UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

日韓関係悪化の震源、徴用工問題裁判の韓国最高裁の判決書を読んでみるの記(その二)

2019-12-20 00:38:35 | 日記
前々回、12月15の日記で、最近の日韓関係の急激な悪化の震源になった韓国の最高裁である韓国大法院の判決書(2018年1月30日、「新日鉄住友金属韓国徴用工事件再上告審判決」)について、この判決に至る過程や、この裁判における主な争点などについてごく大雑把な説明を記したうえで、判決書を一度読んだだけではなかなか理解が容易ではなく、このため判決書の内容がどのように構成されているのか、判決書の目次のようなものを作りましたので次回に紹介するとお約束いたしました。

すこし退屈かもしれない話が続きますが、辛抱強い方はおつき合いくださいませ

この目次+説明を読んでいただきますと、この訴訟のこれまでの経過、争点、大法院による判断について大筋がが理解していただけるのではないかと思います。

「新日鉄住友金属韓国徴用工事件再上告審判決(2018年10月30日判決)」判決書は以下の内容から構成されています。各項目について、裁判におけるその意味合いをメモとして付記しておきます。判決書のページを示しておきましたので原文をご覧になる場合は記されている頁を参照してください

大法院による判決に至る過程は以下のとおりです
 
大法院による高等法院への差し戻し判決:2012年5月
原審判決(差し戻し後の高等法院による判決):2013年7月
被告上告後の大法院判決:2018年10月

p1~p17:
判決書の主要部分

p18~44:
韓国最高裁判事の個別意見、補充意見、反対意見

主文 「上告をすべて棄却する」

⇒ 上告を行っていたのは被告の新日鉄と住友金属。大法院は被告の主張を退け、原告ら による賠償請求(慰謝料請求)を妥当と認める。この大法院の決定で判決は確定。。

理由             ⇒ 「上告を棄却することの理由」のことです。

1 基本的事実 p2~p10 

⇒ 強制動員(徴用)による慰謝料請求の根拠となる人権侵害・非人道的行為が存在していることを裏付ける元徴用工らの証言、徴用にいたる歴史的過程など

ア 日本の韓半島侵奪と強制動員など ⇒韓国人の強制徴用に至る歴史的事実

イ 原告らの動員と強制労働被害および帰国の経緯⇒4人の元徴用工による証言
    (1)~(5) p2~p4 

⇒大事な部分です。ここだけでも判決書の原文をお読みなるようお勧めします。

ウ サンフランシスコ条約など  p4~5

⇒日韓請求権協定の基盤となったサンフランシスコ平和条約の規定についての説明。その第4条aにおいて「韓国と日本の間の財産上の債務・債権関係は両国当局の特別取極めにより処理する」と規定されています。

エ 請求権協定の締結に関する経緯と内容など p5~p7
    (1)~(3)
  
⇒数十回の予備会談などを経て1965年12月に日韓基本条約ならびに条約に付随した日韓請求権協定が締結されました。請求権協定の第2条の1には「両国は両国およびその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益ならびに両国及びその国民の間の請求権に関する問題がサンフランシスコ平和条約第4条aに規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と規定されています。

⇒このたびの大法院の判決に安倍首相をはじめとした日本政府筋が強硬に異議を唱えているのは、この規定を根拠にしていると考えられます。すなわち安倍首相らは原告らの慰謝料請求の問題は請求権協定に従い解決済みと主張しています。
   
請求権協定の正式名称は「大韓民国と日本国間の財産及び請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定」であり、日本は経済協力として5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)を支払うとされています(これは実行に移されています)

オ 請求権協定による両国の措置 p7~p8
    (1)~(3)

⇒請求協定締結後、両国は締結に関連して国内法を整備しています。韓国は「請求権資金法」(請求権協定により支給される資金を使用するための基本条項を定めるための法律)、「対日民間請求権申告に関する法律」「対日民間請求権補償に関する法律」を制定しています。一方、日本は「財産権措置法」という法律を制定しています。

