台中にある昔ながらの理髪店。店主アールイは40年にわたってこの店に立ち続け、常連客を相手にハサミの音を響かせている。彼女がひとりで育て上げた3人の子どもたちは既に独立しているが、頼りになるのは近所で自動車修理店を営む次女の元夫チュアンだけ。ある日、離れた町から通い続けてくれる常連客の“先生”が病に倒れたことを知ったアールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、古びた愛車に乗り込んで先生のもとへ向かう。
良い映画だった。見に行って本当に良かった。
昔ながらの床屋が舞台。若者は来ない床屋。客は高齢者ばかり。女店主も常連客と共に歳をとってきた。女店主は60歳を超えているだろう。
女店主がお客に「そろそろ髪が伸びてきてるから切りに来て」みたいな内容の電話をするのが良い。いわゆる営業の電話だけど、電話をもらうお客も嬉しいのではないかと思う。ついつい忘れる事もあるし。店は暇にしてるわけにいかないし。
最後の辺りでは、高齢者の客が店の中で食事もしていた。
女店主の子供達はどれも良くない。次女の元夫のチュアンと、旅先で出会う農家の青年はいい奴だった。それにカッコイイ。
一番のシーンは、女店主が(歯医者の)コ先生の家に着いて、先生の髪を切り、ヒゲをそるところ。まもなく死んでしまうであろう、目を覚まさない先生と交わした会話を、先生の息子・娘に披露する。自分の子供達に深い愛情を注ぐ、父親の知らなかった一面を知って家族が皆涙する。女店主も涙を流しながら髪を切る。
チュアンは義理の息子で子供を引き取って育てている。自動車整備の会社をやっている。近くにいてアールイを気にかけてくれる。彼が再婚の予定をアールイに告げる。もう関係も無くなってしまうから、これからあまり会えなくなる事をチュアンは申し訳なく思っている。いい奴だ。
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