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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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アントニオ・カルロス・ジョビン/イパネマの娘

2005年07月01日 23時41分46秒 | Jobim+Bossa
 今日から7月に突入、実際の季節は未だ梅雨とはいえ、先日の猛暑のせいもあって、当方の気分はもうすっかり夏....ということで、今日からしばらく間、ボサ・ノヴァ&サマー・ミュージック関係のアルバムをちょくちょく取り上げていきたいと思います。けっこう好きなんですよね。この手のリゾートっぽい音楽。えっ、柄でもないですか、どうもすいません(笑)。

 さて、第一弾はボサ・ノヴァ史上の大名盤です。このジャンルの名盤は数々あれど、私にとってボサ・ノヴァといえば、なんといってもこれ。ボサ・ノヴァの創始者のひとり、アントニオ・カルロス・ジョビンがピアノやアコギを弾いて(ボーカルはなし)、アメリカのヴァーブからワールドワイドにデビューした63年の作品で、ジョビンの作った問答無用のボサ・ノヴァ・スタンダードがずらりと並んだ名盤中の名盤です。

 演奏はオガーマン編曲によるクールで格調高いオーケストラがバックに陣取り、ジョビンのシングルトーンで弾いたピアノがフィーチャーされるというのが基本スタイルですが、いったいこの組み合わせを誰が思いついたのか(クリード・テイラーか?)、とにかくあまりに秀逸かつドンピシャな組み合わせだったので、その後、ボサ・ノヴァといったら「こういうスタイルの音楽のことだ」と勘違いする人も出るくらいに、ひとつのスタイルとして一般化したのは、そのアイデアの秀逸さを物語っているというべきでしょう。

 実際、私など子供の頃に聴いた、フランシス・レイの「男と女」とか「パリのめぐり逢い」あたりの音楽の影響なのか、こういう音楽ってのはフランスあたりのイージー・リスニングがルーツになっているもんだとばかり思っていて、「一体、こういう音楽はなんていうジャンルなのだろう」って常々疑問に思ってたもんで、20代後半の頃、ふとしたきっかけでこのアルバムを初めて聴いた時は、ちょっとしたショックを受けたもんです。「私が探していた音楽って、これだったんだぁ」って感じで....。

 ところで、このアルバム、一応表向きはアントニオ・カルロス・ジョビンの自作自演アルバムということになるんでしょうけど、今の感覚でいったら、ジョビンというより、絶対クラウス・オガーマン名義で出すべき内容でしょうね。なんたってこのアルバムの主役はオガーマン編曲によるオーケストラでしょうから。弦の高い方と木管系の管楽器をなんとも効果的に使ったオーケストレーションは、まさしく唯一無比、オガーマンでした実現できない響きが充満しています。

 という訳で、このアルバムに横溢する、理屈抜きまずは感覚的に快い独特なひんやり感とずらりと並んだジョビンのスタンダード・ナンバーもちろん文句なし、ついでに何年聴いても飽きない味わい深さもある....というワケで、本物のボサ・ノヴァというのとはちょっとちがうかもしれないけれど、私としてはベストな1枚です。
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