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ANTONIO CARLOS JOBIM / A Certain Mr.Jobim

2007年08月02日 22時36分42秒 | Jobim+Bossa
 60年代ジョビンがワーナーに残した三部作?の掉尾を飾る67年作品。最初の「The Wonderful World of -」はボーカル・アルバム、真ん中の「Love Strings And Jobim」がインスト・アルバムだったとすると、こちらはその中間といいたいようなボーカルとインストがチャンポンになったアルバムになっているのが特徴だろうが、このアルバムの場合、やはりセールス・ポイントは、アレンジにクラウス・オガーマンが起用されていることに尽きるだろう。ジョビンとオガーマンのコラボレーションは64年の「イパネマの娘」に続いて、多分2回目にあたり、その次の大傑作「波」がインスト・アルバムだったことを考えれば、オガーマンがジョビンのボーカルを料理した作品という意味では、後の名作「テラ・ブラジリス」を予見した作品という意味でもおもしろいかもしれない。

 アルバムは、概ねジョビン作の「大」が付きそうなボサ・ノバ・スタンダードはジョビン自ら喉を披露し、比較的地味な作品はインストで仕上げているという感じだが、ボーカル作品は前述の通り、例えばオガーマンらしいストリングスとジョビンのボーカルの絡みなど「テラ・ブラジリス」を思わせるところを節々に伺わせるものの、あのアルバムのようなボサ・ノバを超えたスケール感のようなものはこの時点では未だなく、「イパネマの娘」でオガーマンが開発?した、「オーケストラによるボサノバ」を割と忠実に踏襲しているという感じである。また、インスト作品はほとんど「イパネマの娘」の未発表トラックのような仕上がりだが、ワルター・ワンダレーがその後再演することになる「サーフボード」のエレクトリックなサウンド、ワールド・ミュージック的な隠し味がチャーミングな「ワンス・アゲイン」などは、「波」で展開することになる、コンポを構成するひとつの要素としてストリングスを組み込む....みたいなアイデアを早くも披露しているのは興味深いところである。

 それにしても、このアルバムときたら全長26分といかにも短い。ボーカルとインストをほぼ交互に楽しみながら、オガーマンのエレガント極まりない弦と管のアレンジに耽溺していると、あっという間に至福の時は終わってしまう。せめて後2曲くらい入っていたら良かったに....と思う。とはいえ、「イパネマの娘」と「波」というマスターピースの狭間で、比較的地味な作品だが、これもジョビンはもちろんこと、オガーマンの傑作である。
コメント (1)
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