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アルバムはさすがに1曲目から渋く迫るのは「ジョビン集」というタイトルでアルバムを購入してくる、非ジャス系リスナーに慮ったのか、比較的有名な「ファベラ」からスタート(あと有名なのといったら「フェリシダージ」くらいか)。マーチ風なドラムのイントロに続いて、ヒギンスがオスカー・ピーターソン張りに豪快にドライブするピアノを披露する、なにしろヴィーナス特有の音圧上げまくりの音質なのもあいまって、購入して一聴した時は、「なにこれ、全然ボサノバじゃないじゃん」と一瞬コケそうになったものだが、ヴィーナスってのはなんでも1曲目にぶちかますのが好きなレーベルなので、これもその線でアルバム冒頭ということになったんだろうし、パフォーマンスそのもの悪くはないのだけれど、少なくともアルバムを象徴するような曲とはいえないだろう。
そんな訳で、このアルバムの真骨頂はやはり渋い曲が続く2曲以降からだ。やや沈み込んだようなムードがロマンティックな「アイ・ワズ・ジャスト・ワン・モア・フォー・ユー」「愛の語らい」「ボニータ」といった曲は夜聴いているて、得も言われぬ心地よさがあるし、軽いサンバのリズムにのって、ヒギンスらしい明るい上品さが満喫できる「ファイツ・ネヴァー・モア」「トゥカイツ」といった曲も楽しめる。前述したようにこのアルバム、1曲目がけっこうストロングな出来なもので、割と敬遠してきたところがあったのだが、久しぶりに聴いてみたら、「なんだ、1曲目が終わってしまえば、あとはけっこういいじゃん」という感じで再認識した。この数日、毎日楽しんでいるところである。
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