カ 大韓民国の追加措置 p8~p10
    (1)~(4)

⇒また韓国は2000年代に入ってからさらに追加措置を講じており、2004年には「真相究明法(正式名称「日帝強占下強制動員被害真相究明法」を制定しており、「強制動員被害」に関する調査を実施しています。また、2007年には「2007年犠牲者支援法(正式名称「太平洋戦争前後国外強制労働員犠牲者等支援に関する法律」)などを制定しています。

上記のように大法院は事実関係を示した後、次に大法院は被告側(新日鉄・住友金属)による5項目の上告理由について一つ一つ検討を加え、上告理由は妥当性に欠けるとの判断を示しています。

2 上告理由第1点について p10~

⇒被告は日本における裁判で元徴用工らが敗訴していることを上告理由の一つとしていますが、この主張に対して大法院は以下のような判断を示しています

⇒過去に日本で行われた元徴用工たちによる裁判で、植民地支配は正当なものであるという「規範的認識」を前提に、当時の日本の法律「国家総動員法」などを徴用工に適用したものであり有効であるとして原告(元徴用工)らが敗訴していることを被告らが上告の理由に挙げていることに対して、大法院は日本の裁判所による判決をそのまま受け入れることは「韓国における善良な風速やその他の社会秩序に違反するものである」ため、日本での判決の効力を韓国が認めることはできないとしています。

3 上告理由第2点について p10~p11

⇒被告側が当時の旧日本製鉄の責任は自分たち新日鉄・住友金属には及ばないと主張していることに対して、大法院は旧日鉄が日本の法律で解散されていても、原告らは旧日本製鉄の事実上の後継会社であり、そのため被告の新日鉄・住友金属に対しても原告らは慰謝料に関する請求権を行使できるとしています。

4 上告理由第3点について p11~p16

⇒被告らは慰謝料請求権は請求権協定の対象に含まれるものであるため同協定の条文にしたがい、すでに解決済みであると主張しています。

⇒この部分はこの裁判で一番重要な争点です。このため、原告らの被告に対する損害賠償請求すなわち慰謝料の請求が請求権協定の適用対象に含まれているか否かという点に関して、以下の(1)~(5)において検討が加えられ、大法院の判断が示されています。

⇒請求権協定の対象に含まれるならば原告による慰謝料請求は請求権協定第2条1の規定(「両国とその国民の財産、権利および利益ならびに両国および国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたことになることを確認する」)に該当することになり、すでに解決済みのため請求は不当ということになりますが、該当しない場合は請求権が存在していることになります。この争点に関して大法院は下記の(1)~(5)における検討結果を総合すると「原告らが主張する被告に対する損害賠償請求権は請求権協定の適用対象に含まれているとはいえない」とする判断を下しており、その理由として以下の五項目を挙げています。

(1)大法院の判断:原告らの請求内容とその根拠は正当なものであると認められる。

⇒この基本的な点が日本のメディアがあまり伝えてないようですので、以下の判決書を原文のまま記しておきます。

「まず、本件で問題となる原告らの損害賠償請求権は日本政府の韓半島に対する不法な植民支配および侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権であるという点を明確にしておかなければならない。原告らは被告に対して未払い賃金や補償金を請求しているのではなく、上記のような慰謝料を請求しているのである」

以上の前提の下に、旧日本製鉄は日本政府の労働力動員政策に積極的に協力しており、原告らは成年に達しない幼い年齢で家族と離別し労働内容や環境を良く理解できないまま組織的にだまされ動員され、身に危険が及ぶ可能性が大きい劣悪な環境で危険な作業に従事し、賃金額もしらないまま貯金させられ、外出を制限され、常時監視されており、脱出の試みが発覚した場合には殴打されるなど、かかる不法行為に原告らが精神的苦痛を受けたことは経験則上明白である、と大法院は判断しています
 
