タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

働き方改革か・・・

2018-02-16 21:24:45 | 産科
大阪市西区の凛津(りつ)ちゃん、1月12日生まれ。
「いろいろなことを経験し、のびのびと育ってください。
お産は想像を絶する痛みでしたが、生まれた瞬間に痛みは飛んていきました。
ご飯も美味しく、皆さん優しくて、とても快適でした。」

初めての出産で、里帰りでしたから、お父さんが間に合いませんでしたか。
次はお父さんにも来てもらいたいそうですよ。
お父さんの役割は大きいですからね。

最近は企業でも過労死にならないようにと、働き方改革なるものが進行しています。
あるいは金曜の夜は早めに仕事を切り上げる、とかでしょうか。
それというのも、どうも日本人は仕事の時間が長い割に、その内容が濃くないと言われているからですね。
要するに、ダラダラと仕事をしていると言えるのでしょうか。

医療の世界でも、最近は8時間労働でないといけないとかで、
超過勤務をさせている病院に指導が入るのですよね。
ですが医師が、看護師のように週に40時間しか働かないのでは、
あと3千人の産婦人科医が必要だそうです。

思い起こすに、私たちの若かりし時代は、病院で生活するのが当たり前という時代でした。
後輩の結婚式に教授が仲人されたのですが、新婦さんに向かって、
新郎が家に帰れないほど忙しい世界なのだと、スピーチされる時代でしたよ。

天理よろづに居る時などは、昼間は普通に働いて、夜中は研究室で研究して、
もちろん当直業務もこなしていましたが、
異常分娩だと聞くと、すべてのお産に携わっていましたよ。
それが楽しく、またやり甲斐だと思えた時代でした。
おかげで家庭に時間を割かなかったのが、今となれば後悔するところですが。

現代では真面目に勉強して、しかも結婚後も続けやすい資格取得という意味で、
女性医師が増え続けています。
今や若い産婦人科医の多くは女性です。
そういう意味では、大志を持って来ている医師が減ったのではないのかしら。

オランダを例にとると、多くが女性医師です。
きっちり8時間しか仕事せず、
普通のお産は自宅で、しかも助産師のみです。
妊娠中に医師が診察するのは、12週と20週の2回だけだそうですよ。
もちろん医療事故も多いようです。

どうもこれからの日本が目指す医療は、このオランダ式のようですね。
そもそもオランダで女性医師の比率が高い理由は、
医学部の入学資格が4ヶ国語を話せないといけなく、理系科目が少ないからだそうです。
要するに女性が得意な語学などの文系科目が重要視されているからのようです。
カゼなどの症状では、病院に予約を取ることはできず、通常の検査も待ち日数が多いようです。

それで日本での現状を分析すると、女性医師が増えて働き方が変わったこの10年ほどで、
分娩取り扱い病院は2割減少し、
帝王切開率は2割増え、
産婦人科のみが当直回数が多いままで、当直明けの勤務の緩和も導入されていないままのようです。

最近のマスコミは、どうも大病院以外の開業クリニックでのお産は、
あたかも危険が高いように報道しており、このままでは日本の半分のお産を扱うクリニックが消滅し、
高齢者医療が自宅療養に変わったように、
お産も自宅に戻ったりするかもしれませんよ。
それは無いかな。

そんなことより、今日はネットで赤ちゃんのベビーバスを買ってみました。

昔は、かわいくないのしか有りませんでしたよ。
今は衝動買いをしてしまいますね。
もちろん初孫のためにですよ。
今になってようやく、家族との生活にもっと時間を割かなくては、と考えているからです。
このリンクをクリックするとアマゾンで買えます。

炎症生腸疾患と妊娠

2018-02-14 21:38:11 | 産科
京都府城陽市の咲弥花(さやか)ちゃん、1月9日生まれ。
「優しく周りを癒す存在であり、信(芯)の有る子になってください。
夫も一緒に泊まることができ、心強かったです。
次は子供たちと立ち会い出産希望です。」

写真の赤ちゃんは、3番目なのですよね。
そして写真のお母さんは3姉妹なのです。
しかも3姉妹とも、タマル産で産んでくださったので、
お婆ちゃんにとっては、孫が10人になったそうですよ。
この連休は、賑やかだったと言われていました。
内孫より外孫、と言いますからね。

里帰りでしたから、ご主人も一緒に個室のダブルベッドで宿泊できたのは良かったでしょう?
しかもベッドの差額代無しなんて、日本でもタマル産くらいではないですか?

