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PAUL McCARTNEY / Memory Almost Full

2007年12月15日 23時51分41秒 | Beatles
 10月あたりからぼちぼちと聴き始めた「ここ10年のポール・シリーズ?」もいよいよゴール、なにしろこの6月に出たポールの最新作が本作なのである。前作はポールの一人多重録音による作品だったが、今回はそれと同路線のものと先のツアー・メンバーも参加したバンド編成で収録されたものが混在している作品となっている。プロデューサーはバンドでアルバム一枚分を録音してあったにも関わらずポール一人だけの多重録音スタイルで録音することを主張したらしいナイジェル・ゴドリッチに替わって、「Driving Rain」で担当したデビッド・カーンに戻っている。老境を向かえたポールの等身大の姿を伝えたいと思うがあまり、全てをポールに手がけてもらいたがったナイジェルのプロデュース・ワークはポールにはちと息苦しかったのかもしれない。

 さて、内容だが、こうした経緯をほぼ忠実に反映した出来だ。つまり「Driving Rain」と「Chaos And Creation In The Backyard」の間くらい発表されたらしっくりとくるような、つまりバンドっぽいノリとホーム・ミュージック的にインティメートな感触が妙に混在しているような仕上がりといえる。また、ここ数作の中では久方ぶりポールらしい外向的なポップ・ミュージックに多少回帰したようなところもあり、しかもそれが冒頭の数曲に集中していることもあってか、アルバム全体の印象としてはかなり明るくポップな印象が強い。そのせいか日本盤のキャッチは「あの頃のポールが戻ってきた」である。あと、おもしろいというか、おやと思ったのはアナログ盤でいえばB面に当たる後半の曲(7曲目から)がメドレー形式になっていることで、もちろん「アビー・ロード」みたいなど怒濤のメドレーって訳ではなく、とりあえず繋げてみましたみたいなところがあるメドレーではあるんだけれど、こういう小細工をするポールは久々に聴いたような気がする。

 とりあえず、数回聴いただけだが、全体から受ける手応えからいうと「Driving Rain」の重厚さ、「Chaos And Creation In The Backyard」の枯淡の境地といったものに比べると、近2作とかなり似通った雰囲気の曲も多く、今一歩「この作品だけの売り」みたいなものが見えてこないアルバムという気もするがどうだろうか。まぁ、作品の成り立ちからして、このアルバム「Driving Rain」と「Chaos And Creation In The Backyard」の落ち穂拾いみたいなところがないでもなさそうだし、所属するレーベルがEMIから替わり前作からけっこうい短いインターバルで出されたことも考えると、ちとリリースを急ぎすぎたような感じもするのだが....。
コメント
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