yamaの読書日記

 活字中毒のyamaが日々手にしている本のお話を綴っています。
 読んだ本についていろいろお話しませんか?

神様のカルテ 0

2015-10-02 21:55:29 | その他
夏川草介さんの「神様のカルテ0」を今日読み終えました。

「神様のカルテ」シリーズの第3作目ですが、前2作の続編ではなく1作目に書かれている時より以前のエピソードを短編の連作で綴ってあります。

栗原一止が信濃大学医学部を卒業する直前の、「有明寮」で友人たちと卒業試験や国家試験に、そして進路に悩む姿を。
そして一止が松本市内の本庄病院で研修生として先輩先生方に指導を受けながら頑張る姿を。

また、末期癌の患者さんに真正面から向き合い医者として悩む姿を。
最後は、一止の彼女の榛名のお話。

どれも読みごたえがありますが、特に『神様のカルテ』と題された短編ではいろいろと考えさせられて・・・

末期癌の國枝が一止に『優しさは弱さではない。相手が何を考えているのか、考える力を「優しさ」というのです。優しさと言うのはね、想像力のことですよ』
                      素敵な心にしみてくる言葉です。
もう一ついいお話。
一止の指導医師である先輩の『大狸先生』は國枝に対する自分の医師としての立ち位置に悩む一止に言うのです。
『人間にはな、神様のカルテってもんがあるんだ。』なんですか?と問う一止に大狸先生は

『人ってのは、生きるときは生きる。死ぬときは死ぬ。栗ちゃんがいくらその生真面目な頭を振り絞って考えたって、國枝さんの人生が大きく変わることはない。國枝さんには國枝さんのために神様が書いたカルテってのが、もともとあるんだよ。そいつを書き換えることは、人間にはできないんだ。』

すごく味わって楽しんで読みました。
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