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サンタナ/フェスティバル

2006年02月21日 00時08分48秒 | ROCK-POP
 サンタナの久々のメジャー・ヒットとなった「アミーゴ」の勢いを借りて作られた1977年発表の第8作。音楽的には全く前作と同一路線といってもよく、メジャーなポップ・シーンに目配せをしつつ、フュージョン的な心地路良さを従来のラテン風なリズムにミックスした70年代後半のサンタナ・モードといえます。とにかく前作同様何か吹っ切れたように、ひたすらポップで快適なサウンドを繰り出していく訳ですが、そのあたりに「サンタナってもっと不器用なロック野郎じゃなかったけ?」などと、若干の疑問をどこかで感じつつも、この心地よさには思わず脱帽してしまうというアルバムでもあります。

 収録曲では、冒頭のメドレー「カーニバル~子供達の戯れ~喝采」が圧巻。ホイッスルからいきなりラテンパーカッションの乱れ打ち、サルサ風のリズムを伴ってコーラスでひとしきり軽快に歌った後シンセ・ソロを挟んで、曲がミドルテンポになるとサンタナがギターが登場、ウェスト・コースト風なコーラスと絡みつつ、グレッグ・ローリーを思わせる懐かしいオルガン・ソロなども交えて、徐々にテンションを上げていくあたりはスリリングだし、そのピークでサンタナ的なリフが炸裂するラストの曲に雪崩れ込んでいく構成も見事です。前回も書いたとおりこの時期のサンタナはおそらくキーボードのトム・コスターが音楽を全面的に仕切っていたと思うのですが、この曲は「トム・コスターが翻訳したサンタナ・サウンド」の最良のものといえると思います。いや、こんな回りくどいことを書かずとも、既にサンタナの名曲なんだろうとは思いますが。

 他の曲では「ギブ・ミー・ラブ」「リーチ・アップ」はもろにAORサウンド、「レット・ザ・ミュージック・セット・ユー・フリー」「大河のように」はディスコ風とこの4曲あたりが一番ポップな曲となりそう。「真夏の夢」はジプシー風なアコスティック・インストでひょっとすると当時流行のサンタエスメラルダあたりを意識したのかも、「哀愁のボレロ」は「哀愁のヨーロッパ」の続編にあたる当時のサンタナのもう一方のメルクマールである哀愁の欧州ムードただようあの路線で、今回はボレロのリズムから始まるのがミソですかね。ラストとの「情熱のマリア」は冒頭のメドレーと呼応するサルサ風のリズムをフィーチャーしたホットなナンバーです。

 という訳で、これも「アミーゴ」に負けず劣らず充実した作品ということになりましょう。あっ、そうそう、全く個人的な好みなんですが、前作の「アミーゴ」と本作は随所でトム・コスターの弾くストリング・シンセが聴こえるんですが、この冷たい音色がなんともサンタナのサウンドにやたらと心地よいです。ストリング・シンセってイギリスのバンドの専売特許じゃなかったのねぇ。

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