(2)大法院の判断:請求権協定は日本の不法な植民地支配に対する賠償請求のための協定ではない。従って原告らの慰謝料請求は請求権協定の対象外である。

⇒大法院は、「請求権協定は賠償請求のためのものではなく基本的にサンフランシスコ条約第4条に基づき日韓両国間の財政的・民事的な債権・債務関係を政治的合意によって解決するためのものであると考えらえる」としており、その根拠の一つして「実際に締結された請求協定文やその付属書のどこにも日本の植民地支配の不法性に関する言及はまったく存在していない」としています。

(3)大法院の判断:請求権協定第1条により日本が支払った経済協力資金(5億ドル)が第2条による権利問題の解決と法的な対価関係があると言えるの否かは明らかでない。

(4)大法院の判断:請求権協定の交渉過程で日本側は植民地支配の不法性を認めないまま、強制動員被害の法的賠償を根本的に否認していた。そのような状況において強制労働の慰謝料請求権が請求権協定の適用対象に含まれていたとは認めがたい。

⇒これが大法院判決が慰謝料の請求権は請求権協定の対象外であるしていることの最大の最も重要な理由です。このため最終的に、請求権協定の対象外であるから請求権協定に拘束されることなく、慰謝料を請求することが許されると結論づけられていまます。この部分、判決書の原文は以下のとおりです。

「請求権協定の交渉過程で日本政府は植民支配の不法性を認めないまま、強制動員被害の法的賠償を根本的に否認し、このため韓日両国の政府は日帝の韓半島支配の性格に関して合意に至ることができなかった。このような状況で強制動員慰謝料請求権が請求権協定の適用対象に含まれたとは認めがたい。
 請求権協定の一方の当事者である日本政府が不法行為の存在およびそれに対する賠償責任の存在を否認する状況で、被害者側である大韓民国政府が自ら強制動員慰謝料請求権までも含む内容で請求権協定を締結したとは考えられないからである。」

(5)被告が追加して提出した証拠について

⇒大法院の判断: 差戻し後の原審(高裁における審理)において被告が追加して提出した各証拠なども、強制動員慰謝料請求権が請求権協定の適用範囲に含まれないという上記のような判断を左右するものではない。


5 上告理由第4点について p11~p16
 
⇒被告は時効を理由に請求権は無効と主張しています

⇒この部分では被告側(新日鉄・住友金属)は消滅時効が完成しているとして原告らに対する債務履行を拒否していますが、大法院は債務の履行の拒否は著しく不当であり権利の乱用であるとしています。その理由として、日韓の国交が正常化された後も請求権協定関連文書がすべて公開されていなかったなど、この訴訟が提起される当時まで、原告らが韓国内で客観的に権利を行使できない障害事由が存在していたとみることが妥当であると考えらえることを挙げています。
  
6 上告理由第5点について p16~p17

⇒この部分では、原告は上告理由において、て慰謝料の算定において妥当性に欠いていると主張していますが、大法院は著しく妥当性に欠けるなどの違法性は認められないとしています。

7 結論 p17

 以上の審理結果に基づき、上告をすべて棄却し、主文通りに判決するとされています。

⇒これは大法院(最高裁)の判決であるため、原告らによる日本企業に対する慰謝料請求権は妥当であるとする判決は確定したことになります。韓国も三権は分立していますから、韓国政府といえでもこの判決を覆すことは法的に不可能です。

以下、裁判官の個別意見、補充意見、反対意見がp17~p44に記されていますが内容が複雑すぎてGGIの手に余りますので省略させていただきます。

いかがでしたでせうか?日韓関係の複雑さ、いくらか頭に入りましたでせうか?

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・

今日の写真は本文と関係ありませぬ。湖東平野は広いぞ!という写真です。よろしければクリックしてご覧くださいませ

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あっ、脱線する!?

2019-12-18 00:10:11 | 日記
今日は前回記しました韓国徴用工裁判判決書についての日記の続きを記すつもりでおりました。ところが、昨日想定外の事態、危険な事態に遭遇してしまいましたので急遽変更、前回の話から脱線して、遭遇しました事態についてご報告させていただきます

昨日、京阪電鉄石坂線の某駅で電車をまっておりました。ぼんやりとなんとなく前方を眺めておりましたら前方のレールがちゃんとつながっていないことに気づきました!

