■ 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹/文藝春秋を読み終えた。
『風の歌を聴け』
『1973年のピンボール』
『羊をめぐる冒険』
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
『ノルウェイの森』
『ダンス・ダンス・ダンス』
『国境の南、太陽の西』
『ねじまき鳥クロニクル』
『スプートニクの恋人』
『海辺のカフカ』
『アフターダーク』
上に挙げた村上春樹の長編小説を一通り読んだのは2007年のことだった。その後刊行された『1Q84』は大ベストセラーになったが、なぜか読んでみようという気持ちにはならず、まだ読んではいない。既に文庫化されているから、今年中には読もう。
さて、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』だが、この小説には新宿駅の9・10番ホームとそこから出発する松本行きの最終の特急列車あずさが重要な意味を持って出てくるらしいことを知り、読んでみたいと思った。新宿駅21時発の最終のあずさはぼくもよく利用する。
タイトルを初めて目にしたときは何だか変わったタイトルだなと思ったが、読み終えてこの長編小説の内容を的確に表したものだということが分かった。そう、これは本来人が持つべき「色彩」を持たない、あるは失った多崎つくる(つくるは漢字では作)が「色彩」を獲得するための巡礼の旅ものがたりなのだ。
「色彩」を自己の帰属する共同体と捉えれば、この小説は3.11を意識して書かれたともとれるだろう。 失われた共同体の総括と新たな共同体構築の試みがテーマだと。
いままでの村上春樹の作品がそうであるように、この小説も暗喩的に「何か」が描かれていると、深読みもできそうだ。
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後日、追記したい。