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「戦争ができる国」めざす2008年度版「防衛白書」(2)

2008年09月18日 | 国際・政治
昨日に引き続き、2008年度版「防衛白書」について見ていきましょう。

9月11日、政府はイラク戦争において米軍兵士や軍事物資を空輸している空自の撤退を検討している旨、発表しましたが(9月12日付け当ブログ)、「白書」発表時はまだ決まっていなかったようです。
これまでイラクに派遣しているC130輸送機は、地対空ミサイルを避けるためフレア(おとりの熱源体)を発射しながら、戦場であるバグダッド空港で活動をしていたわけですが、防衛省はさらに来年度概算要求で、フレアを装備したCH47輸送ヘリ4機を調達するとともに、すでに保有しているCH47にも防弾板を装着する計画をしていました。これは全土が戦場化しているアフガニスタン本土への派兵を想定してのことだったと思われます。
「白書」では、こうした海外で戦争できる能力の強化を盛り込んでいるのです。

自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟で名古屋高裁は、空自が米軍兵士と軍事物資を戦場であるバグダッドに空輸するのは「憲法違反」であり、「イラク特措法にも違反」との判決を言い渡しました(今年4月)。ところが「白書」は確定になったこの名古屋高裁判決を黙殺しており、それどころか日米両政府が合意した「世界の中の日米同盟」(2003年の日米首脳会談)や「世界とアジアのための日米同盟」(2006年の日米首脳会談)を持ち出し、米国の先制攻撃戦略にもとづく戦争の支援強化を正当化しており、「憲法違反」の状態をさらに強める内容になっているのです。
「白書」が示すように日米同盟を侵略的に強化・拡大し、自衛隊が海外の戦場での軍事活動を強化する方向は、「東南アジア友好協力条約(TAC)」や北朝鮮をめぐる「六ヵ国協議」の動き、中国との「戦略的互恵関係」の約束とも反します。紛争を戦争ではなく平和的・外交的手段で解決するという国際社会の平和の流れに反する方向だと指摘せざるを得ません。

日本政府は、米国いいなりの軍事強化路線をやめて、世界とアジアの平和の潮流に合流すべきです。

<各党改憲論まで紹介>
今回の「白書」のもう一つの特徴として自民、公明、民主の各党が主張している改憲論を異例のコラムで紹介している点が挙げられます。そのタイトルは「憲法をめぐる議論」。
2005年10月に発表された民主党の「憲法提言」、同じく自民党の「新憲法草案」、公明党の「加憲」論です。その中で、「各党が挙げた論点の一つが現行憲法の9条に関するもの」と指摘。「白書」は、各党がその改憲論で自衛隊を自衛軍と憲法上規定したり、自衛隊の存在の既成事実を明記することを紹介することで、日本を「海外で戦争ができる国」に転換しようとする狙いがあるものと思われ、警戒が必要です。

【参考】2008年9月6日付け『しんぶん赤旗』より


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