小泉純一郎首相の靖国神社参拝は、政教分離を定めた憲法に違反し、精神的苦痛を受けたとして、戦没者の遺族らが国と首相、靖国神社に損害賠償などを求めた訴訟で、6月23日、最高裁は合憲か違憲かを判断しないまま原告の請求を退けました。
これは、身内を靖国神社にまつられた日本と韓国の遺族ら278人が、「2001年の小泉首相の参拝によって精神的な苦痛を受けた」として、それぞれ1万円の損害賠償の支払いを求めていた大阪一次訴訟についてです。
すでに地裁、高裁段階で12件の判決が出ていますが、こうした一連の訴訟では、「首相の参拝は違憲」という判決が2件と、憲法判断をしない判決が10件に分かれています。
今回、最高裁が示したのは、「他人が特定の神社に参拝することで不快の念を抱いたとしても、ただちに損害賠償の対象にはならない」として損害賠償請求を退けたうえ、違憲確認の訴えについては「確認の利益がなく、これを却下すべき」と肩すかしの判決となりました。
行政の最高責任者である首相の靖国参拝は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」とした憲法20条3項の「政教分離という憲法の大原則」に照らして違反することは明らかであり、このように最高裁が判断を避け続ければ、「憲法の番人」としての役割を果たせないことも明らかです。
さらに重大なことは、こうした“憲法判断を逃げただけ”の最高裁判決を受けて、小泉首相が「判決は妥当なものだ。戦没者に哀悼の誠を尽くすというのは憲法以前の問題だ」と、首相の靖国参拝に“お墨付き”を得たかのような、例によって小泉首相一流のさかさまな論理で居直っていることです。
小泉首相は、6月29日、米国のワシントンでブッシュ大統領と会談し、「共同文書」を発表して、「世界の中の日米同盟」をアピールしました。小泉首相にとっては盟友・ブッシュ米大統領への最後の訪問。5年間の米国追随の小泉政治の“卒業旅行”と言われている今回の米国詣ででは、ブッシュ大統領が最大級のもてなしをする一方、米議会では靖国参拝問題を理由に、小泉首相側が望む米議会での演説を拒否するなど対応は全く逆。また、欧米のメディアからも、小泉首相の靖国参拝がアジア諸国との関係で冷却化しており、それが日米関係にも深い影を落としていると指摘されています。米国人にとっても“靖国参拝”は不愉快に映っているのです。
小泉首相は、こうした靖国参拝問題について、「何回行こうが問題にならない。個人の自由だ」と発言を繰り返しており、これに対しても自民党・村田吉隆前防災担当相などからも「日中国交回復したときの精神をもう一度思い起こさなければならない。(靖国問題で)誤解をしているのは中国ではなく日本だ」などと、自民党内部からも批判の声が出る始末です。
首相就任以来、国内外の批判を無視して、毎年実施している首相の靖国参拝を、今年も9月の自民党総裁の任期切れを前に、実施するのではないかと危惧されています。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/
これは、身内を靖国神社にまつられた日本と韓国の遺族ら278人が、「2001年の小泉首相の参拝によって精神的な苦痛を受けた」として、それぞれ1万円の損害賠償の支払いを求めていた大阪一次訴訟についてです。
すでに地裁、高裁段階で12件の判決が出ていますが、こうした一連の訴訟では、「首相の参拝は違憲」という判決が2件と、憲法判断をしない判決が10件に分かれています。
今回、最高裁が示したのは、「他人が特定の神社に参拝することで不快の念を抱いたとしても、ただちに損害賠償の対象にはならない」として損害賠償請求を退けたうえ、違憲確認の訴えについては「確認の利益がなく、これを却下すべき」と肩すかしの判決となりました。
行政の最高責任者である首相の靖国参拝は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」とした憲法20条3項の「政教分離という憲法の大原則」に照らして違反することは明らかであり、このように最高裁が判断を避け続ければ、「憲法の番人」としての役割を果たせないことも明らかです。
さらに重大なことは、こうした“憲法判断を逃げただけ”の最高裁判決を受けて、小泉首相が「判決は妥当なものだ。戦没者に哀悼の誠を尽くすというのは憲法以前の問題だ」と、首相の靖国参拝に“お墨付き”を得たかのような、例によって小泉首相一流のさかさまな論理で居直っていることです。
小泉首相は、6月29日、米国のワシントンでブッシュ大統領と会談し、「共同文書」を発表して、「世界の中の日米同盟」をアピールしました。小泉首相にとっては盟友・ブッシュ米大統領への最後の訪問。5年間の米国追随の小泉政治の“卒業旅行”と言われている今回の米国詣ででは、ブッシュ大統領が最大級のもてなしをする一方、米議会では靖国参拝問題を理由に、小泉首相側が望む米議会での演説を拒否するなど対応は全く逆。また、欧米のメディアからも、小泉首相の靖国参拝がアジア諸国との関係で冷却化しており、それが日米関係にも深い影を落としていると指摘されています。米国人にとっても“靖国参拝”は不愉快に映っているのです。
小泉首相は、こうした靖国参拝問題について、「何回行こうが問題にならない。個人の自由だ」と発言を繰り返しており、これに対しても自民党・村田吉隆前防災担当相などからも「日中国交回復したときの精神をもう一度思い起こさなければならない。(靖国問題で)誤解をしているのは中国ではなく日本だ」などと、自民党内部からも批判の声が出る始末です。
首相就任以来、国内外の批判を無視して、毎年実施している首相の靖国参拝を、今年も9月の自民党総裁の任期切れを前に、実施するのではないかと危惧されています。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/