みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

シドニー・カートンに花束を!

2022年06月20日 | 
趣味のピアノは、長らくクラシック路線なので、小説のクラシック作品をなおざりにしておくのは、いかがなものか?と言うことで、
憧れの英国の文豪、チャールズ・ディケンズ作品を手に取ってみる。
まずは、長すぎず、世界史の授業でタイトルだけ覚えさせられた二都物語(A Tale of Two Cities)。

きな臭いフランス革命のパリとロンドンが舞台と言うことで、きわめて、ジェットコースター的な展開。
都合よく、いろいろな事件が展開して、これは?エンタテイメント小説か!?と思わなくはないけれど、
ラスト、今一つ冴えない男が、限りなく輝く終わりの数ページは、自然に涙が溢れ出てくる。
読み応えあり。
なかなかに感動的な「蘇る」物語(再生の物語)だった。

途中までは、シドニー・カートン(恋心を抑えられず、人妻に近づく)には良い印象を持っていなかったし、
終盤は見え見えの展開だったけど、この既定路線でも、これだけ感動させられるのは、よく知っているクラシック音楽を聴いて、感動するのと近い感覚かもしれない。

陰惨な革命の描写が多く、これこそ革命の本質ではないかな?と思う。
折々、過激な行動に走りやすいフランス人の国名性も垣間見た気がする。

フランス革命の有名なスローガン「自由・平等・博愛」には続きがあったことを知ったのも興味深かった。
「自由・平等・博愛、さもなくば死」
世界史の授業で習った「自由・平等・博愛」は、都合のいい所だけを切り出したスローガンだったか・・・。

読みながら、懐かしく蘇ってきたのは、小さい頃、松本零士のアニメーション(宇宙戦艦ヤマト、銀河鉄道999)に夢中になった時の記憶。
松本零士作品は、二都物語から影響を受けている?
犠牲的精神、特権階級の横暴と、虐げられて虫けら扱いされる平民の構図など。

飢えて餓死するか さもなくば、獄につながれるかの最悪の時代から、まだ200年しか経っていない。
50年生きた身からすると、200年前は、今に近い。
歳を重ねて、歴史が身近に感じられるのは、そういうカラクリがあるような・・・。

切なくも誇り高いカートンに花束を!
冴えない人生にも、こういう花の咲かせ方、命の使い途もあるのだ。
ディケンズ作品、ぼちぼち、紐解いてゆくとしよう。

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