ウソではありません。今日の写真をクリックしてご覧くださいませ。線路がちゃんとつながっていないのがお分かりいただけるでありませう

あっ、危ない!脱線する!

このままではGGIが乗る電車が脱線する!まだ死にたくない!神さま、仏さま・・・・

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・

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日韓関係悪化の震源、徴用工問題裁判の韓国最高裁判決書を読んでみるの記(その一)

2019-12-15 16:48:58 | 日記
今日12月15日は良い天気、昨日までここしばらく雑用でバタバタしていましたが一段落、日曜日でもありますのでダラダラ過ごそうと思っていましたらお昼前、某知人より電話、GGIが日ごろ何かと世話になっておりますGGIより五歳か六歳以上は若い別の某知人が昨夜自宅(多分)で心筋梗塞で倒れて入院したとの知らせ・・・

えっ、あいつが・・・とても活動的ないつも元気いっぱいの人物でありますのでビックリ、あわてて別の知人に電話しましたら、倒れた知人の奥さんは長年某病院の看護婦さんとして働いていたし、自宅で発作に襲われたのなら発見を早かっただろうから、あまり心配することないだろうとの反応、落ち着いたら見舞に行こうということにしました。

昨年の正月には、数日前にあったばかりのGGIより数歳年上の知人が路上で突然心臓発作、周囲にいた人がすぐに救急車を呼んで病院に運んでもらったものの手遅れ、そのまま還らぬ人となってしまいました。

まあ、GGIの知りあいの皆さん、ほとんどが前期か後期の高齢者のために危険水域、GGIもいつこのようなことにならないとも限りませぬ・・・でも、注意しなければ、などとは思うものの注意のしようがありませぬ・・・

かようなしだいで、もうあんまり先も長くなさそうでありますので、今日はダラダラ一日のつもりでしたが心を改めて、少し込み入った、いささか退屈かもしれないけれども大切な話を書いておくことにいたしませう。

話題は日韓関係が最近になった急激に悪化しこじれる元となった韓国での徴用工問題に関する裁判についてです。

みなさんもご存知のように、昨年、韓国で元徴用工たちが起こした裁判において、元徴用工の賠償請求を「大法院」と称される韓国の最高裁が認め、新日鉄と住友金属に賠償を命じる判決を下しました。

この判決を不満としたアベ君は激怒、韓国は国際協定(日韓請求権協定)を無視していると強硬に韓国政府に対して抗議、報復として韓国への輸出規制を意図的に強化、これに対して韓国では日本製品の不買運動が激化したり、日韓の軍事情報に関する協定GSOMIAの継続を韓国側が拒否(最終的には米国の圧力でこの協定は継続)したり、また日本への韓国からの観光客が激減して日本の観光業者が困惑したり、韓国へのビールの輸出が激減してついにゼロになったり・・・・いまだにこじれにこじれた日韓関係、先行き極めて不透明・・・

日韓関係が最近これまで以上に急速にこじれる震源となったのが上にのべました韓国の最高裁による判決すなわち「新日鉄住友金属徴用工事件最上告審判決」(2018年10月30日)の内容です。

この問題に関して11月11日の朝日新聞が、小説家の平野敬一郎氏の「日韓、属性で分けずに共感をさぐろう」と題された一文を掲載していました。そのなかで同氏は次のように述べていました

「韓国の問題になると、メディアが無責任に反感をあおり、嫌悪感や敵意を垂れ流しています。元徴用工問題の韓国大法院判決文も読まないような出演者にコメントさせてはいけない。みんなまず、あの判決文を読むべきですよ・・・技術を習得できると期待して応募したら、危険度の高い労働環境に置かれ、賃金を支給されず、逃げ出したいと言ったら殴られた。悲惨ですよ・・・・」

