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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ワーグナー楽劇「トリスタンとイゾルデ」/カラヤン&バイロイト祝祭O 他

2005年07月24日 02時02分36秒 | クラシック(一般)
 カラヤンはバイロイトと馴染まなかったらしく、確か51年と翌52年に指揮しているだけだったと思いますが、51年の「マイスタージンガー」はEMIから正式にリリースされたものの、52年の「トリスタン」は長らく海賊盤しかなく、オペラといえば「トリスタン」というくらいこの作品が好きな私にとっては、正式盤のリリースはまさに待望だった訳ですが、先日レビュウした「トリスタンとイゾルデ」で、この作品に対する興味が再燃したのをきっかけに、ショップをのぞいてみたところ、オルフェオから出ているのを発見、即購入しました。いゃぁ、一昨年に出ていたんですね。知らなかった。

 演奏としては、この時期のフィルハーモニアとの演奏などから類推して、もう少しすっきりとしたスリムなワーグナーかとも思っていましたが、聴いてみると70年代の全曲盤と基本的にほとんどかわらない、カラヤンらしい濃厚なドラマ性と巨匠的風格に満ち満ちた演奏という印象だったのが意外でした。

 一応、おとといから一晩一幕づつじっくりと聴いた訳ですが、第1幕最後の歓喜につつまれた音楽が鳴り響く中、表向きの華々しさとは裏腹に絶望に満ちたふたりのドラマが始まるあたりの、ドラマ性の表出などカラヤンの妙技が炸裂してます。うーん、素晴らしい。いくらクライバーがいいといったって、こういうところの演出の巧さにかけてはカラヤンの老獪さには到底かなわいとすら思いますね。
 第2幕は陶酔感に満ちた有名な愛のシーンですが、ハイライトな部分でのふたりの割と意味のない語らいを、いかにも意味深に聴かせてしまうあたりのカラヤンはやはり巧い、ラストでマルケ王が現れる場面あたりのドラマ的な起伏もぴたりと決まってます。
 第3幕では、前奏曲の絶望感と表裏一体の虚脱したようなムードをこのくらい巧く表現できる人もいないと思います。もちろん、「愛の死」はドラマの最後を締めくくるべく巨大なハイライトを形成し、最後の和音で和声的にようやく解決するあたりの呼吸も見事です。

 うーん、ひょっとしてコレ、70年代の録音よりいい演奏なのではないでしょうか。声楽陣は私の知らない古い人ばかりですが、いずれもさらりと流すように歌う今時のやり方ではなく、噛んで含めるようなといったらいいんですかね、とにかく皆濃厚な歌い方をする人ばかりで、やはりワーグナーにもはこういう「濃い」歌い手が良く合います。


 最後に音質ですが、バイエルン放送協会のマスターよる正規盤ということで、それなりの鮮度を期待していたんですが、音像が遠目で、なんだか穴蔵で聴いているようなボヤケた音なのが少々つらいところです。また、ヒスノイズを消すのためか、リダクションを強めにかけてるらしく、弱音部では不自然なところも散見するのも気になるといえば気になる点ですが、まぁ、1952年の放送録音ということを考えれば、これだけ聞こえれば良しとしなければいけないのかもしれません。
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JOHN BARRY 007 - Thunderball (Soundtrack)

2005年07月24日 00時09分10秒 | サウンドトラック
 昨日レビュウした通り、ビートルズは1965年にバハマで「ヘルプ」の撮影をする訳ですが、実はこれに先行にして、バハマに入っていた英国の映画チームがありました。テレンス・ヤング率いる「サンダーボール作戦」に撮影隊がです。この時期のイギリスといえば、音楽はビートルズ、映画は007という具合にエンターテイメントを席巻していたといえますが、当時の両者はあまりクロスすることがなかったので、007とビートルズというのは、なにか全く別の世界の住人のような気がする訳ですけれど、バハマでニアミスを起こしていたというのは、なんか1965年故の興味深いエピソードではあります。

 さて、この「サンダーボール作戦」ですが、007シリーズの第4作にあたり、「ゴールドフィンガー」でモタモタした演出をしていたガイ・ハミルトンから、第1,2作のメガフォンをとったテレンス・ヤングが復帰して、当時人気のピークを迎えていた007シリーズの決定版とすべく制作された作品です。ハイライトは海中でのアクション。数十名にも及ぶダイバーたちが水中銃を使ったり、肉弾戦をしたりして、当時としては画期的な行くション・シーンでした。「サンダーボール作戦」は、ストーリーが割と単調だし、この手のアクションも今となっては当たり前になってしまったので、現在みると大しておもしろい作品でもないですが、007シリーズの中では涼しげな海洋っぽいシーンが多くて、夏になるとなんとなく思い出す作品です。

 サントラですが、実はこれのオリジナル盤はスケジュールとの折り合いとかいう映画にありがちな理由で、どうやら作曲に手間取ったらしい水中シーンの音楽等後半部分がごっそり欠落したままで発売され、そのまま30年以上も発売され続けてきたのですが、一昨年、ようやくそれらの部分をボーナス・トラックとして補ったものが出されました。今、そちらの方を聴いてる訳ですが、やっぱぁ、こうじゃなくちゃいけない....という感じで楽しめます。2曲収められた水中アクション・シーンの音楽は、今聴くとアクションというより海中を遊泳しているような音楽ではありますが(笑)、いかにも涼しげで映画の場面を彷彿とさせます。途中「007のテーマ(ジョン・バリー作曲の方)」が出てくるあたりも楽しいです(ついでにオープニングのガンバナーが収録されているのもマニアにはうれしいところです)。

 あと、今夜、改めて聴いてみて気がついたんですが、このサントラ「ミスター・キス・キス・バン・バン」のモチーフが随所に出てくることもあり、やっぱ主題歌はディオンヌ・ワーウィックが歌う同曲の方が良かったような気がします。いや、トム・ジョーンズが歌う「サンダーボール」も傑作ではありますが。
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