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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ジェーン・エア

2007年12月24日 20時35分16秒 | MOVIE
 映画に耽溺していた20代の頃、好きな女優といえばヨーロッパではドミニク・サンダとイザベル・アジャーニあたりだが、アメリカだとなんといってもヒッチコック映画のヒロイン達ということになる。個人的にヒッチコック映画の最大のヒロインといえば「めまい」のキム・ノヴァクだが、単体の女優とみるとティッピー・ヘドレイン、そして本編のヒロイン、ジョーン・フォンテーンあたりだろうか。ただし、ジョーン・フォンテーンで最初に観たのは確か「忘れじの面影」という作品で、その後「断崖」、「レベッカ」という順序だったと思う。「レベッカ」でのフォンテーンはまるで日本人かと思うようなはかなげな風情を漂わせ、健気に行動しながらも、時に怯えたり、むせび泣いたりするところに魅了されたものだが、以来、私はすっかり彼女のファンになったのだった。ところが哀しいかなビデオもない時代である。40年代の彼女の作品などよほどのことでもなければ名画座にさえかかることもなく、それから長いこと前記3本以外に私は彼女の作品を観ることがなかったのだった。

 さて、時代は進んで今の話、昨今ではそこらの書店に行くと、大抵版権の切れの作品を500円とかいう捨て売っているDVDを見かけるが、この「ジェーン・エア」もそこでみかけたものである。なんと「レベッカ」を観てから四半世紀を経っている訳で、今更フォンテーンもない....という気もするのだが、この作品、フォンテーンもさることながら、なにしろ音楽がバーナード・ハーマンの初期の名作中の名作という価値もあり、とりあえず観てみた訳である。で、久しぶりに観たフォンテーンだが、作品のタイプが究極のフォンテーン映画「レベッカ」とほぼ同系統の作品ということもあってか、控えめな良家の子女みたいなイメージは相変わらずだし、ぱっと見外人をみている感じがまるでしないのも、昔感じた通りである。映画の途中で「おまえは器量が良くない」みたいなことを学校の先生に言われるシーンがあるのだが、「おまえ、どこに目がついてんだよ」という感じだったし、怯えたり、すすり泣きそうな表情などを観ると、思わず20代の頃の熱狂が甦ってしまいそうになった(ちょっとウェーブのかかった髪型が彼女に似合ってないような気もしたが....)。

 作品的には、演出がB級のロバート・スティーヴンソンだから仕方ないかもしれないが、比較的丁寧に描かれた前半~中盤に比べて、後半は何故かバタバタと駆け足になるところがバランスを壊している。原作が長尺の文芸だから作品95分くらいの作品なのだが、もう10分長くしてもよかったと思う。また、フォンテーンの少女時代を演じたペギー・アン・ガーナーが割と利発で勝ち気な少女なのに比べ、大人になったフォンテーンはイメージ的にも役柄的にもぐっと落ち着いてしまい、これまた少々落差を感じないでもなかった。あと、ペギー・アン・ガーナーといえば、彼女の修道学校での友達役で少女時代のエリザベス・テイラーが登場するし、フォンテーンが家庭教師として教える女の子は往年の名子役マーガレット・オブライエンという訳で、この作品、フォンテーンとオーソン・ウェルズは名子役3人に食われてしまったという感じもする。特に前半のペギー・アン・ガーナーはけなげな熱演で、実はこの映画で一番良かったのむしろ彼女が登場するシーンだったりした。そうそう、ハーマンの音楽は当然のごとく素晴らしかったが、これはまたいずれ....ということで。
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ボストン・ポップス・オン・クリスマス

2007年12月24日 02時47分07秒 | クラシック(20世紀~)
 ライトクラシック系のクリスマス・アルバムはいうまでも沢山あるけれど、ジョン・ウィリアムス指揮ボストン・ポップスによるこのアルバムは、さしずめここ四半世紀のこの手のアルバムの決定版といえるのではないか。フィードラーやマントバーニといったところを聴くとちと古くさく感じるが、かといってフュージョン・スタイルやニュー・エイジといった今時なスタイルよりは、もう少しスクウェアな気分でクリスマス・ミュージックを味わいたい向きには格好のアルバムといえる。収録曲は単独曲が4つ、そして、中心をなすのは3つの-どれも10分前後-の大規模なクリスマス組曲となる。いずれも素晴らしい出来だが、とりわけ3つの組曲が素晴らしい出来だ。

 この3つの組曲だが、最初の「クリスマス・フェスティバル」は有名どころのクリスマス・ソングをボストン・ポップスというオケが演奏する魅力を満喫させる9曲。次の「クリスマス・グレーティング」はタングルウッド祝祭合唱団をフィーチャーしたアルバート・アート作曲のクリスマス・キャロルが6曲、そして3曲目の「ホリディ・チアー」はアメリカで生まれたクリスマス・スタンダードをジャズ・オーケストラ風に演奏した7曲....という具合に特徴をはっきりを描き分けているのがいい。まず「クリスマス・フェスティバル」では、超有名なクリスマス曲をまるでひとつの曲の如く流麗なアレンジでまとめで上げているのが聴き物だ。前半は3曲ではアップテンポで軽快に進み、徐々にテンポを落とし、後半の「牧人ひつじを」~「きよしこの夜」でぐっとテンポを落としてじっくりと歌い上げるあたりがハイライトだ。こういう曲順、構成で聴くと耳タコな「きよしこの夜」もぐっと感動的に聴こえる、さすがルロイ・アンダーソンの編曲というべきか。また、締めくくりは再び華やかさがもどり「ジングルベル」~「神のみ今宵しも」では「スターウォーズ」ばりの賑々しさで盛り上げるあたりジョン・ウィリアムスらしくていい。

 「クリスマス・グレーティング」は前述の通りアルバート・アート作曲のクリスマス・キャロルが6曲演奏されているが、私は寡聞にして「アルバート・アートって誰?」って感じなのだが、曲そのものはどれもお馴染みのものだ。タングルウッド祝祭合唱団をフィーチャーしているが、かなりリズミックに歌っており、合唱団主体とはいえかなりモダンな印象なのは、やはりジョン・ウィリアムスのセンスなのだろうか、最後まで一気に聴き通せる構成もいい。「ホリディ・チアー」は名匠ビリー・メイのアレンジ、メドレーとはいえ、私の好きな「ザ・クリスマス・ソング」と「ハブ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」がそれぞれ前半と中盤のハイライトになっているのはうれしい限り。中盤ではオケもけっこうスウィングしていて楽しい。
 単独曲としては、オープニング「ウイ・ウィッシュ・ユー・ア・メリー・クリスマス」の華やかさ、とてもアイヴズとは思えない「クリスマス・キャロル」の敬虔さもいい。そんな訳で、このアルバム、個人的にはクリスマスのマスト・アイテムである。
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