路上観察 南木曽町田立の蔵 090704
■ 茅葺の民家ほどには蔵のデザインに地域性は無いだろう・・・。これが、さにあらず。地域によって蔵のデザインもいろいろだ。今回は岐阜県中津川市と境を接する南木曽町田立で路上観察した蔵。
蔵には主として防火上の理由からそれ程大きな開口部は無い。特に妻壁にはあまり設けない。ところが路上観察したふたつの蔵は妻壁の上部に大きな開口部があった。庇は銅板葺きの薄いものをよく見かけるが、このような瓦葺のどっしりとした庇は私の記憶にない、記録にはあるかもしれないが。それと両開きの扉にも注目。妻壁の開口部には扉がないか、あっても普通片開きではないか。
蔵の壁の仕上げに用いられる漆喰は風雨で傷みやすいので、腰壁はなまこ壁や板壁にすることが多い。腰壁と上部の壁の見切りは普通下の蔵のように水平だが、上の蔵は屋根の勾配に合わせてへの字型になっている。鉢巻きも白と黒。このようなデザインから上の蔵は少しにぎやかな、というか派手な印象を受ける。
比して下の蔵は落ち着いた印象。どちらが好みかは人それぞれだろうが、私は下の蔵のデザインの方が好きだ。