足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

株価には超自然的な動きがある

2015-12-26 07:23:02 | 投資戦略
昨日は東京市場を除き世界の主要市場はクリスマス休場。

最近のIPO(新規公開)市場で気を吐いたのが18日に公開したアクーン(3927)だ。本欄でも紹介したようにサイバーセキュリティ関連である。
昨日の1日の売買代金は124億円と三菱商事に並んだ。IPO価格は1,360円で昨日は8,760円と短期間に6.4倍になった。初値は2日目の4.925円で初値買いでも1.7倍になった。
年末で市場全般では見送り気分の強い地合いのなかでの人気化。関連株には先輩のFFRI(3692)がある。2014年9月に公開し短期間に18倍になった先例をみて資金が集中する。ここ1年間で日米ともサイバーセキュリティ関連の人気が大きく上がった。米国に比べ、東京市場ではこの種のビジネスに特化した企業が少ないだけに、人気に大きなプレミアムが付く。FFRIのPER429倍に対してアークンは129倍。株価の倍増を追いかける。同社の顧客層はFFRIよりも一回り大きい企業で、米国の大手サイバーセキュリティ関連企業のインパーバ(IMPV)の製品を取り扱う。
株価はファンダメンタルでは説明はつき難いが、今後の成長性を買う。
この種の銘柄の人気相場を形成する投資家には株価判断には独特の感性が働いているのか。

かつてモルガンスタンレーの名物ストラティジストであったバートン・ビッグスはヘッジファンドに転向して成功したが、名文家としても有名。彼の名著「アブない金融錬金師たち/ヘッジホッグ」(日本経済新社刊)で、株式市場でときとして大きなチャンスをつかむ投資家のことを次のように書いている。
「昔、詩人のロバート・サービスが次のように書いている。「白夜の下で金を探す男たちには奇妙なことが起きる」。続けて、「北極に残る足跡には血も凍る秘密が刻まれている」(サム・マギーの火葬))。運用稼業を長く続けていると、そのうち、奇妙な、ほとんど超自然的と言っていい事件に出くわすことがある。株式市場は気まぐれな生き物で、ほとんど海や北極のような自然の力みたいなものだからだ。」
投資での成功はファンダメンタルだけでは説明がつかないことを自分の体験から表現している。