● 桐野夏生の代表作といえば直木賞受賞作の『柔らかな頬』と『OUT』だろうか。しばらく前、夫を殺して、死体をバラバラにして新宿と渋谷だっかな、捨てるという事件があった。その時『OUT』を思い出した。
『魂萌え』新潮文庫を読了した。主人公の敏子は60歳直前、夫が心臓発作で急死する。葬儀の日、夫の携帯電話が鳴る。夫には秘密があった。電話してきたのは夫の秘密の相手だった・・・。
ミステリアスなスタートではないか、そう思って読み進んだが、なんとも凡庸な作品だった。新聞の夕刊に連載された作品だそうだが、そのせいなのかどうかは分からないがストーリー展開は冗長。
**定年後世代の男女に訪れる、魂の昂揚を描く。**とカバーの裏面にある。妻でも母でもなくなった女のもっと激しい生き様を期待していた。その期待は外れた。『疾走』を読んだ直後だからだろうか。
読後感は人によって異なって当然、だからこの小説を評価する人がいても不思議ではない。
さて、読みかけの『百億の昼と千億の夜』に戻ろう。
このSF、予想通り読み進むのに時間がかかる。どんな展開になるんだろう・・・。