とだ九条の会blog

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『戦争ってなんだ?~証言が伝えるアジア太平洋戦争~』から(1)

2008年09月06日 | 国際・政治
このほど、学習の友社から『戦争ってなんだ?~証言が伝えるアジア太平洋戦争~』と題した冊子が出版されました。編著者の石山久夫氏(歴史教育者協議会委員長)は、「過去の戦争の悲惨さを学ぶだけではすでに終わったできごとを他人事のように学ぶだけで終わってしまい、今は平和でよかったと感じるだけで終わってしまう」と言い、「今、戦争について学ぶなら、それを過去の問題としてではなく現在の問題として、今どうすれば戦争をなくせるのかという視点から学ぶ」必要性を強調しています。
そして、そのためには戦争の全体像を広い視野からとらえる必要があるとして、巻頭に「目で見る学習」として「日本の侵略戦争は人の命をどうあつかったか」と題し戦争の実相を告発し、第1部では具体的な証言や体験記を通じ「語られた戦争の真実」を、第2部ではこうした戦争がどんなしくみのもとで起こったのか、様々な角度から解明を試みています。
そこで、当ブログでも、その中からいくつかをご紹介して一緒に考えていきたいと思います。(文責:サイト管理者)

■兵士の死--戦死と餓死
日中戦争以後の日本軍将兵の戦死者数は約230万人と言われていますが、実はその約6割にあたる140万人は餓死であったという事実が明らかとなっています(下表参照)。
なぜ、そんなに餓死が多かったのか……それは、日本軍の作戦の中で補給が軽視されたからだといいます。そしてそれは同時に食糧の現地調達=現地住民からの略奪にもつながったといいます。
さらにもう一つの理由として、兵士には「降伏が禁止されていた」ため、死ぬまで戦わねばならなかった点を指摘しています。
無理な戦いをせずに早く降伏すれば助かった命。兵士の人権は徹底的に無視されたことが根本にあると告発しています。

【地域別陸海軍人戦没者数】(厚生省援護局1964年調査より集計)
※( )内は栄養失調など戦病死者(広義の餓死者)数

・日本本土              103900人(別記)
・小笠原諸島              15200人(--)
・沖縄                 89400人(--)
・中部太平洋             247200人(123500人)
・仏領インドシナ            12400人(別記)
・タイ                  7000人(別記)
・マレー・シンガポール         11400人(別記)
・ビルマ・インド           164500人(145000人)
・ボルネオ・スマトラ・ジャワ・セレベス 33200人(別記)
・モルッカ・小スンダ・西ニューギニア  57400人(28700人)
・フィリピン             498600人(400000人)
・東ニューギニア           127600人(114840人)
・ビスマルク島             30500人(27500人)
・ソロモン諸島             88200人(66000人)
・朝鮮                 26500人(別記)
・旧満州                46700人(別記)
・中国本土              455700人(227800人)
・台湾                 39100人(別記)
・樺太・千島              14800人(別記)
・ソ連                 52700人(別記)
○別記:ソ連・旧満州・樺太・千島          (21000人)
○別記:その他の地域                (116700人)
<合計               2121000人(1276240人)>
※藤原彰『餓死した英霊たち』青木書店より作成

(つづく)


【出典】『戦争ってなんだ?~証言が伝えるアジア太平洋戦争~』 石山久夫(歴史教育者協議会委員長)+『学習の友』編集部・編著、学習の友社刊、定価1500円(税込)
■詳細をお知りになりたい方は、お買い求めください(「学習の友社」TEL03-5842-5641)。

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