足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

日米のIPO市場はほぼ互角・・・年末に勢い

2006-12-25 17:12:45 | 株式

今年のIPO市場は日米とも史上2番目の活況になったようだ。ITバブル時以来のことである。

米国は440億ドル(52000億円)の資金が市場を通じて吸収され、東京市場は13900億円であった。ほぼ日米の市場の時価総額比であった。日本がこれから技術革新をとりいれ、エマージング国の「ものづくり」に追いつかれないようにするとともに、米国のようにサービス産業を育成するためには、IPO市場が時価総額比ではほぼ同じで満足しているわけにはいかない。

かねての私に持論である1970年~1980年にウォール街がインテル、アップル、マイクロソフト、シスコ・システムスを生み出したようなナスダック市場を、これから急いで育成しなければならない。

今年は1月のライブドア問題が新興市場の株価に大きな悪影響を与え、せっかく市場に参入してきた個人投資家の投資マインドを大きく傷つけた。ライブドアの責任は社会的にも、経済的にも大きかった。

米国では来年のIPO銘柄にはボストン・レッドソックス、ブルンバーグ、フィデリティー・インベストメンツ、In-N-Outバーガー、アンソニー・マグリカ(懐中電灯のメーカー)、マッキーエニー、ハーポ・インク(メディア)、クレイグスリストなどが上げられている。

東京市場は12月のIPO30社の顔ぶれが多様化し、久しぶりに手応えのある企業が散見された。

先週来のパイプドビッツ(3831・マ)、マルマエ(6264・マ)、eBASE(3835HC)などはユニークなビジネス・モデルである。


行動心理学者からのヒント

2006-12-24 16:53:59 | 株式

行動心理学者B・F・スキナーの人間の本性のひとつとして「プラスの経験によって喜びや満足感を得て、また同じことを繰り返したくなる。ハイテク製品や技術を使ってプラスの経験をした人は、同じ製品や技術を買いたくなる」と、この行動学的な側面を「プラスのフィードバック」と名づけている。

また「人間はひとつの方法を身に付けると、他の方法を学ぼうとしなくなる。ハイテクやソフト・ウェアーの利用者にはこの傾向が顕著にみられる」として、この行動を「ロック・イン」と名づけた。

年末商戦をみていてこのことは株式戦略に適用できるとおもった。

ここ1~2年は家庭用ゲーム機器の世界は再び下克上の時代を迎える。任天堂、ソニー、マイクロソフトである。上記の行動心理学の理論を適用すると、「どこが勝者になるか?」

これまで任天堂関連に注目した。まず半導体のメガチップス(6875)、そして次にはDS,Wiiのソフト開発に力をいれるハドソン(4822・HC)である。


サンタクロース・ラリーに入るか?

2006-12-23 18:44:04 | 株式

毎年、12月にはサンタクロース・ラリーがある。しかし今年はいままでのところサンタクロースが素通りしそうなムードであった。

特にウォール街では、12月はインターネットやハイテクが動く習性があったが、今年は不発に終わろうとしている。今週の相場はダウ平均-0.8%、ナスダック-2.3%であった。

年末前の5日間は相場が高いのだが、来週月曜日はクリスマスで市場は休場なので、余すところ4日しかない。あきらめムードさえあり、トレーダーには冬の休暇に入る人たちも多い。

しかし「あきらめるのは早い。来週は相場は反騰する」とみる向きもある。11月の小売りよくなかった。それだけに今週の金曜日から始まったショッピング・シーズンの最後に賭ける意気込みが小売り業者にはみられる。年間の50%近くをこの期間に売り上げる。

好調なのはオンライン・ショピングである。11月にはいってから現在までの売上げは前年比+26%で推移している。消費者のオンライン・ショピングへの傾斜が一段と強まっているようだ。

人気商品の3大アイテムは「T.M.X.エルモ」「Wii]「PS3」である。

「T.M.Xエルモ」はセサミストリートのモンスターで10年前の1996年に大ヒットした人形だ。くすぐるとしゃべりながらゲラゲラ笑う。今回は第2世代でどこかをくすぐると、さまざまな行動をしながら笑う。10年間のハイテクの進歩でエルモも成長した。この3品目は世界的な人気商品という。あらためて任天堂、ソニーの「ものづくり」のすごさを認識させられる。

本日の銀座は快晴という天候にもめぐまれすごい人出であった。消費回復を思わせる。銀座通りの海外のブランド商品の店は満員だ。

有楽町ノビッグカメラでの長蛇の列は「Wii」を入手した人たちの商品の引き換えであった。完売で次回の入荷の予定は不明という。マーケティングのうまさが、日米で注目されている。

米国での小売の好調が東京でも肌で感じられるようになってきた。


短期の相場観

2006-12-22 18:49:15 | 株式

最近の相場の動向をみていてもニューヨーク株の傘の下からなかなか抜け出せないと痛感させる。

依然としてニューヨーク市場は世界の株価に大きな影響を与えるという構図は不変である。

2007年のNY株はどうなるか?

さまざまな視点から世界のストラティジストや機関投資家の運用者が分析を急いでいるが、調査会社トムソンのロバート・カイザーがなかなかユニークな仮説を打ち出している。「PER(株価収益率)は高ければ売り、安ければ買いという見方は相場分析の上では有効でない」という。

彼は過去20年間の相場を調べ「相場の居心地のよいゾーン」理論を出している。それは経験則からすると「PER16.7~16.9倍の間が適正株価である」という結論。

そして実践に利用する場合は「15.4倍以下と19.9倍以上は安全圏ではない」という。たしかに1970年~1980年間には115.4倍以下のケースが多かったが相場は低迷した」。逆に2000年以降は19.9倍以上になって暴落した。

投資家心理には合理的に説明できない面があるのだろう。

現在のPERは18倍。幸い危険ゾーンには入っていない。

来週月曜日はウォール街はクリスマス休場である。したがって今週は3連休だ。来週の東京市場は短期的にはNY株の傘の下から離れる。


バフェットの教訓

2006-12-21 17:54:53 | 株式

世界で2番目の資産家と今年もフォーブス誌が報じたウォーレン・バフェットが経営するバークシア・ハザウェイの株価は10月に1株が10万ドル(1180万円)の大台に乗った。

1000万円を超える株といっても、いまの東京市場なら別に驚きではないかも知れない。先のITバブル時にヤフーなど11億円を超える株価を経験しているからだ。

しかしウォール街の売買単位は100株なので、通常は最低単位を購入するだけで11億円強が必要である。

そのバークシア・ハザウェイの株価が最近は11万ドルに乗った。短期間に10%も上昇した。

今年の5月の安値85400ドルからすると+34%である。

今年の株主宛の報告書でバフェットは「41年間(1965年以来)で、わが社の1株当たり純資産は3125倍になった」と語った。

バフェットの会社は一種の投資会社で、これぞと思う企業に集中投資をするがM$Aが狙いではない。一部の例外はあるが(保険会社などを傘下にいれた)、コカ・コーラ、ファイザー、アメリカン・エクスプレスなどは長期保有の株主である。

ことしの株主への報告書には次のような一文がある。

「アイザック・ニュートンは“3つの運動の法則”を発見した。しかし“星の数を数えることはできたが、市場の狂気の数はつかめなかった”」

ニュートンは18世紀の有名な南海泡沫事件で損をした。

バフェットは「運動量がふえればふえるほど、成果は減少する」という第4の法則の発見には失敗したと語っている。南海泡沫事件にかかわりを持ったのが理由であると指摘する。

株式投資で成功するには回転率を減らすことであると、自分の体験から得たメッセージを株主に送った。