透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

辰野金吾といえば東京駅

2008-02-01 | A あれこれ


 今回の建築トランプはこの人。K.TATSUNOとカードにある。そう、辰野金吾。辰野金吾といえば東京駅を設計した建築家。

前回の建築トランプで取り上げた高過庵の設計者で建築探偵の藤森照信さんの著書『日本の近代建築』の上巻の帯に東京駅が写っている。竣工時の東京駅はこの写真のように今とは異なる丸いドーム状の屋根だった。

現在は右の写真のような姿(小さくて分かりにくいが)をしているが、これは間に合わせで行なわれた修復工事に因る。今、元の状態に戻す工事が行なわれている。



辰野金吾のカードを引いたとき、困ったと思った。この建築家に関する知識が無いのだ。知っていることといえば東京駅の設計者ということくらい。藤森さんの本を再読すれば、俄知識は得られるが、それをここに書いても仕方がない。

イラストの辰野金吾が被っている帽子が東京駅だと分かるが手に持っているのが何か知らない・・・。

次に東京駅の今の姿が写っている本を探した。建築関係の本には載っているがそれを取り上げても面白くない。で、書棚から見つけ出したのがこれ、夏樹静子さんの長篇ミステリー『東京駅で消えた』中公文庫。

帯に注目、**東京駅の霊安室で男の死体が・・・**とある。現在も使われているかどうか知らないが、霊安室があったのだ。ストリーは忘れたがこれは東京駅を舞台にしたミステリー。霊安室や地下通路の存在などこの小説で大正3年開業の東京駅の知られざる素顔を知った。

先日書店でこの本を探したが見つからなかった。91年発行、既に絶版かもしれない。

今回は辰野金吾から東京駅に逃げて終わりにする。次回引くカードは何だろう・・・。

スタディモデル東京

2008-02-01 | A あれこれ


① アトリエ・ワン展 @ギャラリー間(0703)


② 塩尻市民交流センターのスタディモデル ワークショップの会場にて


③ カフェのスタディモデル

 モノを創ることには根源的な喜びが伴うように思う。別に教えるわけでもないのに幼児が積み木を積んで遊んだりすることがそのことを示しているのではないか。建築(別に建築に限ったことではないが)の模型を作ることも同様に楽しい。

さて、建築の模型は①のようなプレゼン用(一般的には建築の完成した状態を表現した模型)と②や③のような計画の検討用とに大別される。最近では模型に替わってCGによるプレゼンや検討も行なわれるようになったが、CGと模型、両者には決定的な違いがある。CGの空間はバーチャル、模型の空間はリアルなのだ。

やはり模型の方がプレゼンにも計画の検討にも好ましい、とアナログ人間の私は思う。

③は都内の私鉄沿線の住宅街に計画された9坪位の小さなカフェの検討用模型。既存の木造の1階の一部のリフォーム計画。

手前の2面の壁は取り外されているがその壁についている窓からこの空間を覗くと実にリアルに見える。上方からの光がカウンタートップにあたる様子や空間の光の分布などがよく分かる。

この空間を決定的に規定するのはやはりキッチンカウンターだろう。ここには機能性とインテリア性がシビアに求められる。この部分が上手く出来れば、シンプルでモダンな空間が出来るのではないか。友人から内装などの計画の説明を受けてそう思った。

前面道路に沿って桜並木が続いている。道路に面した壁(模型では外されているが)の縦長の窓からは桜が美しく見えるに違いない・・・。そのことを実際に確認するのを楽しみにしている。


壱のツボ 繰り返しが生むリズムを楽しむ

2008-02-01 | B 繰り返しの美学



 NHKのテレビ番組「美の壺」が既に何冊か本になっていることを知った。その内の1冊「アール・デコの建築」を書店で見つけて購入。

お馴染みのアート鑑賞マニュアル。アール・デコ建築鑑賞マニュアルの三つのツボの内、壱のツボは「繰り返しが生むリズムを楽しむ」! このツボは、私が取り上げる繰り返しの美学と同じ視点でアール・デコ建築をまず鑑賞しようというわけだ。因みに弐のツボは「つるつるした素材が格好いい」、参のツボは「ビルの表情を壁に見よ」。

この本には日本のアール・デコ建築の代名詞ともいえる旧朝香宮邸(現東京都庭園美術館)が取り上げられている。アール・ヌーヴォーは曲線的、有機的なデザインが特徴。その後、1920年頃に始まったのアール・デコといえば直線的、幾何学的。確かに繰り返しの美学が存在しそうな特徴を備えている。

右の写真は旧朝香宮邸の大広間の照明。繰り返しの美学。私がブックマークしているあるブログにもしばらく前に、この建築の繰り返しの美学を捉えた写真がアップされていた。

今ここでこの展覧会が開かれている。会期は3月31日まで。これはもう行くしかない!



東京都庭園美術館のHPより転載