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松岡直也/スプラッシュ&フラッシュ

2007年08月23日 23時20分57秒 | JAZZ-Fusion
「夏の旅」に続いてリリースされた1985年の作品。前作のレビュウを書いたのはもう一昨年のことになってしまったが、その時書いた「日本人による日本人のためのラテン音楽」がこのアルバムでは更に洗練された形で演奏されていく、前作ではいささかドメスティックな「夏の風景」だった訳だけれど、本作からはいよいよアルバム・ジャケその他にわたせせいぞうを起用して、彼の描くイラストがいわば松岡直也の音楽の「見出し」の役目を担うことになるのだが、これがまた見事にハマったのだった。松岡の音楽にはウォームでウェットないかにも日本人が好みそうな情緒を少しモダンな手法(ラテン+テクノとでもいったらいいか)で表現することに、わたせの描くちょっとバブリーでナルシスティックなイメージと見事にクロスオーバーしたというところなのだろう。

 結論からいってしまうと、個人的にはこれが80年代に松岡直也が残したアルバムの最高傑作だと思う。収録曲は全部で6曲、それまでやってきたテクノ風なリズムやハード・ロック的なサウンドなどトリッキーなところは、ひとまずは隠し味程度にして、どの曲も「日本人による日本人のためのラテン音楽」という王道路線を貫いており、1曲目の「On A Summer Day (Part 2)」の哀愁路線、2曲目「Splash & Flash」、カリプソのリズムと松岡らしい伸びやかな旋律との組み合わせが、いかにもこの時期の彼らしさを感じさせる3曲目「A White Oleander」、また、4曲目の「Driftin’ On The Waves」は、前作「夏の旅」のパースペクティブを受け継いだようなサウンドだし、5曲目の「Movin’ With The Wind」の涼感をさそう遠近感あるサウンドは松岡そのものといえる、その他の曲も松岡らしい、独特のカラフルだが淡彩なリズム、情緒溢れる旋律、よく練り込まれたサウンドとなっている。

 という訳で、要するにこのアルバム捨て曲のようなものが一切なく、非常に完成度の高い、名作が多い松岡のアルバム群の中でもひときわ印象深いアルバムになっているのだが、文句をつけるとすれば、アルバムの1曲目は12インチ・シングルとして発売された「On A Summer Day (Part 1)にして、オーラスに「On A Summer Day (Part 2)」をもってきた方が、アルバムとしての完成度が更に高くなったように思うのだが、どうだろう?。このアルバムはアナログ最終期に発売されたので、収録時間的にこのような構成は無理だったろうが、今ならCDで余裕で収録できるハズだから、せめてボーナス・トラックとして、前述の12インチ・シングル分を収録してくれないだろうか?。
コメント
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