UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

家にいて・・・

2019-12-25 02:16:34 | 日記
この日曜日、12月22日、朝日新聞の俳句や短歌が掲載されている欄をぼんやり眺めておりましたら、ある俳句に思わず目がとまってしまいました。

このような句に遭遇しようとは思ってもいませんでした・・・・

《 家にいて「帰ろう」といふ暮れ早し    横浜市 我妻幸男 》

選者の言葉が記されていました。

《我妻さん、どこにいるのか分からくなっている人の、この上なく淋しい「帰ろう」》

GGI、この句とそっくりの経験をしたことがあるのです。まさに真正のデジャヴュです。この句を目にしたとたん、明治の終わりにこの世に生を受け、93歳で逝ってしまったわがマザーのことを思いだしました。

晩年になってのことでしたが、いつのことであったか、記憶は定かではりません
ある秋の夕暮れに突然わがマザー母がつぶやくように言ったのです

「GGIさん、これから家へ帰ろうか・・・」

えっ! 何を言ってるのだ、一瞬わが耳を疑いました・・・帰るっていったいどこへ帰るんだ・・・そうかあ・・・小さかったころのことを思い出して、自分が今どこにいるのか分らなくなっているのだ・・・

GGIの父も母も九州の出身です。わがマザーは果物がなる木が何本も植わっている広い庭のある家で少女時代を過ごしたようです。年老いて、ときおりこの実家のことや優しかった父親のことを懐かしそうに語っていました。幸せな少女時代だったのでありませう

この言葉に驚いたのですけれども、母をできるだけ失望させないように、そっと答えました

「あのねえ、お母さん・・・もう日が暮れかかっているし・・・今から家まで帰るのはたいへんだよ・・新幹線にのっても、着くのは真夜中。今日はもう遅いから帰るのは明日にしたら・・・・」

しばし沈黙、そのあとわずかに微笑みながら、ぽつんと

「そうねえ・・・」

納得はしたものの少し寂しげでした。

翌朝、母は昨日言ったことをすっかり忘れておりました。

このあとも、ときおり、夕方になると同じことを口にしました。そのたびにGGIは同じ返事をするのでした。そして同じように母はしばらくして「そうねえ・・・」とぽつんと、少し淋しげに答えるのでありました・・・

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

今日の写真は水面に漂う落葉さんたちを撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ

グッドナイト・グッドラック!


コメント
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