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ジョン・アバークロンビー・クアルテット/アーケイド

2007年10月31日 21時09分43秒 | JAZZ
 ジョン・アバークロンビーというと、DMPからでた1984年に出たアンディ・ラバーンの「レキッド・シルバー」というアルバムで、ビル・エヴァンス直系といいたいようなラバーンのピアノに伍して、「ギターのビル・エヴァンス」といいたいようなプレイで、この両者が実に隠微なインタープレイを展開していたのがなにやらすっかり気に入ってしまい、2,3年前だったか、彼のリーダ名義のアルバムを数枚買い込んだことがあるのだが、これはその中でももっとも古い、78年のECMから出た作品である。私は彼の経歴とかを全く知らないのだが、多分、70年代後半にECMから出てきた人なのだろう、この作品は温度感の低いヨーロッパ的な優美さと、耽美的な雰囲気、そして独特の空間的なサウンドといった点で典型的にECMの香りを漂わせた作品だ。

 このアルバムのメンツは、アバークロンビー+ピアノ・トリオというスタイルによるクァルテットで、ピアノはリッチー・バイラーク、ベースがジョージ・ムラーツ、ピーター・ドナルドという布陣になっていて、メンツから薄々分かるとおり、おそらくここで聴ける音楽はアバークロンビー単独というよりは、事実上彼とバイラークの双頭バンドのようなものになっていて、実際、曲もバイラークが持ち込んだものの方が多いくらいくらいである。アバークロンビーのギター・ワークは理知的なセンスに支えられた、角の取れた独特の柔らかい音色が特徴であり、このアルバムでもそのあたりは縦横に発揮されているが、良くも悪しくも、ここではバイラークのやや情緒過多というか、妖しげで耽美的な雰囲気がアルバムの雰囲気を決定づけていて、バイラーク作の「ネプチューン」などという曲を聴くとそれがよく分かる。

 まぁ、なにはともあれ70年代に一世を風靡したECMレーベルだからして、こういう音になるのは、むしろ当然かもしれないが、その後のアバークロンビーの作品からすると、1曲目のタイトルトラックのような、もうすこし音楽主義的なところプレイで突っ走りたかったような本音があったような気もするのだが、2曲目以降は典型はとりあえずECMカラーに染まってみましたというところなのかもしれない。
コメント
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