AMASHINと戦慄

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サブカルクソ映画

2018年06月24日 | しねしねシネマ
今年の3月に京都みなみ会館で鑑賞した丸尾末広原作の『少女椿』のアニメーション映画は、内容もさることながら、その映像自体実在してたいこともかなり衝撃であった。
その時にいろいろネットで検索してて不覚だったのが、2年前に『少女椿』が実写化されて全国で上映されていたことを全くあずかり知らなかったことである。
先日の京都での『丸尾末広大原画展』の心構えとして、その前日に本作をレンタルでかりてようやく鑑賞。

監督・脚本は、TORICOとかいう20代くらいのファッション業界のギャルみたいな人物。
実際ファッションデザイナーとしても活動している人物で、丸尾末広の大ファンらしく『少女椿』を読んだ時「いつか自分で映画化してみたい」と長年チャンスを窺っていたなかなかの野心家みたいだ。

主役のみどりちゃん役を演じてるのは、中村里砂というモデルみたいな女優。
確かに外見的にこの少女感と目力加減がみどりちゃん役にピッタリの女優さんだなぁと。
で、この中村里砂さん、なんとあの中村雅俊の実娘さんというのにも驚いた。
中村雅俊といえば、ファンだった母親のいいつけにより、私が小学生低学年の時に一生懸命貯めたなけなしのおこずかいで買わされた人生で初のレコードが彼の作品であったという屈辱的で暗い思い入れがある。
たしか『心の色』とかいうシングルレコードで、「黄色いつばめが・・・♪」とかいうようわからん歌詞の湿っぽいラブソングだったように思う。




この有名タレントの二世を使って、このギャル監督が丸尾末広の倫理感無視の狂ったようなエログロ世界をどれだけ実写しえているのであろうかと、大変興味深かった。

オープニングは、なかなかモダンテイストな趣きで、BGMやタイトルアニメーションの使い方も非常にオシャレでカッコよかった。
監督のこれまでの経験で叩き上げた力量のなせる技なのか、周りのスタッフがよほど優秀だったのか、3週間で仕上げた割にはかなりの完成度で映像クオリティも高い。




人物設定も、まぁこの手のカルト映画において、原作のように小学生くらいの少女を起用するというのは無理があり、成人したモデルの中村里砂さんを使うのは妥当かと。
ワンダー正光役もホンモノの侏儒を使うのではなく、演技派で背が低めの風間俊介を起用したのはうまい。
だから最後の観衆がヤジを飛ばすところも「侏儒の分際で」ではなく、「バケモノ」に変更されてある。
まぁそれなりの体裁は整えてあるのは仕方なしといったところか。

劇中でみどりちゃんの衣装が常に黄色の水玉模様の洋服であるのは、まぁ原作の『少女椿』は読んでないので知らないんだが、3月に見たアニメーション『地下幻燈劇画 少女椿』の映像とは大きく異なる部分だ。
原作『少女椿』の表紙はやはりあの黄色の水玉模様の洋服に身を包んだみどりちゃんが印象的である。
やっぱファッション業界人の観点からしてもあの衣装を着てるみどりちゃんにこそ魅力を感じている部分なのであって、あの衣装を着せるのは必須事項だったのであろう。
まぁそういう点でも、この映像作品はコスプレごっこ感が強い。




見世物小屋の4人衆も、まぁよくもこんなイメージピッタリの役者たちを集めたなぁと。


特に蛇女紅悦役を演じた森野美咲さんの成り切りぶりは実に見応えがあった。
熟女の憎々しいセリフ回しもさることながら、己のダイナマイトバディを遺憾なく発揮したまさに体を張った濡れ場シーンも原作以上のものがあったのではないだろうか。
AV女優の人かと思ったら、元レースクイーンのグラビアアイドルあがりの女優さんだとか。
この紅悦のキャラが際立ちすぎたため、他のキャラは普通に見えてしまった。カナブンのキャラは単なるオネェキャラでずいぶんとかけ離れてたなぁ。
ただ、それぞれ自分たちに求められたキャラを全力で演じている熱意は感じられた。


まぁ数ヶ月前にあの強烈なアニメーションの方を先に鑑賞してしまったこともあり、それほどのトラウマ感はなかった。
この実写版はファッション業界のサブカル趣味の女監督がいろんな小道具を取り揃えて、キャラにピッタリの俳優陣を配し、ポップでオシャレにこさえたよく出来たファッションショーといったところでしょうか。
鳥居みゆきや鳥肌実などのサブカル方面からの友情出演、そして手塚眞(手塚治虫の倅)などのカメオ出演も、この監督の人脈の広さというより、丸尾作品実写化という誘引力のなせる業かと。

これはこれでこの監督らしいキラキラした表現力が成した意欲作としてよくできてると思う。
ただ、巨匠クラスを引き合いに出すのはフェアではないし的はずれかもしれないが、鈴木清順監督の『ピストルオペラ』のようなアーティスティックなアヴァンギャルドさ、石井輝男監督の『盲獣VS一寸法師』ばりのタブー犯しまくりのヤバすぎるグロテスク感には到底及んではいなかった(当たり前だが)。
ああいう映像が、観たあとにズルズルと引きずるトラウマ傑作映画となりうるのである。

丸尾作品を実写化するなら、やはりそこまで踏み込んでほしかったかと。
つか私もいい加減そろそろ原作を読もう。

今日の1曲:『あの子のジンタ 』/ チャラン・ポ・ランタン

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