この平野氏の一文を目にして、GGI、自らを恥じました。平野氏の指摘のとおりであるからです。実はGGIもメディによる報道に接していただけであり、報道の元となったこの判決文を読んではいませんでした。

平野氏の指摘が正しいのは、何かの問題についての自分考えを確かなものにしようとするならば、その問題の元となっている資料などが存在しているのであれば、すなわといわゆる「一次資料」が存在しているのであれば、間接情報である二次的、三次的な資料ではなく、まずは一次資料にできるかぎりに接する努力を払うべきであるというのが物事を論じるに際しての基本であるからです

日本語訳があることも知りませんでした。まことに恥ずかしき限り・・・そこで素直に反省して、日本語訳(全文)をネットで探し出して読むことにいたしました。

福岡県弁護士会の山本晴太さんという弁護士さんのサイトに日本語訳が掲載されていました。この様な方がおられるのはまことにありがたきことであり、この弁護士さんに感謝申し上げます。

さっそく読んでみました。判決書は長いものでありパソコンの画面で流し読みみたいなことをしたのですが、判決書に限らず法律関係の文書は素人にはなかなか理解困難。GGIは何度か住民監査請求を経ての民事訴訟の原告の一人として、某知人を介して裁判に関係していた経験があるため、いくらか判決書や訴訟にともなう訴状・書状・判決書の類を読んだ経験はあることはあるものの、長い判決書となると一度読んだくらいではサッパリ頭に入りませぬ・・・・

しかしサボリ名人のGGI、一度、判決書全部をプリントアウトしてしっかり読まなければと思っているうちに日が過ぎてしまいました。そうこうするうちに、知人の一人から近いうちに「日韓関係をときほぐす」と題した小さな集まりをするから来い、という知らせがありました。そこで、そうかあ、これはいい機会だ、この韓国の大法院の判決書を印刷して参加者に配ってはどうだろうと思いつきました。我ながら感心なアイディアであります。

そこでこの知人に電話して申しました。

「カクカクシカジカ、判決書の日本語訳があるので集まりで配りたいのだがいかがなものであろうか?」
「それはたいへん結構である。しかし、持ってきて単に配るだけでは安易ではないか、無責任ではないか、配ったうえでGGIが内容を説明すべきであろう。そうでないと意味がないではないか!」
「えっ、オレが解説するの、そんなあ・・あのなあ・・・」
「あたり前でせう。いい大人が何を言っているのですか」
「そうはいうけれど、内容、わがオツムにはなかなか理解困難なんや」
「何を甘えているのですか、貴殿も先はそう長くはなかろう、泣き言をいっているヒマはないではないか」
「ははあ・・・はい、はい、左様でございますか・・・」

かくなるしだいで、GGIは判決書全文を印刷し、できる限り精読して皆さんに説明しなければならないハメになってしまったのです。

今日の写真はこの判決書を撮ったものです。どうかクリックしてご覧くださいませ

すごい厚さでせう、これを全部読まなければならない・・・というのはまったくのウソ!これは判決書15冊を積みかさねたものです。集会の主が15部コピーして持ってこいといったのです。判決書は全文で44ページ、44ページでも結構なボリュームです。判決書の表題は

「新日鉄住友金属韓国徴用工事件再上告審判決」(2018年10月30日判決)

集会は昨日(12月14日)に予定されていましたのでGGI、セッセと読んだと申しますか、鋭意難行苦行をいたしました。

この裁判、一番重要な点と申しますか、私たちの大半はあまり理解しておらず勘違いしているのは、GGIも判決書を読んで初めて知ったのですが、この裁判、元徴用工たち個人による賠償請求を内容とするものの、賠償請求と申しましても被った損害そのものを、すなわち未払いになっている賃金や損なわれた財産などを償えという物的な損害に対する賠償請求ではないということです。そうではなく、この裁判は人権を無視した過酷で危険な労働環境の下で働くことを強いられたことによる精神的・肉体的苦痛に対して償うことを求めいる裁判、すなわち元徴用工という個人による「慰謝料」請求の裁判なのです。

