タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

元気な精子の回収法

2018-02-07 21:30:24 | 不妊症
今日の写真は、この2月に生まれた赤ちゃんとお父さんです。
あっという間に、今日退院されました。
お産にも、そして退院の時にも来られて、良いお父さんですね。
もちろん皆さんのご主人も、仕事の都合とか有るでしょうからね。
でも、なるべくお産には来れたら良いですね。

そして退院されたと思ったら、今日もまた1人、赤ちゃんが生まれましたよ。
こうして順繰りで、生命が繋がっていくのですね。

それで今日水曜日は、いつものように産後の1ヶ月健診の日でした。
写真が載せられなくて残念なのですが、2人目のお母さんのことです。
1人目は大きな病院で産まれたのですよね。
それで今回はタマル産で産まれて、
「初めてウォーターベッドでの出産で不安でしたが、とても楽に産めて、
産後も身体の痛みがほとんど無くて、ビックリしました。」
という感想を頂きました。

お産の時は、ずっとお姉ちゃんも一緒だったのですよね。
弟くんが生まれて、それこそビックリしていましたよ。
妊婦健診も、ずっと一緒に来ていたものね。
心の準備は万全でしたからね。

今日は久しぶりに、不妊症のお話です。
昨年の暮れに発表されたアメリカのスタンフォード大学からのものです。

現段階では、射精された精子から、元気な精子を分離するのには2つの方法が有ります。
だって体外受精や顕微授精では、なるべく元気な精子をと卵子を受精させたいですからね。
体外受精では卵子1個に対して、精子を10万匹くらい混ぜるのですよ。
顕微授精は卵子1個に対して、精子を1匹だけ注入するのです。
人間の目だけで判断していてはいけませんしね。
できれば神様に選んでもらわなくてはなりません。

それで元気な精子を分離する方法の1つは、
密度勾配法と呼ばれるものです。
これはタマル産でも、毎週のように人工授精の時に使用している方法です。
密度の高い液体の上に、中くらいの密度の液体を乗せ、その上に精子を積み重ね、
遠心機を使って沈降させるのです。
元気な精子は底に沈むのですが、
死んでしまった精子や細菌は、途中で留まって沈殿しませんからね。
これを数回洗浄して元気な精子を分離するのです。

ただしこの方法だと、精子に遠心力という力が加わり、ダメージを受ける可能性が有ります。
それに密度の高い液体のパーコルという物質が、精子に悪影響を与えると言われます。
それでタマル産では、パーコルの代わりに、精子に無害と言われる液体を使用し、
2段式の代わりに、1段の勾配で済ませ、
キットを使用して遠心機を使うのを、わずか1回だけに減らすことによって、
ダメージを少なくしているのですよ。
おそらくこんなことまでしている施設は、少ないと思いますよ。

もう1つ、元気な精子を分離する方法が有って、
それは一度遠心した精子に綺麗な培養液を積んで、しばらく放置します。
すると元気な精子が上層部に再び泳いで上がってくるので、それを回収するのです。
ただしこの方法だと、元気な精子を選べるのですが、取れる量が少ないという欠点も有ります。

それで先ほどの論文ですが、
精子を分離するのに、パチンコ台のようなものを使うのだそうです。
サイズは、すごく小さいのですよ。
クギの間隔は何ミクロンという単位ですからね。
それでゴールまで真っ直ぐに到達する精子を回収するようです。
これだと10分ほどで回収でき、将来的には広まるかもしれません。

まあ、ちょっとおもしろいお話ですね。
ですが現時点では、タマル産の方法がベストではないでしょうか。