今日は春一番だったようですね。
タマル産でも、自動ドアが風で開かないくらい強い風でした。

さて、前回のブログで、産後のお母さんが飲んでもだいじょうぶな薬かどうかは、
薬の添付文書では当てにならない、というお話をしました。
それで真実を努力して集められたのが、大分県の薬剤師会だったようです。
「母乳とくすりハンドブック」という書籍になっているようなので、さっそく申し込みました。

いえ、もちろん他にもいくつか母乳と薬剤の関係の本は持っているのですよ。
見比べるために購入したのです。
上記の本は一般の方は購入できませんが、
本屋さんに「治療薬ハンドブック」という一般的な本が売っていますから、
興味の有る方はそちらを購入されてはいかがでしょうか。

それで、1つ妊娠中の薬のお話をしておきましょう。
前回も花粉症のお薬の話でしたから、続きですよ。

今日は炎症性腸疾患と妊娠です。
最近も、外来を受診された方に、この病気を持っている方が居られました。
潰瘍性大腸炎やクローン病と言った方が馴染みが有るでしょうか。
若い人に多い病気で、近年急増しているのですよ。

治療には、抗炎症剤や、重症の場合はステロイドの内服などが使われるようです。
抗炎症剤のメサラジンは、妊娠中に内服しても良いが、授乳婦はダメと薬剤情報に書いてあるのですね。
それで本当かどうか調べてみたくなったのです。
http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/03
ネットで検索すれば、こんなリンクも発見したのですが。
これによると、薬を内服中はとくに葉酸も摂取した方が良さそうですよ。

まあ、みなさんの方が自分が病気になれば、いろいろと調べてみたくなるでしょう。
しかもある程度は簡単に調べられるようになりましたからね。
医療者も、患者さん以上に勉強しておかなければならないので、
これはちょっと手強くなってきましたよ。

ちなみに炎症性腸疾患では、早産が1.85倍、
低出生体重児は1.4倍、死産は1.6倍多いとされています。
また、寛解してから妊娠した女性でも、妊娠すると35%が妊娠中に再燃します。
でもね、それでも頑張ってもらえるよう、指導していかないといけませんね。


そろそろ花粉症の季節です

2018-02-09 21:28:44 | 産科
篠山市高倉の心海(ここみ)ちゃん、1月5日生まれ。
「海みたいな綺麗な心の子に育ってください。
お産はたいへんでしたが、元気に生まれて来てくれてよかったです。
困った時にすぐに来てくれて、丁寧に対応してもらいました。」

初めてのお産は、やはりたいへんでしたか。
それでも安産だったのではないですか。
肝っ玉がすわっていましたよ。 

さて、数日前から急に、みなさん花粉症に悩まれていますね。
とくに妊婦さんはたいへんですね。
鼻水で夜も眠れなくなっていませんか?
今では花粉症は、とくに30代から40代の人に多くて、
この年代の30%以上が持っている病気です。

花粉症の人は、食べ物にも注意しないといけません。
とくにフルーツは、注意が必要なのですよ。
杉花粉症の人は、トマトを食べると悪化します。
メロン、スイカ、キウイなどでも交差するのですよね。

シラカバやハンノキの花粉症の人は、リンゴやモモのバラ科の果物と交差しやすいですよ。
ですがこちらは、この辺りでは少ないですよね。

むかし研究生活の頃、発表は英語でしなくてはならなかったので、
京都なのにインド人のリタさんという先生に、マンツーマン授業を受けていました。
インドに帰ると良くなるのですが、京都に帰ってきた途端に花粉症で鼻がズルズルでしたよ。
やはり日本は特殊な国なのですね。

それで妊婦さんが来られた場合、タマル産では漢方薬を処方します。
これがよく効くし、害も無さそうなので、重宝しています。
耳鼻科や内科では薬を出されることも有るでしょう?
内科の先生は、いくら妊娠していると言っても、あまり考慮はしてくれませんよ。
産婦人科の先生に相談してから飲むように、とは言われるでしょうけれどね。
それなら出さないでほしいのですが。

タマル産にも、西洋薬の花粉症の薬は置いているのですよ。
ロラタジンという薬です。
オブラートみたいな剤型で、口の中で簡単に溶けます。
水が無くても飲めるのが良いですね。