日本のメディアはこの点、つまり物的な賠償請求ではなく慰謝料の請求に関する裁判であるという事実を十分に報道していないように思われれます。

日本では、いわゆる日韓請求権協定において国家(韓国)による請求権は認められるが、国ではなく個人による請求権は果たして協定に照らして認められのか否という点に焦点を当てて報道されていることが多いようですが、判決書を読みますと、焦点になっているのは、慰謝料の請求は協定に照らして許されるのどうかということであることが理解されます。つまり個人による請求が認められるのか否か云々が焦点になっているわけではないのです。その証拠に「個人による請求」云々と言う文言は判決書の中にはほとんど出てきません。

後に記すつもりでいるのですが、原告らが個人として請求しているのは慰謝料でありますから、裁判における最も基本的な争点は、まず、慰謝料請求の根拠となるような人権侵害の事実が存在していたか否かということ、徴用工に関する事実関係です。

次いで問題となるのは、慰謝料請求という原告である元徴用工らの請求内容が日韓の先の大戦に関する日韓のあいだの請求権問題はすべて解決されたとされている「日韓請求権協定」(1965年に締結された日韓基本条約に付随して締結された協定)の対象に含まれるものであるか否かということです。請求権協定の対象に含まれていると判断された場合は原告らの慰謝料請求は「解決済み」として不当であるということになります。一方、請求権協定の対象外と判断された場合は、請求権協定に規定に縛られませんから、慰謝料を請求することができるということになります

裁判過程は長期に及ぶ複雑なものですので、予備知識として、この裁判に至るまでの、これまでの経過を以下に簡単に記しておきます。原告らは最初に日本の裁判所に訴えていたのです

・1990年:元慰安婦が初めて名乗り出る。元徴用工らが日本で、日本政府とかつて働いていた企業に謝罪と賠償を求める裁判を起こす

・2003年:元徴用工二人が日本政府と旧日本製鉄に謝罪と賠償を求めた訴訟で、日本の最高裁は原告側に敗訴の判決

・2005年:韓国政府が元慰安婦、サハリン残留韓国人の問題は請求権協定の対象には含まれないと結論付ける一方、元徴用工の補償問題は解決済みとの立場を示す。

・その後、韓国内で元徴用工らが提訴したが一審、二審で敗訴。このため原告らは大法院(最高裁)に上告

・2012年:大法院が、元徴用工には賠償請求権があるとの判断を示し、原告側の訴えを退けた二審判決を破棄、審理を高裁に差し戻す

・差戻審で高裁が被告らの訴えを認める判決を下したために被告側が大法院に上告

・2018年10月:大法院が日本企業に対し、元徴用工らに賠償を命じる判決(日本側は請求権協定により「完全に解決済み」と反発)。

判決書の表題に「再上告審」とあるのは二度にわたり(一度は原告側から、二度目は被告側から)上告が行われており、二度目の上告審における判決であるという意味です。この大法院の判決はこの裁判に関する最終的な判断です。したがってこれ以上裁判が継続されることはありません。すなわち、韓国も三権分立の国家ですから、いくら日本側が今後抗議しても、不満であっても、韓国の司法による新たな判断が下されることはありません。

かように複雑な過程をたどっているのですが、GGIはまず一回、内容が分っても分らなくても終わりまで全文に目を通しました。

一度読んだくらいでは判決書の内容は十分には把握できません。これではダメ、まずは判決書全体の構成がどのようになっているかを把握しておかなければと思い、二回目、読みながら、判決書の目次のようなものを作ってみました。次回の日記に、このGGIが作ってみた目次のようなものをお示しするつもりでおります。みなさんがこの判決書をお読みなるときはいくぶんお役にたつのではないかと思います。

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・・

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冷や汗、陳謝、奥西勝さんの妹さん、ごめんなさい・・・

2019-12-13 01:49:40 | 日記
先日11月18日の日記で、東海テレビが製作した冤罪事件「名張毒ぶどう酒事件」のドキュメンタリー「眠る村:本件、未だ解決を見ず」の上映会を行うと宣伝しました。

