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S.ゲッツ&C.バード/ジャズ・サンバ

2005年07月03日 03時01分24秒 | Jobim+Bossa
 前回の「ゲッツ/ジルベルト」の前哨戦にあたる62年の作品です。ここでスタン・ゲッツと共演しているのは、ギタリストのシャーリー・バード。私はこの人のことほとんど知らないのですが、オーソドックスなジャズ系のギタリストらしいのですが、なんでも文化使節とかでブラジルに行って、ボサ・ノヴァに魅了され、以降その路線に方向チェンジした人らしく、そのあたりのキャリアに白羽の矢がたったらしいです。ちなみにアルバム・タイトルは「ジャズ・サンバ」ですが、これは当時、アメリカではまだボサ・ノヴァという言葉が一般化していなかったことを伺わせるネーミングですよね。

 音楽的にはジョビンの曲を2曲ほどやっていはいるものの、リズムは基本的に昔流のサンバっぽいパターンが主体となっていて、ここにスタン・ゲッツとチャーリー・バードのソロがのっかかるという構成になってます。したがって、インプロビゼーションが始まってしまうと、ボサ・ノヴァっていうより、いわゆるラテン・ジャズみたいな感じになってしまうのは、このアルバムが録音された時代というものなんでしょう。

 演奏されている曲では、やはりジョビンの2曲、つまり1曲目の「ディサフィナード」と5曲目「ワン・ノート・サンバ」が良いです。前者はゲッツがジョビンの旋律をゲッツらしく良く歌うが決して熱くならない例の調子で快適にブロウしていますし、バードのギターは、ボサ・ノヴァというのには時にやや場違いなカリプソ風なフレーズを入れたするのがご愛敬ですが、これまた流麗なフレーズ応酬するあたりがいいです。前回の「ゲッツ/ジルベルト」はジャズというにはちょいと?なところもありましたが、こちらはこの絡みを聴いただけでもジャズを感じます。後者では「クール・ジャズのゲッツ」を感じさせる低い温度感がジョビンの曲にいかにもあっていて、これまた快適。

 この2曲に比べると、残りは前述のとおりボサ・ノヴァというより少々古くさいサンバのような感じではありますし、ゲッツとバードは人間関係は最悪だったようですが(ジルベルトの時と同様に-笑)、音楽的にはそんなことを感じさせない緊密さがあります。おそらくバードがそういうお膳立てをしたんでしょうが、常なるペースでブロウするゲッツのバックに回り、様々なギター・ヴァリエーションを抜群のテクニックで披露しつつ、音楽全体を盛り上げていくその流麗なプロセスは、精緻な美しさすら感じさせます。
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