”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

中国人と冬瓜

2018-09-01 11:15:20 | 野菜

昨日、こんな料理を作りました。

  

これだけ見たら単なる餃子ですが、

すっごい時間がかかりました。

というのは、具が冬瓜でして・・・。

 

千切りにした200gの冬瓜を塩もみして、水気をしぼり、

80gにし、餃子の具にしたのです。

シャキシャキして、とてもおいしかったですよ。

  

で、これをFacebookに投稿したところ、こんなコメントをいただきました。

中国の方は冬瓜をとても珍重し、喜びます。

 ある会食で冬瓜のスープか何かがあったのですが、

 一緒に参加していた中国人の友人一行は大騒ぎしていました。

 なぜかは聞きそびれましたが、中国の方が知ったらこの餃子は大騒ぎかもですね。」

   

このコメントを読んで、また私の好奇心が動き出し、

中国人と冬瓜の関係を調べてみたくなりました。

  

まず、薬膳的な見地から行くと、

 ●体の熱を冷まし水分を増やして暑気あたりを予防する

 ●利尿作用で浮腫みを予防する。

 

でも、医食同源の中国で暮らす人なら、

このくらいの知識はお持ちでしょうから、

きっと、普段の生活の中でも上手に取り入れているはず・・・。

会食のスープに大騒ぎするはずがない。

   

そこで、思いついたのがあの装飾を施した冬瓜の器に入った

冬瓜のスープです。

 

こんな感じの・・・。(画像お借りしました。)

  

  

この冬瓜のスープは下ごしらえに時間がかかり、

また少人数では食べきれないので、予約でしか受け付けないお店も多いとか・・・。

 

でも、会食に出席するような知識人たちが、

予約しなければ食べられないスープが出たくらいで大喜びするだろうか?

このスープには、もっと歴史的な意味があるのでは・・・。

  

 

このスープについて調べていたら、冬瓜盅」という言葉に出逢いました。

「盅」には「さかずき」の意味があり、

「冬瓜盅」とは冬瓜を器にした料理のことです。

その作り方は冬瓜の上部を切り取って中のワタを除き、

この中に具材とスープを注いで冬瓜ごと蒸し上げ、

食べるときには内側の果肉をスプーンでえぐり取って碗に盛り、

中のスープを具材ごと注ぎ入れてお客様に配る・・・と書かれています。

 

まさに写真のような料理ですよね。

  

で、このお料理は西太后が愛した「西瓜」が元になっているという記述を見つけました。

これは西太后が愛した夏の瓜料理のひとつで、

冬瓜ではなく西瓜(すいか)で作られます。

 

作り方は西瓜の果肉をすべて取り出し、

この中にさいの目に切った鶏と中国ハム、新鮮な蓮の実、龍眼、

胡桃、松の実、杏仁などを入れて蓋をした後、

何時間も湯煎にして加熱するというものです。

 

そして、この「西瓜盅」はやがて各地に伝来して「冬瓜盅」に変化したとも、

宮廷料理の中で「冬瓜盅」が考案されたとも言われています。

 

薬膳的な効能はもちろんのこと、

昔はほんの一部の高貴な人しか口にできなかったこのお料理に

中国の方は特別な思いがあるのかもしれません。

 

以上、夏の終わりの自由研究でした。(^-^)

 

コメント
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