もちろんこれでも考えて処方しているのですよ。
妊婦さんの安全性という意味では、日本には分類は無いのですが、
FDA分類という、アメリカ食品医薬品による分類では、Bに分類されます。
5段階評価で安全な方から2番目なのですが、抗アレルギー薬にAは無いので一番ましということ。
オーストラリア分類でもB1で、7段階のうちの2番目で、催奇形性は少ないという意味。
授乳婦がお乳をあげるのに安全なものの基準で、
Medications and Mother's Milk2012という分類では、この薬はL1で、一番安全に分類されます。

よく内科の先生などは、薬の添付文書というものを参考にされるのですが、
この添付文書は日本独自のもので、けっこういい加減なのです。
授乳婦に対しては、ほとんどの薬が飲んではダメ、と書いて有りますからね。
裁判にでもなったら裁判所もこの添付文書を参考にするので、困ったものなのですよ。

日本も科学的な評価をしてほしいものですが、
企業は、患者さんのことより、企業自らを守ることしか考えていないのですから。
先日どこかの地方の医師会で、授乳婦さん用の「本当の」飲んでも良い薬かどうかを評価したものが出版されたというニュースを読んだのですが、まだ手には入れていません。

ということで、それでも自分の処方された薬が心配であれば、受診してくださいね。
くれぐれも電話でなんか聞かないでくださいよ。
スマホ受診なら構いませんが。

そうそう、スマホ受診は、遠隔診療とも言いますが、
今のところVISAやMasterカードには対応していますが、JCBには対応していないのです。
だって、海外では通用しませんからね。
ですがJCBしか持っていない女性が多いのですよね。
ちなみに、タマル産の外来での通常の支払いには、JCBは使えますよ。




元気な精子の回収法

2018-02-07 21:30:24 | 不妊症
今日の写真は、この2月に生まれた赤ちゃんとお父さんです。
あっという間に、今日退院されました。
お産にも、そして退院の時にも来られて、良いお父さんですね。
もちろん皆さんのご主人も、仕事の都合とか有るでしょうからね。
でも、なるべくお産には来れたら良いですね。

そして退院されたと思ったら、今日もまた1人、赤ちゃんが生まれましたよ。
こうして順繰りで、生命が繋がっていくのですね。

それで今日水曜日は、いつものように産後の1ヶ月健診の日でした。
写真が載せられなくて残念なのですが、2人目のお母さんのことです。
1人目は大きな病院で産まれたのですよね。
それで今回はタマル産で産まれて、
「初めてウォーターベッドでの出産で不安でしたが、とても楽に産めて、
産後も身体の痛みがほとんど無くて、ビックリしました。」
という感想を頂きました。

お産の時は、ずっとお姉ちゃんも一緒だったのですよね。
弟くんが生まれて、それこそビックリしていましたよ。
妊婦健診も、ずっと一緒に来ていたものね。
心の準備は万全でしたからね。

今日は久しぶりに、不妊症のお話です。
昨年の暮れに発表されたアメリカのスタンフォード大学からのものです。

現段階では、射精された精子から、元気な精子を分離するのには2つの方法が有ります。
だって体外受精や顕微授精では、なるべく元気な精子をと卵子を受精させたいですからね。
体外受精では卵子1個に対して、精子を10万匹くらい混ぜるのですよ。
顕微授精は卵子1個に対して、精子を1匹だけ注入するのです。
人間の目だけで判断していてはいけませんしね。
できれば神様に選んでもらわなくてはなりません。

それで元気な精子を分離する方法の1つは、
密度勾配法と呼ばれるものです。
これはタマル産でも、毎週のように人工授精の時に使用している方法です。
密度の高い液体の上に、中くらいの密度の液体を乗せ、その上に精子を積み重ね、
遠心機を使って沈降させるのです。
元気な精子は底に沈むのですが、
死んでしまった精子や細菌は、途中で留まって沈殿しませんからね。
これを数回洗浄して元気な精子を分離するのです。

ただしこの方法だと、精子に遠心力という力が加わり、ダメージを受ける可能性が有ります。
それに密度の高い液体のパーコルという物質が、精子に悪影響を与えると言われます。
それでタマル産では、パーコルの代わりに、精子に無害と言われる液体を使用し、
2段式の代わりに、1段の勾配で済ませ、
キットを使用して遠心機を使うのを、わずか1回だけに減らすことによって、
ダメージを少なくしているのですよ。
おそらくこんなことまでしている施設は、少ないと思いますよ。

