中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第9回紬塾「自然で楽な着方」――着物を着る

2017年12月05日 | 紬きもの塾’17~’20
紬塾も残す所あと1回です。いよいよ着物の着方に入りました。

全く着物を持っていない方、着たことのない方も浴衣や私の紬を使って着てみたら、案外形になっていたのでご本人もホッとされたようでした。
下着や襦袢はいいものを揃え、きちんと着て、滑りにくい生地の紬や木綿の着物は楽にゆったり着れば良いと思います。
帯も仮紐を使わないでなんとかお太鼓の形になりました。

あとは何を纏うのか、どんなものを着たいのか、じっくり研究して自分にふさわしい、一生大切にしたい上質の佳い着物と出会うことです。

幸田文『きもの』の中にるつ子が好きな格子のきものを胸から下はハギだらけになっているけれど着続けている話が出てきますが、そういうものに出会えると良いと思います。

あと、着物や帯の仕立の寸法の話も今回は時間をかけました。
合わないものを初心者が着るほど難しいものはありません。

一般に身丈、裄丈は大きめに作られがちですが、紬や木綿の普段着をゾロっと着るのはヘンです。微妙な寸法は着ていかなければなかなかわかりませんが、どういう着方をしたいのかも追々自分で追求していくと良いと思います。

着物は簡単ではないけれどちょっと乗り越えさえすれば奥深さがわかってきて、むしろもっと着たくなるものではないでしょうか?
また、取り合わせる帯や小物を選びあれこれ逡巡する時間も自分を磨く楽しい時間です。

受講者のお一人、お茶をされている方が染めの着物しか持っていないということで綸子縮緬の着物でいらっしゃいました。
20歳頃に作られた着物を一度染め替えをされたものです。質の良いいい色の着物でした。
ただ、裾の八掛が擦り切れてしまっているということで仕立て直しをしたいということでした。

そんな時に自分のサイズを見直してまた一生着続けられると良いと思います。
上質の着物は長く使うことができ、愛おしさも増してきますし、結局お得なのだと思います。

染と織では生地感が違いますのでやはり着付けも微妙に違えると良いと思います。
私はコーリンベルトは使いませんが、滑りやすい素材の場合などはそういうものもお使いになれば良いかと思います。


着物の着方を簡単に言ってしまえば、着物を羽織る、自分の体型に沿わせて着物の裾を床スレスレに決め、動かさないようにして前身頃を合わせ身を包み、腰紐でおはしょりを作る。上身頃、おはしょりを整え衣紋を抜いて衿を合わせ胸紐(伊達締め)で押さえる。
これだけのことをクリアすればよいだけです。

お太鼓結びは慣れるまで少し時間はかかりますが、お茶の割り稽古のように服の上に伊達締めだけ締めて練習すると早く覚えられます。

自然で楽そうで、なおかつきれいな着付けの方を見るとうっとり、ホッとします。
きっちり補正下着で整えた木目込人形のような着方は私は苦手で息が詰まりそうになります。不自然な感じがします。
少なくとも紬の着方に関して言えば自然で楽なのがいいと思っています。


本日の私の着姿は地厚な3シーズン単衣紬(修業時代の最後に真綿から糸をつむぎ母のために織ったもの)にオールドの両面使えるジャワ更紗を締めてみました。

毎日着ているわけではないので完璧な着付けもできません。
静止画像は恐ろしくもありますが、、、写真に収めることで着方のチェックにはなります。
できれば自撮りではなく誰かに後や横からも撮ってもらうと参考になります。

帯も暫く使ってないと手を長めに取ったほうが良かったのか、短めが良かったのかなど忘れていたり、生地質や、帯芯の堅さも違います。お付き合いを長くしていかないとそれぞれの帯の個性を自分のものとしてこなすことはなかなかできません。

帯揚げの処理なども慌てるときれいにできてないこともあります。
しかしなんとかなる範囲であればとりあえずいいかな・・?と思います。(^_^;)

撮影用のモデルさんの着付けのようにしなければと思うと本来の着物を着る楽しみから離れていきます。
自分の体型に沿わせて着物の前身頃を合わせ身を包み、おはしょりで着丈を決め衣紋を抜いて着れているなら、多少の皺や襟元の緩みぐらいは徐々に直していけます。

とにかく着てみようという気持ちを大切にしてほしいです。

次回最終回はもう一度名古屋帯の仮紐なしのやり方をおさらいします。
帯が短い場合や地厚な生地の場合のクリップ使いもやってみます。




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