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10cc /ミステリー・ホテル

2007年10月26日 18時15分33秒 | ROCK-POP
 10ccというとやはりケヴィン・ゴトレーとロル・クレームが居たころの作品が好きだ。それも似非オールディーズっぽいところが横溢した初期の2枚ではなく、ビートルズの実験精神とポップ性を70年に格調高く継承したような「オルジナル・サウンドトラック」と「ハウ・デア・ユー」がお気に入りだ。これはよく指摘されることだなのだが、この時期の10ccといえば、ゴトレーとクレームがパロディや実験面、エリック・スチュアートとグラハム・グールドマンがポップ面を担っていて、この2作ではそのあたりがほどよくバランスしているという感じなのである。これ以降の10ccはご存じのとおり、ゴトレーとクレームが脱退し、スチュアートとグールドマンが仕切っていくことになり、ストレートなAOR路線をとってセールス的にもある程度成功する訳だが、いかんせん前記の2作に比べると、中庸過ぎ、穏健過ぎて、私には少々食い足りないものがあるのだ。

 全く個人的見解だが、後期10ccは「愛ゆえに」あたりはまだ良かったものの、「ブラッディ・ツーリスト」「ルック・ヒア」と、その頃盛んにやっていたレゲエ路線とも相まって、個人的には全く面白みのないバンドになってしまったように思う。なので、この時期の10ccのアルバムはどれも印象の薄いものばかりなのだが、唯一、例外となっているのが「ミステリー・ホテル」なである。それというのも、このアルバム、ラストの2曲が抜群に出来がいいのだ。両曲ともエリック・スチュアートでなく、グラハム・グールドマンが仕切った曲と思われるが、「君は目を閉じて…」は巨大な落日のような黄昏感をもったバラード、「サヴァイヴァー」はスケールの大きいドラマチックな大作で、どちらも聴いていて心が熱くなるなるような仕上がりで、ほとんどこの2曲を聴くためにアルバムを購入しても惜しくない....と個人的には思っているくらいなのである。

 そんな訳で、この「ミステリー・ホテル」というアルバム、前述の2曲のせいで個人的には大好きなのだが(エリック・スチュアートの「恋のまわり道」も悪くない)、10ccの歴史の中でも最低迷期の作品という評価が定まってしまったのか、長いこと廃盤状態だった。個人的にはCD化を切望していたのだが、ふと思ってさきほど調べてみたら、なんと1年以上前に紙ジャケでCD化されていたのを発見した。さっそく購入しようとしたが、見事に完売状態であった。残念。紙ジャケとかいうギミックはいいから、本国あたりで普通に発売してくれないものだろうか?。
コメント (3)
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