もう1つ、元気な精子を分離する方法が有って、
それは一度遠心した精子に綺麗な培養液を積んで、しばらく放置します。
すると元気な精子が上層部に再び泳いで上がってくるので、それを回収するのです。
ただしこの方法だと、元気な精子を選べるのですが、取れる量が少ないという欠点も有ります。

それで先ほどの論文ですが、
精子を分離するのに、パチンコ台のようなものを使うのだそうです。
サイズは、すごく小さいのですよ。
クギの間隔は何ミクロンという単位ですからね。
それでゴールまで真っ直ぐに到達する精子を回収するようです。
これだと10分ほどで回収でき、将来的には広まるかもしれません。

まあ、ちょっとおもしろいお話ですね。
ですが現時点では、タマル産の方法がベストではないでしょうか。

ご質問はスマホから。

2018-02-05 20:57:35 | 産科
写真は、今年生まれた赤ちゃんです。
ここのところお父さんの写真が続くでしょう?

基本、電話でクリニックに医療内容のことで相談するというのは、できないのですよ。
がん検診の結果を電話で教えてほしい、とかですね。
あるいは今日のように、妊娠中にかぜ薬を飲んで良いか、などです。
よく有るのは、内科でもらった薬を飲んでも良いか、というものですね。
それは処方した先生に調べてもらってくださいよ。

と言いたいところですが、私は人が良いのか、すぐに答えてしまいます。
ですがこれからは、今年からスマホ診療を始めたではないですか。
それを使ってくださいよ。
緊急で、容態が変わったなどは、もちろん電話で対応するのですが、
電話再診料というものが必要になります。
次回来院時に精算していただくのですよ。
クリニックは相談料で収益を上げているのですからね。
何でも無料ではありませんよ。

スマホ診療では、タマル産にかかっておられる方は、ちゃんと保険診療で質問できます。
薬の処方も有れば、送料と手数料が必要になりますが、
薬の処方が無ければ、再診料だけですからね。
しかもネットで会計も終わってしまいます。
4月から2年に1度の診療報酬改定で、正式にスマホ診療が認められるようです。
なので、3月までは費用も安いのですよ。

それで先ほどの質問でしたね。
妊娠中にかぜ薬を飲んで良いか、というものです。
この質問がダントツに多いです。

みなさんは小さい時から、病気になると薬を飲むものだと洗脳されていますね?
実際、内科に行くと、いっぱい処方されるのですよ。
先日の妊婦さんは、せきが出るというので、消防署の近くの内科に行ったら、
喘息の薬やら、痰を切る薬やらいっぱい処方されてこられたのですよ。
喘息なんてなったこともないし、せきで寝られないなんていうこともないのにです。
お産までステロイドの外用剤を使用するように言われたそうです。
どうも、私が必要無いと説明しても、理解はしていただけませんでした。

今日電話されてきた別の妊婦さんは、咳が出るので咳止めを飲んでも良いか、というものでした。
私のアドバイスは、咳で眠れないのなら使用しても良いですが、
眠れているのなら飲む必要はないと、お答えしたのですよ。
だって、カゼを治すのは、自己免疫力なのですよ。
どうも皆さん、薬がカゼを治していると錯覚されているのですよね。
咳止めは、咳を抑えてよく眠れるようにするだけで、カゼ自体を治しているわけではないのですけれど。

しかも妊娠中に薬を飲むのに抵抗がまったく無いのも困りますね。
やはり母親が、子供に害が有るか無いのか、関心を持たれた方が良いでしょう。
今では、カゼにはたいていの場合、抗生物質が効かないということは常識になってきましたが、
いまだにまず抗生物質を処方する先生が居られます。
妊娠中に抗生剤を内服しても、カゼが治らないばかりか、
カンジダというカビが増えて、よく膣炎になるのですよ。
こちらはすっきりと治すのが難しい病気です。
抗生剤を使う目安は、2週間以上咳が続いて、二次性に細菌性のカゼになってきた時です。

それで、もうスマホ診療を始めたのですから、ぜひそちらから質問してくださいね。
それなら診察時間内に、患者さんが途切れた時に、気持ちよくお答えしますよ。
使い方が分からない時は、診察時間内に受付に電話して聞いてください。
慣れないうちはとっても邪魔臭いですね。
ですが、これからの主流になってきますからね。

今日も、仕事が忙しくてあまり来院できないので、
スマホ診療で薬を処方してほしいという患者さんが居られました。
ほらね。