とだ九条の会blog

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矛盾と孤立深める「新世紀の日米同盟」

2006年07月04日 | 国際・政治
一昨日のブログでも紹介しましたが、小泉首相は、6月29日、首相就任5年間にわたる米国追随の小泉政治の“卒業旅行”とも言える訪米を実施し、盟友・ブッシュ米大統領と最後の約束=『新世紀の日米同盟』と題する「共同文書」を発表しました。
共同文書では、2003年5月の日米首脳会議で確認した「世界の中の日米同盟」という文言を初めて表記し、明確に位置付けるとともに、軍事では「テロとの闘い」を共通の利益に掲げ、政治、経済、価値観など、あらゆる分野で日米がまさに一心同体であり、アジア太平洋地域をはじめ、さらに踏み込んで地球規模での連携・強化を強調しているのが特徴です。

まず、軍事面では、在日米軍と自衛隊に関する再編合意、弾道ミサイル防衛や有事法制整備により日米関係が「深化」したと評価しました。さらに、強固な日米の協力が、中国の責任ある対応を促し、北東アジアの平和と安定に貢献すると述べ、北朝鮮やイランの核開発問題にも言及。米国との共通戦略の策定や先制攻撃の戦争を進める米軍再編の合意について「安全かつ迅速な実施」を約束しています。
これは、米国から繰り返し要求されている「集団的自衛権」行使のために、海外で武力行使を禁じた憲法を改悪する圧力と策動を一層強めることを意味していて問題です。

これまで、小泉政権は日米同盟の侵略的変質を「安保条約」の改定という形をとらず、日本の国内法(有事法制)で強行してきました。それは戦争放棄、戦力不保持をうたった憲法があるもとでは、いくら自民党でもできなかったからです。
浅井基文さん(広島市立大学広島平和研究所所長)は「条約で約束できない憲法違反の侵略同盟への変質を、憲法の下位にある法律でやってのけることが法治国家で許されていいはずがありません」と指摘。「そのことを公然と書いているこの『共同文書』は、日米両政府による憲法に対する“クーデター”を行ったことを認めたものであり、深刻で重大な事態だ」と批判しています。

また、共同文書は、経済面で「成長のための日米経済パートナーシップ」の名の下で、この5年間実施されてきた各種の規制緩和や郵政民営化などを評価。今後さらに米国企業によるM&A(企業合併・買収)やホワイトカラーエグゼンプション(残業代不払い)制度の導入、営利企業による医療サービスの拡大など日本経済を米国型に改造しようと注文しています。
しかし、この5年間を見てもわかるように、米国の注文と日本の大企業の要求とも結びついて実施されてきた、たとえば「不良債権処理」では、01年から05年にかけて日本の中小企業が50万社も減らされるという結果をもたらしましたし、三百数十兆円にのぼる郵貯・簡保を狙う米国の金融・保険市場の要求であった「郵政民営化」は、結局1048局もの集配局廃止につながるなど、日本の雇用と経済・福祉を破壊するものとなっています。

「新世紀の日米同盟」というタイトルに照らして言うならば、小泉首相が5年間にわたって進めてきた日米軍事同盟の侵略的変質、新自由主義にもとづく市場経済など対米追随の政治をポスト小泉の後継者にも引き継がせ、これから先21世紀にわたって負担を国民に押し付けることを米国に約束してきたわけで、その「共同文書」の持つ反憲法性・売国性は明らかです。

「共同文書」でブッシュ大統領と小泉首相が確認した両国の「普遍的価値」とは一体何だったのでしょう。
イラク戦争開始の口実とされた大量破壊兵器の保有に関する情報は“でたらめ”だったことが国際的にも明らかとなりましたが、そのブッシュ大統領が進めるイラク戦争をいち早く支持した小泉首相、その「蜜月ぶり」「盟友ぶり」とは対照的に、世界からの「孤立」が際立っています。

ホワイトハウスでブッシュ大統領と並んで記者会見する小泉首相の写真は、イラク戦争で罪のない多くのイラク市民を殺戮してきた共同の罪、日本の国民を犠牲にして我が国を米国に売った売国の罪により、世界の世論という法廷で裁きを受ける“被告”のようには見えませんでしたか。


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