UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

冷や汗、陳謝、奥西勝さんの妹さん、ごめんなさい・・・

2019-12-13 01:49:40 | 日記
先日11月18日の日記で、東海テレビが製作した冤罪事件「名張毒ぶどう酒事件」のドキュメンタリー「眠る村:本件、未だ解決を見ず」の上映会を行うと宣伝しました。

このドキュメンタリーは1961年に三重県と奈良県の境にある集落で起きた大量殺人事件、集落の懇親会で出されたぶどう酒に毒物が入れられていたために、ぶどう酒を飲んだ女性たちのうち5人が死亡した事件です。

犯人とされた奥西勝(まさる)さんが逮捕されたのは35歳のとき、死刑判決が確定し、何度もくりかえし再審請求を行っていたものの、2015年に病気のために医療刑務所で亡くなりました。享年89歳・・・

この事件が今でも注目されるのは、裁判で一度無罪判決が下された後に逆転死刑判決、そのまま死刑が確定した戦後唯一の事件であるからです。それだけではなく、死刑確定後の7回目の再審請求で再審開始の決定が下されたにもかかわらず検察側の抗告により再審開始の決定が取り消された事件としても知られています。

12月7日(土)の午後、湖都市内の公共施設で上映会を開催しました。このドキュメンタリー、大都市ではすでに劇場公開されていますが湖国では初の上映、50人弱の方々が参加してくださり、無事上映会を終えた・・・と言いたいのですがった、実は最後に冷や汗をかいてしまいました。

奥西勝さんは獄中から自分の手で、あるいは弁護団の力を借りて、何回も再審請求を行っていたのですが最後は無念の病死、このため勝さんの実妹である美代子さんが裁判を引き継ぎ2017年再審請求を行っていました。本人が死去した後の再審請求、いわゆる「死後再審」です。しかし、この第10次再審請求も「自白は信用できる」として2017年12月に棄却されています。

ドキュメンタリーはこの妹さんの姿も追っています。第10次請求が棄却された妹さんは勝さんの遺影に向かって語りかけます。

「名古屋の裁判官も検察もあかんわ。もう助けてくれへんわ。やってもないような者を死刑にして・・・こんなこと言うてたら裁判官に捕まるやろか・・・」

GGIは上映会を行う前に、DVDのチェックも兼ねて二度ほどすでに見ておりましたので、このシーンまできて、ああもう少しで終わりだなあ、やれやれ、と思っておりました。時計を見ましたらあと5分ほどです。

ところがこのシーンのあと、しばらくして映像が乱れ始めました。あれっ、と思いながら見ていたのですが、映像の乱れが収まる気配はありません、それどころかだんだん乱れがひどくなるようです。

DVDのセッティングなどをしてくれた隣にいた知人が

「どうしませう、これはまずいですね・・・」
「う~ん・・・弱ったなあ・・・」
「一時停止して再起動させたほうがいいのでは・・・・」
「いや・・・でもなあ、一時停止してから再起動させられたらいいのだけれど、止まりっぱなしなって動かなくなるかもしれん・・そんなことになったら・・・とにかく止めずに、このままいけるところまで行くことにしよう・・・」

まあ一か八かであります。ハラハラしながら乱れる映像を見ておりましたら、まもなくラストのシーンとなりエンディングとなりました。

まことに冷や汗ものでありました。これが終わりに近い部分ではなく真ん中あたりで映像が乱れてしまって直らなかったりしていたら大ごとです。陳謝の最敬礼をして、頭を下げに下げて入場料をお返しして、参加者に御帰り願わなければならないハメになっていたかもしれませぬ・・・

いままで何度も自主上映会を行ってきましたが、こんなトラブルは初めてです。

かようなしだいで「無事」上映会を終えたのですが、実はやっぱり深く陳謝しなければならないことがあったのでした。

と申しますのは、一番最後に、短いのですが大切なシーンがあったのです。

奥西勝さんの妹の美代子さん(撮影当時86歳)が亡くなれば再審を引き継ぐ親族はいません。そうなると裁判は消滅してしまいます。ですから美代子さんを訪ねてきた、一度再審開始の決定を勝ち取ったことがある弁護団長の弁護士さんがいいます。

「美代子さん、生きていてください。それが一番大事なことです。あなたが死んでしまったら僕たち弁護士の努力も水泡に帰してしまいます。ですから、どうか生きていてください」

弁護士さんたちが帰ってしまった後のシーン。美代子さんはひとり寂しげにぽつんとつぶやきます

「(集落の人々だけではなく)裁判長も私が死ぬのを待っている・・・」

この最後の重要なシーン、映像が乱れていたのです。一番後ろで見ていた知人が「何を言っていたのか分かったことは分ったけれど」と言ってくれはしましたが、分らなかったかたもおられたのではないかと思います。かようなしだいで見に来て下さったみなさん、どうかお許しください。深く深く陳謝いたします

そして美代子さん、大切なシーンを台無しにしてしまいました。ごめんなさい。ほんとうのごめんなさい。心からお詫びいたします

また、この優れた貴重なドキュメンタリーを製作された方々にも、私どもの不手際をお許しくださるようお願い申し上げます

今日の写真は映画の一シーンです。奥西さんの妹の美代子さんが山の中にある先祖の墓に参るために急な坂道を上っているところです。美代子さんはお墓に水をかけながら、兄が一日も早く無罪となるようにと繰り返し懸命に祈ります。

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック! 
コメント
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