このドキュメンタリーは1961年に三重県と奈良県の境にある集落で起きた大量殺人事件、集落の懇親会で出されたぶどう酒に毒物が入れられていたために、ぶどう酒を飲んだ女性たちのうち5人が死亡した事件です。

犯人とされた奥西勝(まさる)さんが逮捕されたのは35歳のとき、死刑判決が確定し、何度もくりかえし再審請求を行っていたものの、2015年に病気のために医療刑務所で亡くなりました。享年89歳・・・

この事件が今でも注目されるのは、裁判で一度無罪判決が下された後に逆転死刑判決、そのまま死刑が確定した戦後唯一の事件であるからです。それだけではなく、死刑確定後の7回目の再審請求で再審開始の決定が下されたにもかかわらず検察側の抗告により再審開始の決定が取り消された事件としても知られています。

12月7日(土)の午後、湖都市内の公共施設で上映会を開催しました。このドキュメンタリー、大都市ではすでに劇場公開されていますが湖国では初の上映、50人弱の方々が参加してくださり、無事上映会を終えた・・・と言いたいのですがった、実は最後に冷や汗をかいてしまいました。

奥西勝さんは獄中から自分の手で、あるいは弁護団の力を借りて、何回も再審請求を行っていたのですが最後は無念の病死、このため勝さんの実妹である美代子さんが裁判を引き継ぎ2017年再審請求を行っていました。本人が死去した後の再審請求、いわゆる「死後再審」です。しかし、この第10次再審請求も「自白は信用できる」として2017年12月に棄却されています。

ドキュメンタリーはこの妹さんの姿も追っています。第10次請求が棄却された妹さんは勝さんの遺影に向かって語りかけます。

「名古屋の裁判官も検察もあかんわ。もう助けてくれへんわ。やってもないような者を死刑にして・・・こんなこと言うてたら裁判官に捕まるやろか・・・」

GGIは上映会を行う前に、DVDのチェックも兼ねて二度ほどすでに見ておりましたので、このシーンまできて、ああもう少しで終わりだなあ、やれやれ、と思っておりました。時計を見ましたらあと5分ほどです。

ところがこのシーンのあと、しばらくして映像が乱れ始めました。あれっ、と思いながら見ていたのですが、映像の乱れが収まる気配はありません、それどころかだんだん乱れがひどくなるようです。

DVDのセッティングなどをしてくれた隣にいた知人が

「どうしませう、これはまずいですね・・・」
「う~ん・・・弱ったなあ・・・」
「一時停止して再起動させたほうがいいのでは・・・・」
「いや・・・でもなあ、一時停止してから再起動させられたらいいのだけれど、止まりっぱなしなって動かなくなるかもしれん・・そんなことになったら・・・とにかく止めずに、このままいけるところまで行くことにしよう・・・」

まあ一か八かであります。ハラハラしながら乱れる映像を見ておりましたら、まもなくラストのシーンとなりエンディングとなりました。

まことに冷や汗ものでありました。これが終わりに近い部分ではなく真ん中あたりで映像が乱れてしまって直らなかったりしていたら大ごとです。陳謝の最敬礼をして、頭を下げに下げて入場料をお返しして、参加者に御帰り願わなければならないハメになっていたかもしれませぬ・・・

いままで何度も自主上映会を行ってきましたが、こんなトラブルは初めてです。

かようなしだいで「無事」上映会を終えたのですが、実はやっぱり深く陳謝しなければならないことがあったのでした。

と申しますのは、一番最後に、短いのですが大切なシーンがあったのです。

奥西勝さんの妹の美代子さん(撮影当時86歳)が亡くなれば再審を引き継ぐ親族はいません。そうなると裁判は消滅してしまいます。ですから美代子さんを訪ねてきた、一度再審開始の決定を勝ち取ったことがある弁護団長の弁護士さんがいいます。

