメリカ
 日本 3-0 イタリア
 日本 1-3 中国
 日本 0-3 ブラジル
1勝4敗 6チーム中6位

 北京オリンピック代表選手
栗原、多治見、竹下、大村、高橋、佐野、杉山、櫻井、狩野、荒木、木村、河合

 いよいよ次は本番ですね。
WGPでみつかった課題を修正し、メダルを目指す全日本。
この大会でみつかった課題は、
「攻撃の厚みが必要」(柳本監督)
「コンビが使えれば互角に戦えるが、そうならなかったら走られる」(サオリン)
というところでしょうか。
「サーブレシーブをきっちりセッターに返し、コンビにつなげて勝つ」というのが日本の伝統的な戦い方で、柳本ジャパンもそれを踏襲しています。
では、「サーブレシーブがきっちりセッターに返ってコンビが使える」というのは、具体的にどういう状態をいうのでしょうか。
決勝R第一戦のキューバ戦、日本は第一セットをテンポよく取りましたが、第2セット以降はシンさんがサーブで狙われるなどして守備が崩れ、キューバに3セット連取されました。
日本が自分達のバレーを展開できた第一セットは、サーブレシーブ返球率は80%。第二セット以降は60%でした。
アメリカ戦も似たような展開で、調子よく獲った第一セットは返球率が79%、第二セット以降はやはり60%程度。
そして、イタリアをストレートで下した第三戦の通算返球率は76%でした。
この数字からいくと、日本がコンビバレーでセットを奪うためには、76~80%以上の返球率が必要ということになります。60%になると、相手にもっていかれてしまう。
一方、キューバの返球率は約60%でほぼ日本と同じ、アメリカはやや下回る50%台後半でした。
つまり、外国チームは5~60%台の返球率でもセットを奪うことができ、日本はその返球率だとやられてしまうことになります。これはおそらく、レシーブが返らなかった約40%部分の得点力の差でしょう。
キューバは、ルイザやカルバドスが思い切り崩れたボールも決めていましたし、アメリカもハニーフやトムがいたけれど、日本はいまひとつ決めきれていなかったということだと思います。これが、監督のいう「攻撃の厚み」の違いでしょう。
柳本ジャパンが本番で勝つためには、(1)自分達のバレーができる76%以上の返球率を3セットにわたって維持するか、(2)60%程度の返球率でも得点できるよう決定力を高めるかの二つが考えられます。
しかし、代表メンバーの顔ぶれを見ると、(2)は難しいでしょう。そういう基準で選手を選んでいないからです。
代表メンバーは、オールラウンドタイプのサイドアタッカーと、センタープレイヤーで構成されています。堅守からのコンビ攻撃については非常にレベルの高いプレイができる選手が揃っていますが、崩れた時の決定力は重視されていない。
世界の上位チームには必ず、「100%その選手がくるとわかっていてディフェンスが待ちかまえているのに決められてしまう」アタッカーがいます。ブロックやレシーブがはじきとばされたり、ブロックの上から叩き込まれたりして、とにかく決められてしまう。
日本ではメグさんがそれに近いタイプですが、メグさんと車輪の両輪になれる選手、メグさんと交代できる選手がいないのです。レシーブも速い並行もと、あれこれ要求せずに、ひたすら決定力だけを見て探したら、一人ぐらいいたんじゃないかと思いますが、監督はオールラウンダーの狩野選手を選択しました。
守備のいい狩野選手がコートに入ると、サオリンやシンさんの守備の負担は減りますが、決勝Rを見た限りでは攻撃の厚みにはつながっていないようでした。守備固めなら、櫻井選手というスーパーレシーバーを招集しているのだから、彼女を上手く活用して、サイドはあくまで決定力重視で選んでいたら、もう少しバランスのいいチームになっていたような気が、個人的にはするのですが…
では、もう一方の76%以上の返球率を維持してコンビバレーで押し切る方は、どの程度現実的なことなのでしょうか。
イタリア戦ではとりあえずそれができていたので(イタリアが本調子だったかどうかは度外視するとして)、不可能ということはないでしょう。
しかし、決勝ラウンド5試合中1試合しかできなかったということは、毎試合コンスタントにそういう形にもっていくのは非常に難しいのかもしれません。
サーブレシーブの返球率は、セットによっては30%台に落ち込むこともあります。
相手が強豪であればあるほど、サーブも威力があるし、データバレーでいやらしく狙ってきたりもします。
メダルをとるためには、そういうチーム相手に、7~80%以上の返球率を維持する必要があると思えますが、実現可能なのでしょうか。
今の全日本は、レーシングマシンのように、エンジンの回転数の狭い範囲でのみ高性能を発揮する車みたいな印象があります。
その危うさ、脆さを、本番までの一か月弱の間にどう詰めていくのか。あるいは、何らかの突破口を他に見つけられるのか。
アテネからの4年間の間に、選手一人一人は本当にレベルアップしていると思います。バランスのいいチーム構成をして、的確な戦術で戦えば、本当にメダルも夢ではない力がついてきていると思います。
残念ながら、その部分の指導者の方針に時代と逆行するものがあるのではないかというのが、私の感想です。
本番で、この予想がいい方向に裏切られることを期待していますが…