「ハンコレス」社会を目指して、河野大臣が奮闘しているが、私の経験では40数年前から、一部では事実上の「ハンコレス」社会だったような気がする。私のサラリーマン時代には契約書に印鑑をもらうことで、仕事が成立する。印鑑をもらわなければ、いかに口先やサインで、了解を得ていても、仕事が終わったことにならない。だが、得てして、お客様が印鑑をもって、来店されないことも多い。お客様は「明日、また来ましょう。」などと言うが、明日になれば、気が変わる。だが、会社近く、あるいは会社内には便利な人がいる。誰が名付けたか「ハンコ屋」である。よく使われるハンコを持っている人だ。細かく言えば、法律違反になるので、何で持っているかは言えないが、とにかく、たくさんの印鑑を箱に持っている人がいる。そこで、その人からハンを借りて、お客さんの了解を得て、押印する。私は少なくとも、客の了解をもらっていたが、中には、料金の支払いと文書での契約の確認をもらったことで、契約は成立したとして、表面上の契約書を作成していた人もいた。その際の押印はまさに事実上の「ハンコレス」社会である。ハンコが形式的であることはハンコが押してあるからと言って、本当に本人が押したかどうかわからないことにある。もちろん、ここで言うハンコは認め印で、実印などではない。(くちなし亭、2020.10.09)
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