「美代子さん、生きていてください。それが一番大事なことです。あなたが死んでしまったら僕たち弁護士の努力も水泡に帰してしまいます。ですから、どうか生きていてください」

弁護士さんたちが帰ってしまった後のシーン。美代子さんはひとり寂しげにぽつんとつぶやきます

「(集落の人々だけではなく)裁判長も私が死ぬのを待っている・・・」

この最後の重要なシーン、映像が乱れていたのです。一番後ろで見ていた知人が「何を言っていたのか分かったことは分ったけれど」と言ってくれはしましたが、分らなかったかたもおられたのではないかと思います。かようなしだいで見に来て下さったみなさん、どうかお許しください。深く深く陳謝いたします

そして美代子さん、大切なシーンを台無しにしてしまいました。ごめんなさい。ほんとうのごめんなさい。心からお詫びいたします

また、この優れた貴重なドキュメンタリーを製作された方々にも、私どもの不手際をお許しくださるようお願い申し上げます

今日の写真は映画の一シーンです。奥西さんの妹の美代子さんが山の中にある先祖の墓に参るために急な坂道を上っているところです。美代子さんはお墓に水をかけながら、兄が一日も早く無罪となるようにと繰り返し懸命に祈ります。

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

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年末の衝動お買いもの・・・

2019-12-11 01:42:39 | 日記
冬になりますとウオノメが芽を出します。靴を履いて歩くと痛みます。痛いのでスムーズな歩行が乱れ、ますます後期高齢者にふさわしい歩き方になってしまいます。

そこで昨日、通りの向こうの大きなスーパーのなかにあるドラッグストアさんへウオノメ取りの絆創膏「イボコリコロリ」を買いに行きました。

買い終わってから、そうだ小さな目覚まし時計の電池が外れてどこかへ転がっていき行方不明になってしまった、電池を買わなくてはと思いつき、ドラッグ屋さんのとなりにある100円ショップさんに行きました。

電池は売っているのかなあと思いながら文房具のコーナーに寄り道いたしましら、物差しが売っていました。いまどき珍しい竹製の物差し(30センチ)です。小学校のころにお世話になった物差し、幼友達に巡りあったみたい、思わず買ってしまいました。

竹製の物差しの横に目をやりましたら定規セットなるものが置いてあります。三角定規二つと分度器が入っています。分度器まではいっていて百円なんて!思わず買ってしまいました

そして定規セットの横に磁石、どっちが北の方角かがわかる方位磁石が鎮座していました。この磁石クンにも久方ぶりの再会です。老人は徘徊して道が分らなくなったりすることがありますから、そのときのためにこの磁石も買うことにしました。もちろん100円です。青年は荒野へ向かう、老年はとりあえず赤い針が指している方向、北へ向かうかあ・・・

次に、わが乱雑なるゴミ屋敷候補の庵を清潔にすべく、5枚入り100円、「お徳用ぞうきん」。確かにお徳用ですが、それは実際に雑巾を使ってからの話です。使わなければ意味がありません。でも買いました・・・

ここまで衝動買いをしてから、そうだ電池を買いに来たのだと思い出して探して回りましたら幸いお店の隅っこに置いてありました

〆て、5点、計500円+消費税50円=550円!

楽しき衝動買いであったなあと思いながらお店を出ようとしましたら大きな来年のカレンダーが目に入りました。カレンダーは必需品、もちろん買うことにしました

このカレンダーも100円、ですからひと月あたり10円にもなりませぬ。ロフトさんあたりで同じぐらいの大きさのカレンダー買いますとひと月あたり100円以上はすることでありませう。ですから大変お得であります

そのうえ、このカレンダーには2020年とは記されているものの「令和」などという意味不明の品無き表記はされておりません。GGIは気に入ってしまいました。カレンダーも買って、年末衝動買いの仕上げをいたしました。

今日の写真はこの衝動買いの成果を示したものであります。わざわざご覧いただくほどのものではございませんが、よろしければクリックしてご覧くださいませ

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・

グッドナイト・グッドラック!
コメント
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